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魔性の女
女に生まれ堕ちたその日からきっと戦いは始まっているのかもしれない。
美しく生まれるかそうでないのか。
女として生きて来て、ひしひしとそれを感じて来た。
勉強さえしとけばいいという毒親に育てられ気づけば地味で流行さえ分からないさえない女になっていた。
美人の親戚のおばさんに服装があまりにダサくて心配されて服を貰った事もあった。その時に、思った。もうこんなんじゃいけないのかもしれないと。
それからは美容を意識して生活するようになった。美容院に行き、眼鏡を外し、雑誌を読んだ。
雑誌の中の美しいモデルさんたち。眩しいくらいキラキラしていて。
いくら勉強したところでそこまで出来る脳みそでもないし、誰も賞賛してくれないけど、可愛い格好したら褒めてもらえる。結局女は頭が悪くたって可愛ければなんとかなるんだと分かってしまった。
そう勘違い。
世の中には賢くて育ちもよく性格もいいという女が存在する。
毒親の目を盗んで遊び呆けていたけれど、そんなの安い女のすることなんだともう少し大人になって気付いた。
魔性の女と呼ばれる女子と仲良くして、技術を真似した事もあった。彼女は美人、スタイル抜群、天真爛漫。
私はただの引き立て役でしかなかったけど、彼女から学ぶことは多かった。
可愛い子は理想が高くない。彼氏は全員学歴は高かったけど容姿のいい男子ではなかった。
私は性格も学歴もどうでもよくてジャニーズ系みたいなイケメンとしか付き合わなかったけど、別に大事にされてはいなかった。今考えたらダメ男だったし笑
対する彼女は彼氏に大事にされていた。
そう、彼女は自分を愛してくれる人を選んでいた。
結局、何だかんだいっても女の幸せはそこに尽きるんだと思う。
他人軸じゃなく自分軸。影では「なんであの容姿持っててあんな人と付き合ってるの?」と言われていたけど、きっと分かっていたんだと思う。
居心地の良さが女を綺麗にすると言うことに。
環境が変わり自然と彼女とは連絡しなくなってしまったけど、きっと要領良く生きているんだと思う。
天性にそれが分かるって羨ましい。
並の女にそれを教えてくれた彼女は私にとっても魔性の女であった。
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