1の巻『過去と現在』
**産まれた頃の記憶は、当然ない。
だから覚えている所から遡って、
私(過去)から僕(現在)のお話。**
私の名前はちひろ。平仮名で『ちひろ』
いわさきちひろの書いた絵に出てくるような、
優しい子に育って欲しいと、母がつけてくれた。
父の意見が通れば、名前は『翔』になっていた。
でも母は、断固として『ちひろ』にすると譲らなかったらしい。
私は、父、母、父方のお爺ちゃんと暮らしていた。
夫婦仲は良好。母は専業主婦で裁縫と料理が好きな人だった。昔着ていた服は半分が母の手作りだ。
手作りのスカートをはかされる事もあった。
その頃は何の違和感もなく、
ただ、"母が作ってくれた服"と喜んで着ていたのを覚えている。
父はトラックの運転手。
普段は優しくておっとりした人だが、
怒らせるとスーパー怖い人。
お爺ちゃんは剣道の先生で、昔から武士道の世界にいた人だから、曲がった事は大嫌い。
まだ小さい私には理解できない様な事ばかり言って聞かされた記憶がある、、当然理解できていないのだから何を言われてたのかなんて覚えてもいない。
こんなごく普通の一般家庭に産まれた。
そんな私の私(過去)から僕(現在)のお話。
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