ザスパ群馬は残留できるのか? 大槻監督、お疲れ様でした…
毎年恒例のGWの3連戦も終わり、J2リーグは早くも14試合を消化しました。私が応援している地元クラブのザスパ群馬は1勝3分10敗で勝ち点6。最下位となっております。J2参加以降最高成績を収めた昨シーズンを受けて、苦しいシーズンになると思っていましたが、ここまでとは正直思っていませんでした。今回はそんな状況のザスパが残留することはできるのかということを探ってみたいと思います。
昨シーズン終了後に書いた振り返りも貼っておくので、よろしかったらご覧ください。
過去のデータから振り返る
上述の通り、現在ザスパは14試合で1勝3分10敗の勝ち点6。最下位です。降格圏脱出となる17位の鹿児島との勝ち点差は7。開幕から14試合で一桁勝ち点しか得られず、残留圏内まで勝ち点7差を追いついて残留できたチームは過去にあったのでしょうか。
その前に前提として。今シーズンは昨シーズンから2チーム減の20チームのリーグ戦ですので、14節終了時点でシーズン全体の36.8%を消化したことになります(14÷38×100)。J2はJFL、J3との入れ替えが発生することになった2012シーズンから2023シーズンまでは22チーム制で実施されていましたので、36.8%のリーグ戦消化は35.7%となる15節終了時点が近似値になりそうです(15÷42×100)。2012シーズンから2023シーズンの15節終了時点で勝ち点が一桁台だったチーム、最終結果は下記の通りです。
2012シーズン
22位 岐阜 勝ち点9 残留圏までの勝ち点差1 ⇒残留
2013シーズン
22位 岐阜 勝ち点7 残留圏までの勝ち点差3 ⇒残留
2014シーズン
21位 富山 勝ち点5 残留圏までの勝ち点差8 ⇒降格
22位 讃岐 勝ち点5 残留圏までの勝ち点差8 ⇒残留
2017シーズン
22位 讃岐 勝ち点9 残留圏までの勝ち点差1 ⇒残留
獲得勝ち点一桁台から残留したチームは残留圏までは1試合でひっくり返る差でしたし、2014シーズンの讃岐はJ2昇格初年度であり、最終結果は21位でJ2・J3入れ替え戦に回り、長野相手に1勝1分で残留を勝ち取っています。すなわち14節消化相当段階で勝ち点一桁台、残留圏まで2試合以上の差があり、最終的なリーグテーブルで残留したチームは過去にないということです。
残り試合で勝ち点いくつ必要なのか
過去データから現状のザスパの成績から巻き返して残留を勝ち取るのは相当困難ということが分かります。ただここまでの結果は変えられませんので、残りの24試合でいくつの勝ち点を取ればいいのかを考えてみます。直近5シーズンの残留圏ギリギリだったチーム(基本は20位。2020シーズンはコロナ特例により降格なし。2021シーズンは4チーム降格)の獲得勝ち点と1試合平均勝ち点は下記の通りです。
2023シーズン
20位 山口 勝ち点44 1試合平均勝ち点 1.04
2022シーズン
20位 群馬 勝ち点44 1試合平均勝ち点 1.04
2021シーズン
18位 群馬 勝ち点41 1試合平均勝ち点 0.97
2019シーズン
20位 栃木 勝ち点40 1試合平均勝ち点 0.95
2018シーズン
20位 岐阜 勝ち点42 1試合平均勝ち点 1
となります。概ね試合数とイコールの勝ち点を取れば、何とか残留できる可能性が出てくるということになります。すなわち今シーズンであれば38です。
実際に14試合消化時点で残留圏17位の鹿児島と降格圏18位熊本の勝ち点が同じ13ですから、試合数とイコールの勝ち点が必要最低勝ち点であることは今シーズンも同様になりそうです。
14試合終了時点でザスパの勝ち点は6。残り23試合で32の勝ち点を取る必要があります。7勝11分5敗、8勝8分7敗、9勝5分7敗が現実的な目標となるでしょうか。現在の状況を考えると相当高いハードルと言わざるを得ません。また、最終盤に得失点差の戦いになった場合、現在のザスパの得失点は-18でリーグワースト2位。この部分もスタートに躓いてしまった負の遺産といえるしょう。
どうしたら勝ち点を取れるのか
大前提として現状を一番悔しく思っているのは選手たちであり、大槻監督であり、スタッフ、フロントのみなさんでしょう。みなさんは毎日必死でトレーニングをし、必死に戦っており、ただのサッカー好きがああだこうだ言うのは違うとは思いつつも、ネット上で誹謗中傷などせずに好き勝手に書くことは自由だと思うので、個人的に思う打開策を考えてみます。
まずはシンプルにプレーすること。今シーズンの選手たちの動きを見ていると、守備時のプレスのかけ方やビルドアップの形、ボールを奪ったあとの出しどころ、アタッキングサードでの仕掛けなど迷いながらプレーをしているように感じます。迷ってプレーをして、結果が出ない、さらに迷うという悪循環のように見えます。これらを整理してシンプルにプレーしてほしいです。
直近で最も勝ち点に近づいた5月3日の藤枝戦は一つのヒントなのかもしれません。昨シーズンから取り組んでいる最終ラインからのビルドアップはほとんど行わず、ロングボールを中心に前線へ供給。プレスもハーフウェイラインを越えてから開始。5-4のブロックで守って、カウンターやセットプレーのチャンスを狙う。前半は耐えて、後半勝負でロングスローのこぼれ球から先制することに成功しました。結果は後半ATに逆転ゴールを許し、勝ち点を持って帰れませんでしたが、残留するためにはシンプルに守って、数少ないチャンスを狙うことが重要ではないでしょうか。
