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化粧品業界のDXとはなにか

先日、仕事と全く関係ない本を出版し、私のSNSでもスクワットが大事だとか、筋トレが人生で一番重要だとかそんな内容を発信していたらフォロワーが激減しました。スタートアップ、マーケティングクラスタの人が激減し、トレーニング界隈のフォロワーが微増、トータルとしては激減という結果になりました。

ちなみに書いた本は下のリンクのものです。この世の理のすべてを書きました。是非買ってください。

マーケティング視点でいくと、1アカウント1人格というのはSNSのような個人の特徴を打ち出すものの場合は非常に重要です。たとえ関連性が高かったとしても他の話題を持ち込まず、バーティカルに一つの領域について狭く深く攻めたほうが、フォロワーもつきやすく、そのエンゲージメントも高まるというのが基本です。

例えば化粧品という領域に特化したアカウントであれば、同アカウント内では派生したファッション、フードなど関連性があったとしても他領域の投稿をしてしまうとあまりいい影響はありません。餅は餅屋とはよく言ったものです。

私のアカウントのように、スタートアップ、マーケティング、化粧品業界、サウナ、トレーニングのような関連性が薄い投稿を偏った頻度でぶちまけると

「この人はマーケティングの有益なことをtweetするんだろうな!bioによると東大もでてるみたいだし信頼できそう!」

と思ってフォローしたユーザーに「スクワットの浅い人間は人間性も浅い」と突然フルスクワットを強要することとなり、フォロワーはいとも簡単に死にます。まぁ私個人のアカウントはフォロワーを増やそうとも思っていないし、スタートアップ界隈特有の「超モチベ高いぜ」みたいな空気も好きじゃないので別にどっちでもいいですが。

ノインて何なの?何の会社なの?

余談がだいぶ長くなりましたが、今回は化粧品業界のDXについてです。ノインで行っている事業はいくつかありますが、「ノインて何なの?」と聞かれたときにどう答えたら正しいのかというのは最近私個人としてもずっと考えてきたことです。

化粧品のECもやってるし、化粧品についてのメディア運営もしてるし、化粧品そのものも(メーカーとして)つくっています

「色々やってるけどノインて結局何なの??」

ここに対する答えを今回は書けたらいいかなと思っています。

メディアはものが売れない

そもそもNOINに私が入ったのは、メディアの限界というかその先をやってみたいと思ったことがきっかけだったりします。CEOの渡部も私もずっとメディア運営してきた経験があるのでメディアの伸ばし方についてはある程度分かっているつもりです。メディア運営をしていて感じる一番大きな壁は

「メディアはものが売れない」

ということです。メディアの来訪者数が多いから、ここでものを売ったら超儲かるのでは!みたいな考えからECを始めるメディアは多いですが、なかなかうまくいきません。なぜでしょうか?

私はメディアの来訪理由とECの来訪理由、つまり「来訪時のメンタルモデルが全く違うから」だと思っています。メディアの来訪理由は暇つぶしです。これはニュースであろうと記事であろうと同じです。メディアは暇つぶしのツールでしかありません。一方でECの来訪理由は買い物です。ショッピングにきているんです。

暇つぶしをしてるだけの人にモノを薦めたところでそもそも買う気がないので買い物には繋がりません。だって財布持ってきてないんだもん。一方でウィンドウショッピングだとしてもお店にきている人にはモノを薦めたら買う可能性は格段に上がります。ここにメディアの限界というか出来ることの壁があります。

「モノが売れるメディアが作れたら超良くないですか?」

これは3年前に渡部が私をノインに誘ってくれたときに言われた言葉です。確かに「モノが売れるメディア」が作れたら超いいし、シンプルにやってみたいと思いました。ここからメディアコマースとも言える形のいまのNOINはできています。個人的には、自分がやれば女性向けプロダクトの新規獲得マーケティングは絶対に当てられるという自信もありました。

化粧品業界のプレイヤー

私たちノインが狙っている市場は大きくは2つ。化粧品の販売市場広告市場です。これをどう狙うのかというところですが、化粧品業界には大きく3つのプレイヤーが存在します。

①化粧品を売る人たち:リテール = 小売(百貨店、バラエティストア、ドラッグストアetc.)

