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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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#家庭菜園

地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

手洗いと草マルチ 【地方空き家サバイバル,28日目,2022/6/19(日)】

移住して4週間たった。まだ洗濯機は買ってない。置く場所が定まらないのと,手洗いに可能性を感じるからだ。今は週2回ほど手洗いしている。手洗いの課題は、すすぎと脱水。すすぎは,バケツとタライの導入で効率が跳ね上がった。だが、まだまだ石鹸カスが残る。脱水は手つかず。腕力で絞っている。何かスマートな方法を考案したい。 そんな私の,手洗い生活28日目を記す。 やったこと今日やったことは,以下のとおり。 ・庭のゴミの発掘 ・畑に草マルチ ・洗濯(手洗い) 草は草で制せるかこれからは

野菜への信頼を育む 【地方空き家サバイバル,26日目,2022/6/17(金)】

種をまき,ほっとする。芽が出て,またほっとする。家庭菜園ビギナーの私にとって,種という小さな粒が野菜に化けるのは信じがたい。ひとつひとつ自分の目で確認しながら,野菜との信頼関係を築こうとしている。 今日は,種をたくさんまき,苗をたくさん植えた。インゲン,ラッカセイ,エンサイ,オカヒジキ,サニーレタス,バジル,エダマメ,モロヘイヤ。これらの野菜はどのような生育を見せてくれるのか。雑草まじりの未熟な土という,過酷な環境で。 だいたい種まきは終わった。これからの1ヶ月は雑草との

省エネと種まき 【地方空き家サバイバル,25日目,2022/6/16(木)】

電気の小売会社を変更したため,2週間分の電気代の請求書が届いた。 移住してからの2週間の電気使用量は14kWhだった。1ヶ月に換算すると約30kWh。ガスも車も使っていないことを加味すると,まあまあ省エネな暮らしができていると思う。うれしい。 電気を使うのは,IHコンロ,ドライヤー,スマホとPCの充電,LEDランタン用の単4電池の充電くらい。昨日から,冷蔵庫が入ったため,来月の電気使用量は上がるだろう。メーカー仕様では月25kWhくらい。今月の電気使用量と同じくらいでビビる

ワイルドな遊び場 【地方空き家サバイバル,22日目,2022/6/13(月)】

今日は,庭の畑に畝をたてた。畝立て作業は,楽しい。子供の頃,砂場で街を作ったことを思い出す。道路や川をつくる気分で,通路の土をすくい,畝に土を盛っていく。ここはサトイモ,ここはホウレンソウ,と区画をくぎっていく。3×3mくらいの小さな畑なので,1時間くらいで終わった。楽しい範囲で終わるのが,家庭菜園のいいところだと感じた。 近所をうろつくと,家庭菜園をやっている畑をたくさん目にする。それぞれの人が思い思いの畝をたて,野菜の街をつくっている。支柱のたて方,ネットのはり方など,

レジ打ちと対人不安 【地方空き家サバイバル,19日目,2022/6/10(金)】

今日は,ホームセンターでレジ打ちのパート。島根に移住してから,最もたくさんの人と接した日だった。独り身なので,誰とも話さない日もある。近所の人は積極的にからみに来てくれるが,それでも,誰も来ない日もある。 レジ打ちの仕事は,人と接する機会を持てて良いのかも知れない。というのも,コロナ禍で家に引きこもっているとき,じゃっかん対人不安が強くなった経験があるからだ。そのときは,何をされるわけでもないのに,周りに人がいるのが嫌だった。気になり,『社交不安障害』という本を読んでみた。

にぎやかな畑仕事 【地方空き家サバイバル,18日目,2022/6/9(木)】

畑を耕してから,2週間たった。ポットにまいた種も,芽が出て十分育ってきた。天気も晴れ。今日は植え付け日和だ。畑での作業に精を出した。 畑で作業していると,たくさんの人に声をかけられた。畑を貸してくれた人,近所の人,近所の保育園や介護施設の職員,そして,散歩にでた園児たちの大群。ここ島根の文化なのだろう,通る人はみな,挨拶したり,話しかけてくる。 いい場所の畑を借りられた。 通る人たちも楽しめる畑になるといいなと思う。 そんな私の,家庭菜園生活18日目を記す。 やったこ

