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戦闘(ドラクエ1)楽曲解析

ドラクエ1全曲楽曲分析シリーズ第5弾。

後のシリーズの戦闘曲と比べると驚くほどシンプルな作りだが、そもそもドラクエ1は1対1の簡素な戦いなので、このくらいがちょうど合っているのかもしれない。

イントロ(1小節)+主要部(8小節)+接続部(2小節)から成る。

イントロ(1小節)

C7(b9)のアルペジオ2発で戦闘に入る。key:Fmなのでb9(レ♭)テンションはごく普通。トップノートがb9になるように配慮してある。64分音符のイントロはシリーズ随一の細かさだと思う。ちなみに上声と下声は全てユニゾン。横方向に高解像度のフレーズは縦方向には敢えて複雑にしないのがよいとの判断だろう。

主要部前半(2~5小節)

主要部はひたすら上声はタータラララの音形でタラララは半音上行、下声はタララッタッのアルペジオである。リズム的な変化が無いので和声進行を楽しむ楽曲となっている。マクロで見るとメロディはファシシ♭ラドシ♭シ♭ラというように跳躍上行からの(半)音階下行となっている。

Fm6 Fdim Gdim E♭dim Am7-5 Gdim G♭aug Dsus4 

DiminishコードはTonalityが無いため、自由にどの和声にも進行できるが、ベースラインだけみるとStep Tone Motionと捉えられる箇所が多い。Gdim→E♭dimについては、E♭dimはG♭dimと同形なので半音進行とも見做せるが、バスとメロディが短3度音程が続くのを嫌って、後続のAm7-5に代理進行で進めるようにE♭dimを採用したと思われる。G♭augはD♭augと同形なので後続のDsus4にスムーズに接続できる。

主要部後半(6~9小節)

前半はDのドミナントで終わり後半はkey:Gmにミクロ転調している。音形は前半と全く同じである。

Gm6 G7 C7(♭9) F7(♭9) B♭7sus4 B♭7 A7(♭9) D7

前半で多かったDiminishコードが 7th(♭9)コードに置き換わっているが、Diminishコードが7th(♭9)コードの根音省略と考えれば、響きに大きな違いはない。楽曲の終結に向けてドミナント感をより強調した形となっている。

ほとんどがドミナントの完全4度進行である。1箇所だけB♭7→A7(♭9)が半音進行になっているが、A7(♭9)はE♭7の裏コードなので実質ドミナント進行と同義である。

接続部(10~11小節)

ループ先頭に戻るブリッジとして3連符のDiminishコードが2小節続く。

DiminishコードはGm Gdim G♭dim Fdim Edim E♭dim Edimと半音で接続されている。上声と下声のインターバルは前半が6度後半が3度となっている。Edimからループ冒頭のFmへも半音で接続されている。

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