次に試合開始直後の失点を減らすこと。今シーズンのザスパの26失点のうち開始15分以内の失点が7を占めます。これはJ2最多です。ちなみに昨シーズンはシーズンを通して5失点です。同じく7失点が鹿児島、5失点が熊本、徳島と順位が低いチームが続いています。開始直後に失点を許す、今日も勝てないか…という空気になる、巻き返すパワーが生まれないというこちらも悪循環です。
失点に関しては、上述の通りザスパはすでに26失点を許していますが、昨シーズンは44失点(リーグで4番目に少ない)でしたので、すでに昨シーズンの半分以上のゴールを許しています。試合開始直後はもちろんですが、守備の規律、守備のセットプレーの見直しを通して失点を減らすことが重要です。
北川 平松
(佐川) (高澤)
山中 佐藤亮(和田) (永長)
高橋 天笠
(風間) (玉城)
中塩 エド
(菊池) 酒井 城和
(中野) (大畑)
櫛引
現実的に勝ち点を取らなければならない状況ですので、シンプルな4-4-2のシステムでスタートし、藤枝戦のようにハーフウェイラインあたりからプレッシャーをかける、ボールを奪ったら相手ディフェンスラインの裏、SBの裏へ2トップをシンプルに走らせる、無理であれば繋ぎながら両サイドの仕掛けに期待する、その中でセットプレーやスローイン(ロングスロー)を獲得していく。
個人的にはこんな感じのスタートを見たいです。今シーズン途中から3バック(守備時には5-4-1)で戦っていますが、あまりにも重心が後ろになり、カウンターを狙いたくても前線に平松しかいないという状況が多々見られます。後ろからビルドアップで前進したくても、昨シーズン途中からの相手チームによる対策(後ろ3枚にマンツーマン気味にプレッシャーをかける、ボランチ2枚にマンツーマン、サイドに出すように仕向けて前を向かせない…etc)により、イメージ通りにボールを運べたシーンはほぼないと言っていいでしょう。
大畑が大槻監督の目指すビルドアップの形に適応できておらず(岡本の流出が痛いですね… 適性ではないので致し方ありません。本来なら船橋だったおのでしょうが…)、右サイドの佐藤亮や永長が持ったときにはほぼカットインですので、相手もオーバーラップや縦の仕掛けを無視してカットインだけ警戒しておけばいいので守りやすいのではないでしょうか。
そのフォローとして昨シーズンも岡本が離脱中に右SBを務めたエドに託し、より右からの攻撃を活性化。途中出場で積極的な仕掛けを見せている山中をスタートから起用。守備の時間は長くなり、攻撃に出ていく距離は長くなるでしょうから、交代をしながら運動量と推進力を担保していくというのが現実的なところでしょうか。
とにかく残留を
今シーズンは昨シーズンの過去最高成績を経て、大槻監督3年目、専用練習場であるザスパークの開所、呼称・エンブレムの変更などサッカークラブとしてもう一つ上のステージへ行くためのスタートになるはずでした。しかし、肝心のピッチ上の結果が伴わず、急遽サポカンが開催されるなど思ったようなシーズンにはなっていません。
直近のJ3はレベルが上がってきており、降格してしまったら簡単にJ2に戻って来られるリーグではなくなっています。富山、讃岐、鳥取、北九州、岐阜などJ2時代にはザスパと対戦を重ねてきたクラブもまだ戻ってきていません。昨シーズンにはJ3で北九州が最下位となり、JFLの結果次第では入れ替え戦に回るという状況にも追い込まれました。
ザスパもJ3への降格を経験しています。その時は2年で戻ってくることができましたが、今ではJ3のレベルも上がっているし、参加チーム数も増えているし、JFLとの降格制度も整備されました。J2に戻ってくることは容易ではありません。
とにかくJ2残留、生き残ってほしい。私にできることは応援することだけです。最初に書いた通り一番悔しいのは選手、スタッフ、フロントのみなさんです。残りシーズンでの巻き返しを願っています。
大槻監督との契約解除発表…
と、ここまで書いたのが7日。1日置いて見直してからアップしようと思っていたところ、大槻監督との契約解除とヘッドコーチの武藤さんの昇格が発表されました。
4月30日に行われたサポカンで赤堀社長、松本強化部長は「常に監督候補はリストアップしているが、現状で大槻以上に結果を出せる人はいない」と発言をしていましたが、一方で「順位が近い藤枝には絶対勝ち点を取らなければいけない」ということも仰っていましたので、このGWの2試合で勝ち点0という結果を受けて、このような最終判断に至ったと推測されます。
今シーズンのスタートダッシュ失敗は残念ですし、厳しい状況に置かれてしまいましたが、昨シーズンのクラブ最高成績を残した大槻監督の功績が消えることはありませんし、浦和というビッグクラブでも監督を務めた経験を持つ人がザスパを率いてくれたことは感謝しかありません。
松本強化部長がサポカンで「大槻監督だから来てくれた選手もいる」と仰っていましたし、大槻監督がアイコン化し、他クラブのファン、サポーターがザスパを認識するきっかけにもなった部分もあると思います。願わくば集大成の3年目でクラブ最高成績の2年連続更新というところを見たかったものです…
そして後任の武藤監督は「残留」という難しいミッションを課されたうえでトップチームでの初の監督就任となります。また武藤監督就任のリリースには今シーズンの目標を「J2残留」に下方修正することが発表されました。現状を考えれば致し方ないでしょう。
武藤監督の下、まずは目の前の仙台戦で結果を出してほしい。結果を出せば、チームに勢いが自信が戻ってくるはずです。そして残留を何とか勝ち取ってほしいと思います。
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