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【中学受験ネタ】塾の偏差値を言って、中受しない親から完全にマウントを取られる話(2)

残念ながら、良い偏差値のときにも、見事にマウントを取られる。

・偏差値60
中受の親「ラ・サールを目指せるかも」
しない親(うーん、少し賢い程度? うちの子が勝てるかも?)

「ねえねえ、日能研に通ってるAさんのお子さん、偏差値が60らしいわよ」
「塾に行ったら、それくらいは当然よね。でも、うちの子も勉強したらA君に勝てるかも」
「それがね。A君ラ・サール目指すんだって」
「マジ? 無理に決まってんじゃん。ラ・サールの偏差値、いくつか知ってるのかしら?」
「知ってたら、言えないと思うけど」
「だよね。情報力なさすぎ」
「偏差値60超えちゃったから舞い上がったのかもね」
「きっとそうよ」
「偏差値60以上の高校なんて、この辺にはたくさんあるのにね」
「さすがにラ・サールはないよね」
「ないない」
※偏差値60は、かなりすごいですし、ラ・サールも十分に狙えます。

・偏差値65
中受の親「灘、開成にはまだまだ全然足りないけど……」
しない親(ラ・サールを受けるって聞いたけど、絶対無理よね)

「ねえねえ、日能研に通ってるAさんのお子さん、偏差値が65らしいわよ。ラ・サール受けるって言ってたけど」
「えー? 無理に決まってんじゃん。だって、ほら、このあいだ高校受験した山田さんちの太郎君、偏差値65だったらしいけど、公立トップ校は無理だって、あきらめて偏差値64の高校受けたじゃない」
「そうよねえ。それなのにラ・サールって、無理に決まってんじゃん。ラ・サールの偏差値を知ってるのかしら」
「受験するなら、ちゃんと調べなきゃだめだよね」
「やっぱり教育費つぎ込むと、もう歯止めが利かなくなってるのかもね」
「まさに、人のふり見て我がふり直せ、よね」
「他にも『カイセイ』とか言ってたけど」
「ああ、長崎の海星ね。そこも受けるのかしら?」
※九州では「カイセイ」と言うと、長崎の海星を連想するのである。

・偏差値70

中受の親「目指せ。灘、開成」
しない親(あら、頭いいのね。でもラ・サールは少し難しいかもね)

「ねえねえ、日能研に通ってるAさんのお子さん、偏差値が70らしいわよ。ラ・サール受けるって言ってたけど」
「うーん。このあいだ高校受験した鈴木さんちの次郎君、偏差値70で公立トップ校に合格したじゃない」
「鈴木さんね。でも、たしかラ・サールは落ちてなかった?」
「そうそう、やっぱり偏差値70じゃ、少し厳しかったって」
「Aさん、そのこと知ってるのかしら?」
「知らないんじゃない」
「Aさんにこのこと教えてあげる?」
「やめたほうがいいんじゃない。不機嫌になられたら、めんどくさいじゃない」
「そうよねえ」
「でもさあ、このご時世、親同士の口コミ情報網は大切よねえ」
※だから、高校受験の偏差値と違うと何度も……。

・偏差値75
中受の親「よし! 筑駒、灘、開成、すべてR4偏差値突破した!」
しない親(すごいじゃない。ラ・サールも夢じゃないんじゃない)

「ねえねえ、日能研に通ってるAさんのお子さん、偏差値が75らしいわよ。なんか第一志望が『ツクコマ』って言ってたけど」
「なにそれ?」
「筑波大学がなんとかって言ってたような気が」
「なんだ。国立附属中学校のことじゃない? 筑波大学の」
「なるほどね。でもさあ、偏差値75もあるのに、どうしてラ・サールを受けないのかしらね」
「だよね。もったいない。同じ国立附属なら近所の附属中学でいいのにね」
「Aさん少し変わってるから、茨城に行きたいんじゃない? ほら、つくば市ってたしか茨城でしょ」
「たしかに」
「でもさあ、やっぱり一番の親孝行は塾なんか行かずに、公立高校から国立大学に行くってのが理想よねえ」
「佐藤さんちがそうらしいわよ。ほら、K高校から九州大学に合格したって」
「まあ、なんて親孝行!」
「羨ましいよね」
「お手本にしなきゃ」
※筑駒は茨城ではなく、世田谷区池尻ですよー。

このように最高レベルに近い偏差値を取ったところで、中受しない親からはマウントを取られるのである。
恐るべし、中受しない親。

※この話は、経験者の話を総合して、おそらくこうではないかと私が妄想したのをもとに創作しています。

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