ガラスを切ったあとの寿司は旨い 【地方空き家サバイバル,11日目,2022/6/2(木)】

嬉しいことに,近所の人は私の移住を歓迎してくれている。今日は,寿司をおごってもらってしまった。たしかに嬉しいのだが,複雑な気持ちも感じる。私は33歳。もう与える側の年齢だと思っている。しかし,もらってばかりだ。今までも,いろんな恩を受けて来た。しかし、返せたことはほとんどない。今回の恩も,返せない気がする。しょうがないから,恩送りスタイルで,別の人にささいな手助けができれば良いことにするか。幸い,体力と時間はある。今の自分にできることをやろう。 そんな私の,地方移住生活11

【まとめ】現在の生活状況【地方空き家サバイバル10日目,2022/06/01】

島根の空き家に移住して10日間たった。家の状況がわかってきたので,自分の状況とあわせてまとめた。結構やばいけど,退屈はしない。そんな生活をごらんあれ。 家の状況・2部屋の床にシロアリの被害あり。 ・西側の窓がワレまくり。 ・風呂場の窓が割れ,壁が崩れかけている。水浴び場としては使える。 ・トイレは,山小屋のトイレみたいなもん。わりとキレイ。 ・キッチンはOK。結構キレイ。壊れた換気扇の汚さが気になるくらい。 ・無事な部屋が,4つくらい。 生活環境・冷蔵庫なし(毎日スーパー

マヌケは発明の母 【地方空き家サバイバル,6日目,2022/5/28(土)】

私はけっこう,ヌケている。今日も,苗を作るために,ポットに土を入れ,種をまき,水をあげようとしたら,ジョウロがないことに気づいた。ホームセンターには毎日通っているのだし,どこかで気づけなかったものか。しょうがないので,食品トレーに箸で穴をあけ,そこに鍋で水を注いでみたら,なんとかジョウロ的に機能した。 「必要は発明の母」というが,私のヌケている性質は,様々な必要と発明を生んでくれるようだ。なんてね。まったく,世話がやける。 そんな私の,発明生活(?)6日目を記す。 やっ

朝日とヘビと挨拶と畑 【地方空き家サバイバル,5日目,2022/5/27(金)】

5時半,朝日とともに起床。念願の朝日だ。これまで3年間,あまり浴びれなかった朝日だ。スーパーで早朝品出しのパートをしていたため,日の出前に起きて出勤する日々を送っていたのだ。 お気に入りのランニングコースを走っている途中,ヘビと遭遇した。思ったよりも速く移動することに驚いた。ウネウネした動きもカッコいいと思った。 家の前に戻ってくると,犬の散歩をしている人に挨拶された。この地域は,挨拶する文化があるようで,出歩いているとよく挨拶される。 こんな,ささいな発見や感動を噛み

ツルツルからザラザラへ 【地方空き家サバイバル,4日目,2022/5/26(木)】

ヒトは環境の影響を強く受けるという。例えば,旅行や登山などで,いつもと違う環境にいくと,いつもと違う思考や行動が出てくる。だから,私は旅行や登山が好きだ。しかし,今回の移住はちょっと不安だった。環境ががらりと変わり,これまでの自分がいなくなるんじゃないか。そんな,不安だ。 不安は杞憂だった。いまのところ,これまでの自分はいなくなっていない。と思う。地方といっても日本。スーパーに行けば,見慣れた食材が並んでいる。家がボロく汚くなっただけだった。 ただ,意識は変わった。なんか

手洗いと鍬(くわ) 【地方空き家サバイバル,3日目,2022/5/25(水)】

今日も日課である,朝のランニングから始まった。昨日は山のほうへ行ったので,今日は川のほうへ行ってみた。朝5時の静かな川沿い。そこで,400mを全力疾走する30代男性。一人静かに歩いていた,おばあちゃん。ごめん,静かな時間を邪魔して。広々とした川沿いを走るのは,とても気持ちよかった。 ランニングのあと,家の近くに借りられそうな畑がないか,物色した。川沿いに耕作放棄地があったが,まわりが田んぼだったので,畑作には向かなそう。一方で,家の近くに,良さそうな畑を発見した。ここは誰の

フジツネの精神 【地方空き家サバイバル,2日目,2022/5/24(火)】

『となりのトトロ』のパパになった気分で,家の状態を確認し,虫の洗礼を受けた初日。荷物も届き,近隣住民にも歓迎され,安心して熟睡できた。 昨日挨拶した近所のおじさんが気にかけてくれて,色々と話をした。おじさんの本業は塗装職人っぽいが,日本の各地で多種多様な仕事をしており何者なのかつかめていない。こんな面白い実践家になりたいと思った。 そんな私の実践生活2日目を記す。 今日やったこと今日やったことは,以下のとおり。 ・道具の調達 ・庭の開墾作業 ・祖父母の遺品整理 今回