奈倉有里さんのエッセイ「幸福、ゴンチャロフ」日本経済新聞夕刊2023.10.4

 ロシア文学者の奈倉有里さんが日本経済新聞水曜夕刊で連載中のエッセイを毎週楽しみにしてます。

2023.11.22は「太陽、バリモント」
〈太陽のようになろう!誰が僕らを 栄光の道に導くかなんて忘れて(・・・)いつも若々しい太陽になり灼熱の花を撫でよう〉
コンスタンチン バリモント
「太陽のようになろう」

でした。一方・・・

2023.10.4は「幸福、ゴンチャロフ」
〈幸福はまず幻想と希望と、人を信じやすい心と自信で織りなされ、そこに愛や友情が加わって・・・〉
イワン・ゴンチャロフ「平凡物語」

「平凡物語」の夢みがちな主人公アレクサンドルが迷いのなかで発する「幸福」の定義について、奈倉さん自身の経験から検証された後、物語の結末に触れ、下記のようにまとめます。

「人が人生の中で失っていくものの多さにはっとさせられつつ、考える-幻想や希望や信じやすさや自信といったものは不安定で「いかに幸福な生活を継続させるか」を説くような幸福論には結びつかない。けれどもその不安定さは、うつろいやすい幸福そのものに似て、目を凝らし続けることが重要なのではないかと。」

 客観的に見れば「幸福」に見える人も、本人は「毎日つらい」と感じながら頑張っている結果、周囲には「幸福」と見えているかもしれませんので、「幸福」の定義は難しく、確かに不安定な状態だと思います。

 11.23は勤労感謝の日=新嘗祭の日。

「今日もきっと素晴らしいことが起こる!」
「今日1日の区切りで生きる」
「8勝7敗レベルの幸せ」

と毎日自分を鼓舞しながら過ごす毎日。束の間の休日はありがたく、朝から、ひなたぼっこしながら、松田理奈さんのバイオリンの音色を聞きつつ、コーヒーを入れ、奈倉さんのエッセイや小川糸さんの「椿の恋文」を読んでました。
 
 ささやかな幸福感を感じられる時間でした。

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