ドラゴンクエスト楽曲分析

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ドラゴンクエスト楽曲分析

https://www.youtube.com/@dq-music にアップしたドラゴンクエスト楽曲を分析しています。

最近の記事

ピアノで簡単にコードとメロディを弾く方法

コード付きメロディ譜が手元にあるときに、初学者でもメロディとバスとハーモニーを簡単に弾く方法を説明する。 左手バス、右手メロディ+ハーモニーが基本 外声については、バスが左手、メロディ(トップノート)が右手は異論のないところだろう。内声については左手と右手で協力して弾くことになるが、左手はたくさん弾くと音が濁る(Low Interval Limit)ので、右手でハーモナイズするのが基本となる。 このとき、バスとメロディの音程ごとに弾くべき内声が変わる。 以下、Cコード(

    • 「この道わが旅」のメロディは、なぜ普遍的か

      作曲において、閃きと創造性が問われるメロディメイキングは最も重要である。すぎやまこういち先生の名曲「この道わが旅」(ドラゴンクエストIIのエンディングテーマ)は普遍的なメロディだと思うが、穂口雄右氏による「繰り返し聴いても聴き飽きないメロディー」のつくりかたを元に論理的に分析してみよう。 フレーズ解析「この道わが旅」はA-B-Aの三部形式である。Aが16小節、Bが8小節。 さいきんのJ-POPはA-B-C形式、つまりサビを頂点にする楽曲が主流であるが、1980年頃までは、A

      • フィナーレ(ドラクエ1)楽曲分析

        ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第8弾。 ファンファーレ(1~8小節) 凱旋のファンファーレから始まる。全体としてはドミナントのGであるが、3~4小節はEm F GというStep Tone Motionが現れる。ここで大事なのはほとんどが第二転回形が使われているということである。5~6小節のF A♭ B Dというサブドミナント諸和音の平行移動は第一転回形が使われている。これらの和音は標準形で使用すると必ず平行5度が生じるため、5度を消失させるために転回形を用いるということで

        • 竜王(ドラクエ1)楽曲分析

          ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第7弾。 竜王が真の姿を見せた時に画面をはみ出すグラフィックと相まってラスボス専用曲(当時はラスボスなんて言葉も無かった!)が流れて全勇者が興奮したことだろう。(私はリアルタイムでプレイしてないのが残念) イントロ(1~2小節)イントロは「ミ・ラ」⇔「レ・シ」の繰り返し。スタッカートで4分連打することで切迫感を煽るのは、すぎやまこういち先生のラスボス曲定番の手法。無理やりコードにするとAm⇔Gとなっており、「洞窟」のような無調感は無い。むしろ

        ピアノで簡単にコードとメロディを弾く方法

          洞窟(ドラクエ1)楽曲分析

          ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第6弾。 階を降りる度に短3度ずつ下がり、竜王の城はB8Fまであるので、最終的に長13度下がることになる。プレイヤーの心理を的確についた、最強ゲーマー兼音楽家のすぎやまこういち先生ならではのアイデアだと思われているが、実のところ、当初は6小節だけの曲だったらしく、テストプレイで延々と6小節が繰り返されると苦痛になることが分かって、急遽テンポと音高を下げていくことにしたらしい(出典はこちら)。納期が1週間ということで変わりの曲を作る時間は無かった

          洞窟(ドラクエ1)楽曲分析

          戦闘(ドラクエ1)楽曲解析

          ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第5弾。 後のシリーズの戦闘曲と比べると驚くほどシンプルな作りだが、そもそもドラクエ1は1対1の簡素な戦いなので、このくらいがちょうど合っているのかもしれない。 イントロ(1小節)+主要部(8小節)+接続部(2小節)から成る。 イントロ(1小節)C7(b9)のアルペジオ2発で戦闘に入る。key:Fmなのでb9(レ♭)テンションはごく普通。トップノートがb9になるように配慮してある。64分音符のイントロはシリーズ随一の細かさだと思う。ちなみに

          戦闘(ドラクエ1)楽曲解析

          ドラクエ1全曲楽曲分析

          たった8曲、されど8曲。偉大なゲーム音楽の歴史はこの8曲から始まった! 序曲 街の人々 ラダトーム城 広野を行く 戦闘 洞窟 竜王 フィナーレ

          ドラクエ1全曲楽曲分析

          広野を行く(ドラクエ1)楽曲解析

          ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第4弾。 ドラクエ1のフィールド、アレフガルドの曲である。序曲がドラクエシリーズ全体に共通するテーマなら、こちらはロトシリーズを貫く重要なテーマ曲となっている。 前半(1~6小節)前半(1~6小節)はバスがDのペダルポイントを貫いている。キーはDmで、ふつうはAeorianだが、ところどころDorianとなる(コードがG/D、メロディにシ♮が入るところ)。AeorianとDorianの比率5/12で半々くらい。中世と古典の中間の響きで、素朴な

          広野を行く(ドラクエ1)楽曲解析

          ラダトーム城(ドラクエ1)楽曲解析

          ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第3弾。 ドラクエ1には城がラダトーム1つしかないので、曲名もずばりラダトーム城。2声のバロック音楽ということで、バッハのインベンション(とくに13番)を連想する格式高い曲調である。 動機x:8分音符x4。上声は保続、下声は下行でジグザグする音形 y:8分音符x4。第一音が最高音のアルペジオ z:16分音符の刺繍音を伴ったアルペジオ Aパート(1〜8小節) バッハのインベンションさながらの動機x(1小節目)、動機y(2小節目)で呼応する対

