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健常、品性、ふつう。。。みんな妄想。

私が分かるように一言で答えて欲しいというのは本当の問いとは言えません。
本当にお聞きするほかないという問いにぶつかったときには、何年かかっても聞き続けねばおれないのです。

            一楽真


先日、2回にわたってNHKの「バリバラ #ふつうアップデート 俳優になれるのは心身ともに健康な人?」が放送された。

各種オーディションや養成所やプロダクションの公募要項に「心身ともに健康な人」とあり、障害者と言われる人々は役者にも声優にもなる道を断たれていることをテーマにしてた。

「心身ともに健康な人」って何?
何をもって「心身ともに健康」と言えるの?
と、まぁ、当たり前に感じた。

番組に出ていた映画監督の #三島有紀子 さんと俳優の #常磐貴子 さんは呆れていた。
「はぁ?」て感じで呆れ笑い、
映画監督の三島さんは、「そんなこと言ったら、この業界、心身ともに健康な人なんていませんよ。みんな、なんらかを持って、それを表現したくてやってんだし、それ無ければ逆にできない」旨のことを語っていた。

声優を目指した人が、車椅子生活者だからできない、という異常な世界を報告した。
理由は、音撮りの場所は地下などが多く、エレベーターもないところが多数で、車椅子だとたどり着けないから、って、それだけの理由で書類審査で落とされるわ、養成所に通っていても養成所の人から諦めろと言われるわ、と、ビ・ツ・ク・リ!ビックリな理由。
俳優の常盤さんは「そんなのみんなでおろしてあげればいいだけじゃない」と呆れ顔。

2人ともそんなクソみたいな条件で、いままで、多くの人が役者や声優の道を諦めていたことを知らなかったことに、「心身ともに健康な人」という条件が掲げられていることを業界にいながら自らも知らなかったことを恥じていたようだ。

それを観ていて思った。
うちらの業界はどうなんだろうか?
別に批判や非難ではない。
自分自身も三島・常磐両氏同様、そんなことすら考えたこともなかったので、いや、少しはどうなんだろと考えたことはたまにはあったけど、興味本位でしかなかったし、その場限りの問いでしかなかったので、宗派や宗教界のことをとやかく言えた義理ではない。

得度するにも、教師免許を取るにも、声明作法てのがあるけど、その辺りはどうなってんだろか。
たぶん、法要などで読経はできなくても、うちらの宗派で言えば、真宗の、親鸞が伝えたかった仏法のホントのところに近づける人はたくさんいると思うし、それを伝導できる人、教化できる人は、車椅子生活者であろうと寝たきりの方であろうと多くいると思う。
そんな人が、例えば、起きることもままならず、寝たきりの状態だけど、真宗の教えを広めたいという人がいた場合、その人が得度できる、教師免許を取得できるようなシステムあるのかな?
そんな疑問が素直に湧いた。

これ、ちょっと、今度、仲間内で問いかけてみて、意見を聞かせてもらお。

だれでもできるという、なんでもOKということにしろ、というのではない。
入り口から入室禁止というのはどうなんだろうか?という問いを先ずは持つことが大事な時代になってきている、その認識を社会が当たり前にしていくことから始めることは、健常者と言われている、「心身ともに健康」と勘違いしているわれわれにとっても生きやすい社会にする一助となると思う。

三島・常磐両氏が言っていた。
「役者に成る、表現者になるということは、自らの負の部分も全てさらけ出す覚悟がいる。それすらも個性という武器として活かす世界だ」と。

三島さんは自らのFacebookで番組収録後、
「表現者とは、かくも痛みを伴い、かくも残酷な仕事なんだとあらためて痛感させられました。自分も含めて。品性とは一体どこに線引きがあるのでしょうか?
考え続けたいです。」
と、強烈な言葉を載せられている。

でも、これ、どんな社会、どんな仕事でもあることだと思う。
みんなでいっしょに考えていかねばならないテーマだとも思う。

なぜならば、皆、自分を生き、自分を表現して生活しているのだから。

自らの人生の主役であるのだから。

自らの人生において脇役にも、演出家にも、証明や音響の担当にも、舞台監督や大道具や小道具などのスタッフにも、ましてや観客にはなれない。

主役であるという自覚は自らを過酷に追い込む。
でも、自らをを主役足らしめてくれている一つ一つの存在が見えた時、その存在に安心と信頼が生まれる。
ひとりじゃないんだな、と思える。

そんな社会にしていくためにも、問いを諦めないでいたい。


話は変わるが、この2回では身体障害者の演技塾を作る(オーディションをして)のが主テーマになっていたのだが、その塾長を務めることになったのが、「バリバラ」のナレーターで俳優の #神戸浩 さん。
神戸さんは学生時代からずっと「いいなぁ〜、この役者」と思っていた人。
当時は名古屋の「彗星'86」という #北村想 さんが主催していた劇団でかつやくされていた。
その後、映画やドラマでも活躍されている方だ。
個人的には山田洋次監督の「学校Ⅱ」での #吉岡秀隆 さんとの絡みで見せてくれた芝居が一番好きだな。

で、その神戸さんが塾長の「神戸塾」。

今後どうなるのかは分からないが、何かしら公演や、発表会のようなことがあれば、ぜひ観てみたいと思っている。

個人的に感じているのは、いますぐには無理でも、ゆくゆくは「神戸塾」にも「心身ともに健康な人」と言われる健康じゃない人間も入り、色んな人が入り乱れて芝居をつくるのは当たり前、という風を吹き込んでもらいたいな。

で、文学座だろうが、青年座だろうが、四季だろうが、色んな人がいろんな個性で籠城する、そんな劇団に変わっていくきっかけになればなぁ〜、なんて、他人事に思っている次第。

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