②化粧品を作る人たち:ブランド ≒ メーカー

③化粧品の魅力を伝える人たち:メディア

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こんな感じですかね。そして現状これらはアナログ的なつながりでしかなく、情報は分断されています。それぞれが独立しているという表現が正しいかも知れません。ここをつなぐことに私たちの価値はあると今は思っています。

化粧品のEC化率は未だ低いまま

経済産業省が毎年発表している、電子商取引に関する市場調査によると、2020年においても化粧品のEC化率は6.72%にしか達していません。コロナ影響で大きく伸びるかと思いましたが化粧品業界だけでみるとそんなことはなかったようです。

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インターネット界隈で仕事をしてきたので、転職したての時はこのEC化率には驚きました。ECで購入されていないということは購買データについても個人別の正確なデータはそもそも存在していません。データがなければ当然のことながらデータマーケティングなんか不可能です。

小売のDX

化粧品業界は「対面販売を基本とする」というところで、ずっとブランドがECを避けてきたため小売にも弊害が出てきています。データを用いて需要予測をするというようなことは、本来であれば流行に敏感な人達が何を今買っているのか、それであればレイトマジョリティであるドラッグストアに来る人達に刺さる商品は何なのかを購買データや、メディアの閲覧情報データなどをかけ合わせながら予測すべきだし、売り場の構築もそうあるべきです。しかし、実際はかなり属人的な需要予測によって仕入れ商品や棚組みなどが行われています。正しいトライができていない状況があります。ここは私たちの購買データやメディア閲覧データなどから力になれるポイントの一つではないでしょうか。

実際、いまスギ薬局の新宿三丁目店や名鉄名古屋店では私たちのデータを用いて商品を選定するという取り組みがスタートしています。

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NOINのデータを用いて作られたスギ薬局の棚

ブランドのDX

商品開発についても同様のことが言えます。ノインでは全国のファミリーマート16,500店舗において、söpöというカラーコスメの展開を行っていますが、これは我々の購買データやメディア閲覧データを用いて流行を予測し、企画開発した商品です。いくらデータに価値があると騒いだところで結果を出さないと机上の空論でしかありません。マーケティング戦略も色々はまってヒットにはつながっていますが、söpöによって一定我々のデータの価値は示せたかと思います。söpöの開発等々については以前のnoteでも解説しているのでよかったらどうぞ。

データからコロナの影響下であっても売れるカラーコスメはなんなのかというところをあぶり出せた良い事例ではないかと思っています。秋の新商品も準備中です!

化粧品業界のDXについて

端的にいうとノインは化粧品業界のDXを進める会社です(たぶん)。たぶんと言ったのは「事業を進めてきた結果、そうなってきている」からです。当初は化粧品ECの会社のつもりで、メディア=>ECの順番でECをとっていくんだと思って事業を進めてきたし、実際これがハマって伸びてもいきました。

しかし、私たちも最初からこの化粧品業界のDXを進めるというところに価値があるということに気づいていたわけではありません。ECで販売をしていったり、事業提携で小売の方々と話をしたり、メディアとしてブランドさんと会話をしたりするなかで化粧品業界のDXの必要性に気づいたというのが正しいです。

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ノインの役割のイメージ

小売はどういう商品を仕入れたらいいのか、どういう売り場をつくったらいいのかが私たちを通じて分かるし、ブランドはどういう商品を作るべきなのかが分かる。加えて、どのようなマーケティングをしたらいいのかというようなことまでもが私たちを通じて考えられるというハブの役割が私がいま考えている化粧品業界のDXです。

DXとはなにかについてはGunosyの元同僚でもあり、何のメリットもないのに本の帯を引き受けてくれたLayerXの松本くんが書いています。曰く、

失敗をコントロールしながら、素早く事業を改善し続ける、そのためにソフトウェアと正しく付き合い、事業を科学的に理解する、この状態に至ることこそがDX(デジタルトランスフォーメーション)の目的なのではないかと私は考えている。

ノインの持つデータや技術をハブにして業界全体が事業を科学的アプローチで進む形を作る。ここまでいけるといいなと思っています。超えるべきハードルはめちゃくちゃありますが、これはここから先数年で成し遂げるべきだと個人的には考えています。

つらつらと考えていることをかなりギュッと詰め込んだので、分かりにくい点も多いでしょうし、このnoteだけ読むと矛盾している内容も含まれているかと思います。特に小売の課題はけっこう根深く、全てに触れることはしませんでしたが、ここの解決にはかなりのチャンスが眠っています。

やっぱり採用強化中

さて、そんなこんなでやっぱりメンバー募集中です。特にいまは広告が売れまくってるので営業や営業管理のメンバーは超ほしいです。プロダクト開発についてもtoCの機能開発だけではなく上記で触れたような課題を解決するためのtoBのツールもつくっているので是非話だけでも聞きにきてくれると嬉しいです。


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Chiba Hisayoshi
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