          ラダトーム城(ドラクエ1)楽曲解析

          街の人々(ドラクエ1)楽曲解析

          ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第2弾。 ドラクエ1にしては具体的なタイトルがついている楽曲。 ドラクエ1はオープニング、エンディングを除いて基本的に2声で作曲されている。そのためかメカニカルな曲が多い気がする。その中で本曲は例外的(?)にメロディアスなため、伴奏とメロディが有機的に結びつき、短いながらも高度な声部処理がみられる。 メロディ動機x:8分音符x4(タラララ) y:4分音符+8分音符x2(ターララ) z:16分音符のリズミカル動機(タッタラタッタッ) w:4分

          街の人々(ドラクエ1)楽曲解析

          序曲(ドラクエ1)楽曲解析

          ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第1弾。 日本人なら誰でも知っている第二の国歌?、ドラゴンクエストの序曲の楽曲解析を行う。分析すればするほど、これを5分(正確には54年と5分)で作ったすぎやまこういち先生の力量に驚嘆の度合いが増すだろう。 楽譜にいろいろ書き込んでみたので、これらの記号と照らし合わせながら本文を読んでいただければ幸いである。 序奏(Intro)冒頭いきなりホルン5度で始まる。移動ドで上声がミレドレミ、下声がドソミソドと動くのがホルン5度といわれる音形だ。途

          序曲(ドラクエ1)楽曲解析

          迷いの塔(ドラクエ6)ハーモニー解析

          迷いの塔は特定の調には属していないが、コード&スケールがかろうじて対応している(早くもここで書いたガイドラインがねじれる事態となってしまった…反省)。どこかジャズっぽい響きがするのはスケールが確立しているおかげだと思う。ということは解析すると何か見えてくるかもしれない、ということで敢えて迷い込んでみよう。 ※リズム解析はこちら 序奏 「ラ」の音にトニック感を感じる。ドやソなどブルーノートにあたる音と組み合わせたフレーズになっているため、下段はA Blue Note Sc

          迷いの塔(ドラクエ6)ハーモニー解析

          迷いの塔(ドラクエ6)ドラムアレンジ解析

          ドラクエ6の「迷いの塔」は、歴代ドラゴンクエストの楽曲の中で最もドラムが躍動する異色曲である。一方オーケストラ編曲は冒頭のカウベル以外は木管四重奏のシンプルな構成となっており、ゲーム音源との乖離が甚だしい。 それもそのはず、ドラムアレンジはドラゴンクエストVIのサウンドチームの崎山仁さんが追加したものである。すぎやまこういち先生を心底尊敬する私としては他の人のアレンジが混ざってることを知り複雑な思いをしたが、それでもSFCアレンジは、すぎやまこういち先生の現代音楽エッセンス

          迷いの塔(ドラクエ6)ドラムアレンジ解析

          大海原へ(ドラクエ5全楽曲解析)

          楽曲構成前奏(2小節)-Aパート(12小節)-Bパート(8小節) 前奏(2小節)物語冒頭のビスタ港に向かう航海のシーンのみ流れる。波打つようなフルートの3連符、金管の和音でgrooveを整えている。F/Gという浮遊コードが壮大さを予見させる。 フルートの2重奏も浮遊度の高い4度ハモである。 Aパート(12小節) ストリングスが「レミソラ」を主体としたメロディを雄大に奏でる。「レミソラ」はアボイドノートにならないため、コードが移り変わる中でテンションメロディとなり印象派

          大海原へ(ドラクエ5全楽曲解析)

          淋しい村(ドラクエ5全楽曲解析)

          この曲はリリース間際に、やはり村の曲が必要ということで急いで作った曲らしい。「カボチ村」と、適齢期のビアンカがひっそりと暮らす「山奥の村」で流れる。メロディは「街角のメロディ」から拝借。幼馴染ということで幼少期に流れた曲ということかも知れないが、ビアンカは「街角のメロディ」が流れる「妖精の村」には行ってないので、とくに関係ないと思われる(笑)。 メロディ「街角のメロディ」のうち、Aパート16小節だけを拝借している。ハネたリズムはなくなり、代わりにクロマティックな装飾音がとこ

          淋しい村(ドラクエ5全楽曲解析)

          街角のメロディ(ドラクエ5全楽曲解析)

          ドラクエ5全楽曲分析の1曲目は(無難に?)街角のメロディを選んだ。 楽曲構成(全32小節)Aパート(16小節)+Bパート(8小節)+Cパート(8小節) Aパート(16小節)リズム:パーカッションは3連符のリズムで4小節シーケンスの4回繰り返し。2小節目と3小節目の頭が休符、2小節目3拍目と4小節目1拍目が連打という凝ったもの。エレピベースとホルンでズンチャッズンチャッという行儀のよい3拍子のリズムを全面に出しつつ、凝ったパーカッションを隠し味にしている。 メロディ:1・

          街角のメロディ(ドラクエ5全楽曲解析)