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幻想を見ていた私②




そういう私の気持ちを、わかってほしいけど、今の両親、妹にはきっと伝わらないだろう...と思いました。だから、今、言えないと思いました。
宗教が間にあり、壁となり、バイアスが掛かっていると思いました。
そして、私は、なんとなく、以前からずっと、宗教バイアスが掛かった両親達のその奥か先か向こうかどこかに、別の、宗教バイアスのない、'本来の'両親達が存在する、という感覚を持っていました。
宗教バイアスがある両親と、ない両親。その差が何かという事は、はっきりとはわからない感覚でしたが、でも、なんとなく、別に存在している、感覚でいました。

そして、そもそも宗教バイアスがなくても、私の両親はもしかして2人とも、2人が育った環境や育ての親の影響から身につけた、愛着障害傾向があって、そのために、愛情の受け取り方や表現に歪みがあるのかも(あったのかも)しれない、と思いました。
そしてそれは、双方の家系に、前の世代から代々続いてきたかもしれない、負の連鎖。両親はそれぞれがそういう家族連鎖を体験し、もしかして私と同じような生きづらさを抱えて生きて、宗教を拠り所とし、今に至っているのではないか、と思いました。
両親達を、癒せないだろうか、宗教から取り戻せないだろうかと、思いました。


私は、宗教バイアスがない両親ならば、
そして、もしも、愛着障害傾向がある両親でも、まず宗教バイアスを取り除き、その後適切な方法で関わる事で、愛着障害傾向を癒す事が出来たならば、もしかして、親子愛が、気持ちが、通い合うような関係になれるかもしれないと、思いました。
そんな事、幻想かも、しれないけれど、そんな幻想を追い求めて、私は今からでも両親を癒し、宗教教義に頼らなくても、両親は、本来の心と感情を取り戻して、
心から笑って、残りの人生を生きる事が出来ないだろうか、そのために私は何か出来ないだろうか、と思いました。
思考が飛躍しました。



その後、冷静に、考えて、今の関係性の私が、両親の宗教バイアスを取り除く事、本人達の、愛着障害傾向に向き合う事も、可能なのだろうか、と考えると、それは、途方も無く難しい事...と思いました。
本人達が、その事を望まなければ、そういう話しをする事から無理で、私はそもそも両親に出会う事から、関わる事から難しい。
それを覚悟で関わるのなら、私側にも想像を超える心身の労力が必要。時間も手立ても環境も必要...。
あまりにも、難しい...と、思いました。
それにそれは、両親それぞれの心の領域、生き方、本人の課題、でもある。誰も代わりに引き受けられない領域の事。本人達が望まなければ、たとえ娘であっても、そこに土足で踏み入るような事は出来ない...、と思いました。
仮に、万が一に出来たとしても、今更、宗教バイアスを取り除く事が、高齢の両親にとって幸せな事なのだろうか...などなど...


そんな思考が、どんどん拡大してしまい、頭の中がパンパンになりました。
思考が整理されず、ぐちゃぐちゃになり混乱しました。そして思考の堂々巡りをしながら整理をしていき、今、自分が考えている事は、すべて、到底実現不可能だという事を理解し、打ちのめされました。
どうにもならない事を考えている。
どうにもならない事なのに考え過ぎている。
どうにもならない無力感と、気づいた時が遅過ぎた...、今からではもうすべてが遅い...、
時間が足りない...、どうにもならない...、
と感じ、落胆しました。
今、この時になって、気づくなんて...と思いました。

私は、ずっと、これが本来の姿だと思い描く両親と、現実に関わる両親に差を感じていました。
私の両親は、本当の姿も、宗教バイアスが掛かった状態と、同じなのだろうか。
宗教バイアスが掛かった今の両親が、本当の両親の姿なのだろうか。
宗教バイアスが掛からない両親に、入信前の両親に、もう戻る事はないのだろうか。
元に戻った両親と、関わる事は、もう、無理なのだろうか。涙が溢れて止まりませんでした。
元に戻ってよ、お父さん、お母さん、○○ちゃん(妹)、宗教を信じる前のみんなに戻って。戻ろうよ。と思いました。
思えば私は、実家に居る頃、家族とは違う生き方をすると決めた後、1人の部屋で日々この事を思って泣いていたように思います。どうしてうちは、こんななんだろう...、どうしてうちだけ...、どうして私だけ...、と思っていました。
流した涙が、遠い過去に流した記憶がある、同じ涙に感じました。

無理な事を、どうにもならない事を、延々と考えていました。
冷静に、考えると、もう、両親が信仰してから長い長い年月、約40年以上...が経っています。
今からは、もう、...変わらない...変われない...。
それが現実で、現実をちゃんと見ないといけないんだ、と思いました。
元に戻った両親、という姿は存在しないのかもしれません。今の宗教バイアスが掛かった両親が、元の両親で、今の現実の両親。という事なのでしょうか。... ... きっと、そういう事なのかもしれません。



(続きます)

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