「傷つくことは正しいことだと思うから」
■益田ミリ『すーちゃん』
こういうときに友達に電話してはいけない
おしゃべりをして気を晴らすのは早い
傷ついているあたしを軽く扱ってはダメ
今はあたしをそっとしておこう
傷つくことは
正しいことだと思うから
10年ぐらい前に買って以来、数年おきに読み返しているマンガ。
たかがマンガ、されどマンガ。主人公のすーちゃんとその友達のまいちゃんは、誰しもが抱えていながら言葉にできない「悩み未満」のモヤモヤを、ズバズバと言葉にしてくれる。
上司にイヤミを言われても笑顔で返す、まいちゃん。でも心の中では小さな傷を負う。
これくらいのイヤミはどうってことない
と、思おうとしている時点で
あたしは自分が
少し傷ついていることを知ってしまう
それが、くやしい
くやしくて
少し苦しい
自分を苦しくさせている人がいる
ということにまた少し傷ついていく
まいちゃんが不倫をしていることに薄々勘づきながらも、直接聞いたことがないすーちゃん。
友達だからって
何でも話さなくてもいいと考えるまいちゃんとあたし
聞きたがり 知りたがり
説教好き 忠告好き 恩きせがましい人
大嫌い
大嫌い 大嫌い 大嫌い
人のことより自分の性格の心配しろ
などと思ってしまうあたしは、
いい人ではないんだろうか
人に依存するのを嫌い、みんなと距離を取り、深く考えるわりには泣いて寝て忘れちゃう、すーちゃん。寂しいのについ強がってしまい、本心を隠して愛想よくし、でも曲がったことが大嫌いな、まいちゃん。
私はこの二人のどちらにもちょうど半分ずつ共感できて、読むたびに「自分と同じ人がここにいるなぁ」と安心する。
冒頭の引用は、傷ついたすーちゃんの言葉。
傷ついているあたしを軽く扱ってはダメ
というセリフをこの本で読んで以来、私は、傷ついている状態を悪だと思わなくなった。
傷ついたり、落ち込んだり、悲しんだり……という心の状態はツラいものだけれど、そういう自分を「軽く扱う」ことは「ダメ」なんだ。と、価値観がひっくり返されたような感じ。
無理してテンションを上げたり明るく振る舞って自分を偽るのは「あたしを軽く扱って」いて、それじゃあ、いつまで経っても傷は癒えないよ。
そんなことを教えられた気がする。
すべての女性に(男性にも)読んで欲しい一冊です。
自分の気持ちが見えてないときに
迷っていることを人に相談はしない
自分の答えが薄まってしまう
自分で迷って考える
そうやってきたから
ずっとそうしてきたことを
正しいと思ってるあたしがいる
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