シェア
tistou
2024年3月10日 23:42
部屋のブレーカーが落ちたとき、君は手にドライヤーを握りしめていた。薄闇のフローリングには月明かりがレースカーテンを通して水面のような模様を映している。それは君の足元にも不規則な影を落とす。君はそのままの姿勢で硬直して、影の形を目で追いながらふと、まるで忘れていた遠い記憶を思い出したみたいにふと、自分は何のために生きているのだろうかと考えた。 それはある程度年を重ねてから人並みに考えてきたことの