澤村伊智「さえづちの眼」

「わたしは人じゃないの。強いて言うなら”さえづち”かしら」郊外にある架守家では不穏な出来事が続いていた。短期間で入れ替わる家政婦、廊下に響く何かの這いまわる音、深夜に現れる赤い目。やがて架守家の一人娘・冴子が失踪し、数十年後には当主が「アカイ、メ」と言い残して死ぬ。 架守家への祟りを鎮めるために依頼された霊能者は、比嘉琴子と名乗りーー書き下ろしの表題作ほか2篇を収録した、比嘉姉妹シリーズ初の中篇集!
(以上、裏表紙より)

   * * *

「母と」
児童保護施設に現れる怪異。エスターを思い出した。

「あの日の光は今も」
子供の頃の超常現象の体験がその後の人生を一変させた。部分的にファミコンゲームのMOTHERを彷彿とさせる。

「さえづちの眼」
おおきいへびのでるおうち。


正直に申し上げると期待外れの一冊だった。
ホラーって怖いものの正体が分かるまではサスペンス色が濃いじゃない?
かと思うと正体が分かった瞬間勢いが削がれる作品って往々にしてある。個人的には映画でよく見るパターンだと思う。
自分の考える一流のホラーは正体が分かってからも怖さがそのまんま持続する作品。
まあ本書に関しては怖いと思える場面一回もなかったんだけど。

血縁関係由来のどろどろした人間関係が原因で~、っていうストーリーテリングのメソッドが著者のなかで確立されていて、手先で書いてる感が否めない。
なのできっちり手堅くまとまっていて予想外の驚きがない。
比嘉姉妹シリーズおなじみの、謎の四文字単語もさらっと解説しててちっとも驚きを与えてくれない。
まあページターナーとしての手腕が薄いです。
ので、サスペンスとしてもいまひとつ。

まだまだ著者に期待しているんで出たらとりあえず読むけど本書は自分的澤村作品ワースト一位。
尚「邪教~」「ひとんち」「ばくうど~」未読。楽しみにとってある。


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