おさ菌

血液疾患と感染症の間。

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allo-HSCT後のS. maltophilia感染症

おさ菌です! ちときんでは、血液疾患と感染症について記事を書いていきます。 本日のテーマは、「同種造血幹細胞移植後のStenotrophomonas maltophilia感染症」です。 Stenotrophomonas maltophilia感染症 Stenotrophomonas maltophilia感染症(SMI)のリスクとして、一般的にメロペネムなど広域抗菌薬の使用、好中球減少、中心静脈カテーテルの使用、長期人工呼吸器使用などが知られています。 血液疾患の患

    • 新しい抗CMV薬 Maribavir

      おさ菌です! ちときんでは、血液疾患と感染症について記事を書いています。 本日は、「新しい抗CMV薬 Maribavir」についてです。 Maribavir日本では今年の6月に承認されたばかりの薬です。青色の錠剤です。 略語はMBV、商品名はリブテンシティといいます。"Living with Tenacity"が由来だそうです。 本日は、そのTenacity=執念、粘り強さ が伺える、承認までのながーい歴史を紹介します。 Phase 1から承認されるまでPhase

      • 白血病感染抄 Vol.7 CNSとテイコプラニン

        白血病感染抄 Vol.7 「バンコマイシンかテイコプラニンか、それが問題だ。」 感染症内科医はテイコプラニンよりバンコマイシンを好む方が多いですが、実臨床では腎障害を気にしてバンコマイシンよりテイコプラニンを選択されることも多いのではないかと思います。 今回はテイコプラニンを使う上で、知っておくとよい論文かと思い、この症例報告をチョイスしました。 Kucerという抗菌薬の成書のTeicoplaninの項でも引用されている1997年の論文です。 ◼️Teicoplan

        • 白血病感染抄 Vol.6

          白血病感染抄 Vol.6 今回はちゃんと白血病の感染症を扱います。 ◼️急性骨髄性白血病に対する venetoclax + azacitidine 寛解導入療法中に発症した Lomentospora prolificans 症臨床血液. 2024;65(8):742. 特に捻りはない分かりやすいタイトルで、そのままです。 急性骨髄性白血病と診断された方が、VEN+AZAで治療を開始され、その治療中にLomentospora prolificans という真菌の感染症を発

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        allo-HSCT後のS. maltophilia感染症

          同種造血幹細胞移植後の卵の摂取

          おさ菌です! ちときんでは、血液疾患と感染症について記事を書いていきます。 本日のテーマは、「同種造血幹細胞移植後の卵の摂取」です。 血液疾患の治療中は生食を禁止としている施設が多いかと思います。今回はその中でも生卵にスポットライトを当てまして、卵をどう食べてもらうかを考えていきます。 生卵のサルモネラ汚染 生卵はSalmonellaで汚染していることがあります。卵の汚染はin egg汚染とon egg汚染に分けられます。 in egg汚染は”卵の中(白身と黄身)”

          同種造血幹細胞移植後の卵の摂取

          白血病感染抄 Vol.5

          白血病感染抄 Vol.5 内科学会雑誌 2024年5月号です! 今月何読みました? 勝手に國松先生のオマージュです。 特集は「他臓器連関を考慮したCKD診療」です。 血液疾患とCKDのトピックもありました。内科学会雑誌に数年前にも取り上げられていた気がしますが、MGRS (monoclonal gammopathy of renal significance)についての記載があります。 MGUSにM蛋白が関連する腎障害を合併した状態のことをそう呼ぶようです。MMに進行

          白血病感染抄 Vol.5

          白血病感染抄 Vol.4

          白血病感染抄 Vol.4 年末に臨床写真学会に初参戦しました。今回は写真を見てみましょう。 臨床血液のPicture in Clinical Hematologyからです。 それぞれのジャーナルに臨床写真のコーナーがあったりします。例えばNEJMではIMAGES IN CLINICAL MEDICINEで臨床写真が扱われています。 臨床写真学会で学んだことは、臨床写真の投稿は教育的な意義が大きいということでした。 投稿料がかからないジャーナルが多く、英語での文章量も少

          白血病感染抄 Vol.4

          白血病感染抄 Vol.3

          白血病感染抄 Vol.3 臨床血液 2022年の1月号が届きました。 この表紙は! グロコット染色ではないかっ! というわけで、今回はこの症例報告としましょう。 『慢性リンパ性白血病に対するibrutinib療法施行中に発症した播種性クリプトコックス症』 タイトルから見ましょうか。 ibrutinibによって侵襲性真菌感染症が起こることはよく知られています。ただ特に多いのはAspergillusかと思います。 cyptococcusでも感染を起こしますよという報

          白血病感染抄 Vol.3

          白血病感染抄 Vol.2

          白血病感染抄 Vol.2 今回は2018年のEuropean Journal of Haematologyからです。 (European Journal of Haematology 2018; 100: 383-385) 今回の症例(ドイツ)25歳女性。原病はT-LBL, Rel1。アメリカで診断され、治療途中でドイツに移動。PRでPT-CY Haplo移植を施行。前処置中に下痢grade1を認めるようになり、day18にはgrade2になった。好中球が380/μLに増

          白血病感染抄 Vol.2

          白血病感染抄 Vol.1

          血液疾患の感染症を症例報告から学ぶ「白血病感染抄」のVol. 1です。 今回は、Transplantation Infectious Disease 2021年12月の症例報告です。 Transpl Infect Dis.は臓器移植や造血幹細胞移植のおける感染症の予防や治療を対象としたジャーナルです。 では症例に参ります。 症例 63歳男性 疾患: DLBCL stage Ⅳ 第1再発期 主訴 発熱、頭痛、嘔吐 経過 R-CHOPで寛解後3年で再発し、R-I

          白血病感染抄 Vol.1