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バレーボール初心者は、ボールコントロールが大事

サマーカップ本戦に進んだ我がチームは、1回戦で敗退した。

当たったチームに学んだのは、ボールコントロールの重要性だった。

そのチームは、身長168、160の両エースが打つが、それ以外の選手は皆レシーブに徹するというシステム。
とにかくボールを拾ったらその2エースのどちらかに打たせる。それを淡々と繰り返す。
両エースはビシッと打球速度が速いわけではないが、相手のいない所にボールをコントロールする能力が高かった。
そして打ち切れないような悪いトスであっても、なんとかして相手コートに返す力があり、フェイントや軟打のコントロールも上手かった。

我々はと言えば、サーブレシーブが乱れると、例えばコート外に飛んだボールをもう2回触って相手コートに返球できなかったりする。
打ったボールは、ドライブ回転がかかっていないので、大きくアウトになったりする。
それこそサーブもネットを越えるのがやっとで、コースを狙って打っているのではなく、たまたまそこへ飛んだというだけで、毎回違うコースだったりする。

そんなんだから、圧倒的に負けた。

これをいかに克服するか?考えた。
YouTubeとかインスタも見た。

結論、パス練習だけではボールコントロール力は付かない。
よってネットを挟んでの攻防体験が必要だと気づいた。
そこでいろいろルールを工夫した、ミニゲームを行わせた。
ちゃんと25点まで、競わせて。

9人の実力を考えて、同程度の2人組にしてじゃんけんさせる。
そうして5人対4人にはなるけれど、2チームの実力が均衡するようにしておく。

ルールは徐々に変えて行ったが、初めはアンダーパスだけしか使っちゃいけないとした。うっかり手が上にいってしまえば、ピッと笛を吹いて反則として、相手に1点。

アンダーパスしか使えないというのは、初心者じゃなくても難しい。

ボールの落下点への入り方は、3パターンある。
オーバーパスするなら、額がボールの真下になるように入る。
アンダーパスするなら、両腕をいっぱいに伸ばした時に前腕に当たるように、落下点は曲げた膝の上辺り、膝と膝の間のちょっと前方になるように入る。
片手で打つ場合は、利き手の肩の上、ちょっと前方の空間にボールが落ちて来るように、体の中心じゃなくちょっと外側、利き手側にずらす。

この違いを感じてくれと説明した。

そして必ずアンダーパスで取るということは、少し下がり目に位置しておいて、前に出ながら、ボールの下面にアプローチすることに慣れる必要がある。
ボールの下面に前腕を当てるためには、姿勢を低くしなければならない。
姿勢を低くするには、膝を曲げる必要がある。
膝を曲げておくと、ボールが当たった後の方向や高さを変えるために膝を使うことができる。
つまりボールコントロールに直結しているのだ。

次にルール変更をして、どちらかのチームが13点に達したら、オーバーパスも使えることにする。
ただし、片手で打って返すのはなし。

そうすると、前半は膝くらいの高さでボールを取っていたのが、身長より高い位置で取ることができるようになる。

膝上からネットを越して返球するよりも、高い位置で返球した方が、ネットに引っかからず、思った所に送りやすいと分かる。
オーバーパスは、ビュンっと速くしたり、ふわっと柔らかくしたり、ニュアンスがつけられる。
レシーブする方も難しくなる。

次にまたルール変更して、20点に到達したら、スパイクもブロックもありにする。
こうすると、負けていたチームも追いついたりして、接戦になるので、最後まで気が抜けず面白くなる。

この他にも、ボールを取る時に声を出さず無言だった場合は反則とか、必ずラリーが終わったらタッチし合って声をかけ合うとか、声のルールも作った。
これは、学年別の心理的な垣根を、少し低くしたと思う。
ミスした時は励まし合い、点数取ったら喜び合う、当たり前の声が少なかった点も、克服できた。

まだサーブが入らない子がいる場合は、ネット際から味方が自チームの誰かにボールを投げるところからスタートすることにして、サーブ力で差がつかないよう、レシーブコントロールだけにフォーカスして、競えるようにした。

こうしたミニゲームをすることによって、彼女たちは劇的にボールコントロールが上手くなった。
スパイクを打たないで、相手が取りにくい場所に工夫して返球することで得点できるようにもなった。
そんなやられ方をすると、やり返そうとして、やられた側も上手くなる。

ミニゲームやるぞ!と言うと喜んでやるようになった。
そしていずれ、みんなの実力が上がると、自然とミニゲームでは物足りなくなって、やらなくなっていった。

練習を喜んでやる、楽しんでやるということは、今一番丁度いい難易度であって、必要な練習だということ。
なんでもそうだが、自ら進んでやると、早く上手くなる。

点数の節目も意識するようになる。
例えば、20点過ぎてからの凡ミスは勝敗に直結するから痛いという経験ができる。
序盤の1点と後半の1点とでは、重みが違うという感覚を得る。

ボールコントロールだけじゃなく、試合勘も鍛えられる。

12人いないチームで初心者が多い場合は、積極的にミニゲームを取り入れた方がいいと思う。

その時々の実力に合わせて、ルールを変える工夫が、コーチのさじ加減、コーチング力の見せどころになります。

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