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子供への金融教育は大事。でも初等教育で教えるのは、けっこう難しい。

2022年度から高校の家庭科で「資産形成」の指導が始まるなど、昨今、金融教育の重要性が言われています。背景には、日本では欧米ほど「お金」に関する教育がされていない、という状況があります。

関連記事:日本の「お金」の教育が、いまだにアメリカに比べて時代遅れなワケ(2019.12.14 マネー現代)

子供を持つ親であれば、生活していく上で必要な金融教育を子供にしてあげたいと思うものではないでしょうか。

「お金」について教えるにあたり、まず「経済」について学ぶ必要があります。遅くとも、高校の段階では最低限の知識を身に付けた方がいいとして、「お金」や「経済」に関する教育はいつから始めるのがいいのでしょうか。明確な答えがあるわけではありませんが、未就学でも小学生でも、日常生活の中で機会を見つけて教えてあげるのが良いのではないかと思います。

しかし、いざ教えようと思っても、なかなか難しい。なぜか。物理や化学は直感的に分かることもありますが、「お金」や「経済」は目に見えない概念・考え方、なので初等教育で理解するのは高度なことのように思われます。

先日、以下のようなエピソードがありました。

小1の息子と電車に乗った時のこと。その電車は都心から離れ県境へ向かっていました。4両程度で、乗客がまばらだったので、私は「この電車は採算がとれないだろうね」と言いました(私は子供と話す際に、子供に分かる単語を使うのではなく、あえて大人に接するのと同じように話します。語彙力を増やすためです)。すると、
息子「採算て何?」
私「赤字ということ」
息子「赤字って?」
私「もらうお金より出ていくお金の方が多いということ」
それでも息子は「?」という顔をしていたので、私は簡単な例を挙げてみました。

A君が100円で木の板を買ってきて、それでベンチを作った。
B君がそのベンチを欲しいと言ったので、A君は300円で売った。
A君の手元には200円がある。200円がもうけ、ということ。
電車の場合、たくさんお客さんが乗ってくれて、みんなが切符を買ってくれれば、その分お金がもらえる。
でも電車は修理したり働いてくれた運転手さんにお金をあげる必要がある。
お客さんが少ないと、もらうお金より、修理したり運転手さんにあげるお金のほうが多くなってしまうので、もうけがなくなる、ということ。

・・・息子はまだ「?」という表情。

ここで、なるほど、と私の方が学びました。「経済」は概念なので教えるのは難しい、と。

子供の「お金」に関する教育、というと「おつかい」があるかと思います。お金を渡して、お店でモノを買い、お釣りをもらう。確かにお金の使い方は学べますが、これは「消費」ないしは「需要」という経済活動の一部分でしかなく、その反対側である「生産」「供給」そしてその両方の全体的な仕組みを理解するのはなかなか高度なことです。家が自営業の子であれば小さい頃から馴染みがあるかもしれませんが、一般家庭では学ぶ機会があまりないのではないでしょうか。

ちなみに小1の息子は、「飛行機はなぜ空を飛べるのか?」という問いには「羽のところに空気が流れるから。宇宙では空気がないから飛べない。」と答えます。テレビなどから聞いた内容かと思いますが、それでも自分で納得しているようです。おそらく、紙飛行機を飛ばしたり、風で何かが舞ったりするのを見た経験から直感的に理解しているものと思われます。
一方、経済の話となると、お金でモノを買う、という経験はあれど、「利益」「もうけ」とは何か、どういう風にお金は回っているか、などは目に見えたり体感できるものでもないため、なかなか腑に落ちないのではないかと思われます。「お金」がなぜ価値があるのかも、大人でも説明が難しいですからね。

話を戻すと、高校までに最低限の金融教育はしたい。しかし、「金融」は概念的なものであるため、教えるのは容易ではない。では、小さいうちは教えるのはあきらめた方がいいかというと、そうではなく、むしろ高等教育だけで理解できるものでもないと考えられるため、小さい頃から機会を見つけて少しずつ教えてあげるのが良いのではないかと思います。

具体的にどうやって教えるかは、効果的な方法があればnoteに書きたいと思います(模索中です)。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

Photo by はむぱんさん


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