『沈黙のパレード』で黙り込むことに恐怖を覚えた
めちゃくちゃミステリー読みたいな。
そう思って書店をウロウロしていたら、懐かしい作品を見つけた。
東野圭吾さんの『ガリレオシリーズ』。
ガリレオのドラマがやっていたのは、わたしが高校生のとき。当時仲良しだった物理専攻で同じの男子が読書家で、めちゃくちゃ東野圭吾ファンだったことから、原作の文庫本を借りて読んだ以来でした。
この頃はめちゃくちゃ福山雅治さんがめっちゃ湯川先生のイメージぴったりすぎて。そして柴咲コウさんが内海薫さんにピッタリすぎて…!この2人のやりとりがめちゃくちゃ好きでした。
そんなガリレオシリーズから『沈黙のパレード』を読んだので感想文を書きます。ネタバレに触れる話があるかもしれないので、NGの方はリターンしてください。
ガリレオ先生、おかえりなさい!
ただ好きな実験をひたすらする湯川先生も立場が上がり、教授へと上り詰めた。ここからは、次世代を担う学者のために動かないとならず、ただ与えられる研究をしているだけでは済まなくなっていた。
そんな湯川先生、とある町にある小さな研究所に滞在している際。友人の警部である草薙に、時効とされていた過去の事件が再び繰り返されるのだ。
今なら、プライムビデオで観れるみたいですね!
くぅ〜!プライム会員になろうかな!?と悩みます。福山さん演じる湯川先生に会いたい!!
原作を読んで今なお思うのは、内海と湯川先生の中があんまりコミカルじゃなかったこと。あれは映像化するために脚色されたのかな…わからないけど、原作はもう少しお互いに淡々としていると言うか。そこは、映像の方が人との関係の臨場感があったように思います。あくまでわたしの所感ですが。
沈黙を貫いて無罪となる男
ストーリー開始時点ですでに犯人はわかっているんです。それがこの沈黙無罪野郎(口悪い)。お父さんが警察官だったことから、「自白させることができれば捕まえられる」武勇伝を聞かされて育った、悪い方に頭がキレる沈黙無罪野郎。ほんと胸くそ悪い。そして何より被害者が女性という点で、どうしてもこいつ許せないんだよなあ。気持ち悪いし普通に人として好きになれない。東野さんもこの犯人に好感を持ってほしいと思って書いてはいないと思うけどさ。
物証がででも、言質がとれず繰り返す釈放。このことに草薙はだいぶ手を焼いてるんだよね。1度ならず2度も。こっちもみていてもやもや胃の辺りが不快だった。警察が則る法律の隙間をかいくぐる奴は、別にこの殺人事件に限らず世の中にたくさんいる。
それを見事に小説の題材にした東野さんすごすぎる。これは本当に思う。
湯川先生がひとまわり人間性大きくなった
湯川先生は個人的にめちゃくちゃ融通の聞かない物理オタクなイメージだった。だったのだが、この作中では立ち位置の変化もあってか、すごく社交性が飛び抜けていたと思う。
同期の草薙の悩みも聞き、相談も受け「ガリレオ先生」として物理の知識を遺憾なく発揮する様…。
湯川先生、なんか人間になっちゃったなあ…。
なんて少しがっかりした。…いや!全然いいの、良いんだけど。前の自分の意見を通して内海薫にげそっとした顔させていた湯川先生が好きすぎたからがっかりしたんだと思う。あ、これは映像の方の影響が強いのかも。
誰も幸せにならない謎解きに思うこと
ミステリー読みたいから手に取ったけど、わたしがいちばん惹かれたのは終盤の湯川先生独断の動き。
警察は容疑者Xの逮捕に勤しむが、その裏で湯川先生は個人的に足を運び会いに行く人がいる。
実はこの人こそ今回の事件の根の方で関わりがある。このことは警察は知らない。それを湯川先生は警察に、草薙にまず言うことなく訪れて話をするのだ。
過去、『ガリレオ容疑者Xの献身』で、謎解きを真相を暴いたことで友人は幸せにはなれなかった。むしろ不幸を招いてしまった。その経緯から、湯川先生は謎解きをして暴くことがすべてではないと語っていたように思う。
わたしは白か黒かな性格をしている。だからこそこのわかっているのに「曖昧」にしておくということに抵抗があるのだ…だからもやもやした。
でも、その人に自分が置かれたときに、この湯川先生の配慮は正解か不正解の白か黒なら正解だったのだとわかる。この点はぜひ実際に手に取って読んでみてほしい。
大人になるほど、答えを追求しないことも時に必要なのかもしれないー。
そんなことを考えさせられる時間だった。
っていうか、湯川先生めちゃくちゃ人に寄り添えるようになってて驚いた…!奇想天外な湯川先生大好きだったから。わたし、変な人大好きなので(いい意味で)。
商店街の人たちの結束力に故郷を思い出す
これは今回事件になった被害者家族のいる商店街の人たちの結束力が見物。地方にいくほど、こういう結束力というのは大きいと感じている。
実際、わたしの故郷はド田舎で、プライベートもくそもあったもんじゃなかったんだけど。
この商店街の人たちもまた優しさや大切な仲間(というよりは家族という認識の方がしっくりくるかも)だからこそ自らも事件に関わっていこうとする所為がある。それで自らが咎められることになったとしても、だ。
この手の人との関わりについて、わたしは良くも悪くも身近になくした人間なので、ジャッジはしないししたくない。できるわけない。わたしはもうこういう関係にはほとほと疲れてしまったから。
でもこういう同じ郷に住む仲間(家族)を大切にする地域はまだまだたくさんあるだろう。だからこそ、この作品は刺さるのだ。経験しているわたしにも、そうでない人にも。
だからこそ、わたしはこの作品を読んで怖くなった。わたしはしばらく、故郷に帰省できそうにない(する予定もないけど)。
湯川先生、草薙、内海薫の時が流れていること
これは単純なわたしが東野圭吾作品「ガリレオ」に出会ってからの時の経過についてなんだけども。
当時10代だったわたしも、現在は30代。20年近い年月が経っている。
当然、湯川先生も草薙も内海薫もみんな歳を重ね、役職も上にあがっていた。なんか、こういう時の流れを、自分の成長とともに生きてくれる作品があるって幸せだよなって話だ。高校時代の物理専攻男子に感謝しかない。そういや、彼もだいぶ、なかなかユニークだったな。だからこそ湯川先生が好きだったのかもしれない。きっと今ならめちゃくちゃ気が合うだろう。
2023年にも映画やってほしい
けど、去年この作品が上映しているから厳しいかな〜(泣)湯川先生はやっぱり福山雅治さんがいいし内海薫は柴咲コウさんがいい。キャストは変えないでほしい…!
見れば見るほどこのキャスト以外考えられない…!
そしてやっぱり映像見たい。アマプラ入るしかないかな…!!
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