おさ菌

血液疾患と感染症の間。

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最近の記事

タイちゃん#4 HLA-DR negative

2009年にLoss of mismatched HLA in leukemia after stem-cell transplantationというタイトルの論文がNEJMに掲載されました。HLA-DRのdownregulationによる免疫逃避による移植後再発があることが示されました。 当院の移植後再発を確認しましても、確かに何人かHLA-DRの陰転化している症例を認めました。陰性化している場合は、予後が悪くなりそうだなと考えておりましたが、症例数の問題もあり実際に自施

    • タイちゃん#3 Ruxolitinib vs ○○

      5. Ruxolitinib vs allo-HSCT for MF Maze D, et al. Upfront allogeneic transplantation versus JAK inhibitor therapy for patients with myelofibrosis: a North American collaborative study. Bone Marrow Transplant. 2024 Feb;59(2):196-202. 骨髄線維症

      • タイちゃん#2 HTLV-1

        ちゃんと論文読んでいきましょう。HTLV-1関連の2本。 ATLは細胞性免疫が下がりますが、ATLを発症する前からHTLV-1感染は細胞性免疫を下げているのでしょうか? 3. HTLV-1 and cryptococcus Concha-Velasco Fátima,et al. HTLV-1 and cryptococcosis infection, an underdiagnosed association: Case series and literature r

        • タイトルのみチェックはしたけど、読まずに蓄積されていた論文をちゃんと読んでいこう

          最新論文のチェックはどうしていますか? 私は研修医の頃、図書室に行き紙のジャーナルを手にしたり、木曜日になったらパソコンでNEJMのホームページに行ったりしておりました。 何年か前からは、Feedlyを使用しております。RSSリーダーで、ジャーナルを登録しておくと、それぞれのホームページに飛ばなくても、最新の論文のタイトルを一覧で見ることができます。 iPhoneのアプリでいつでも簡単に論文チェックできるので、通勤途中にでもさらっと目を通せます。ただ通勤中ですので、論文

        タイちゃん#4 HLA-DR negative

          白血病感染抄 Vol.4

          白血病感染抄 Vol.4 年末に臨床写真学会に初参戦しました。今回は写真を見てみましょう。 臨床血液のPicture in Clinical Hematologyからです。 それぞれのジャーナルに臨床写真のコーナーがあったりします。例えばNEJMではIMAGES IN CLINICAL MEDICINEで臨床写真が扱われています。 臨床写真学会で学んだことは、臨床写真の投稿は教育的な意義が大きいということでした。 投稿料がかからないジャーナルが多く、英語での文章量も少

          白血病感染抄 Vol.4

          白血病感染抄 Vol.3

          白血病感染抄 Vol.3 臨床血液 2022年の1月号が届きました。 この表紙は! グロコット染色ではないかっ! というわけで、今回はこの症例報告としましょう。 『慢性リンパ性白血病に対するibrutinib療法施行中に発症した播種性クリプトコックス症』 タイトルから見ましょうか。 ibrutinibによって侵襲性真菌感染症が起こることはよく知られています。ただ特に多いのはAspergillusかと思います。 cyptococcusでも感染を起こしますよという報

          白血病感染抄 Vol.3

          白血病感染抄 Vol.2

          白血病感染抄 Vol.2 今回は2018年のEuropean Journal of Haematologyからです。 (European Journal of Haematology 2018; 100: 383-385) 今回の症例(ドイツ)25歳女性。原病はT-LBL, Rel1。アメリカで診断され、治療途中でドイツに移動。PRでPT-CY Haplo移植を施行。前処置中に下痢grade1を認めるようになり、day18にはgrade2になった。好中球が380/μLに増

          白血病感染抄 Vol.2

          白血病感染抄 Vol.1

          血液疾患の感染症を症例報告から学ぶ「白血病感染抄」のVol. 1です。 今回は、Transplantation Infectious Disease 2021年12月の症例報告です。 Transpl Infect Dis.は臓器移植や造血幹細胞移植のおける感染症の予防や治療を対象としたジャーナルです。 では症例に参ります。 症例 63歳男性 疾患: DLBCL stage Ⅳ 第1再発期 主訴 発熱、頭痛、嘔吐 経過 R-CHOPで寛解後3年で再発し、R-I

          白血病感染抄 Vol.1