![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56944164/rectangle_large_type_2_e0ef3f3b8270ceae339b62a43c5e7bd4.jpeg?width=800)
はじめて本に線を引いてみた
これまでの人生で、頑なに「本に書き込む」という行為を避けてきた。
理由は……「なんとなく本が汚れる感じがしていやだ」と「次に読むときに新しい発見を得られない気がする」の二つだった。
特に後者を、私は恐れていた。線を引くと、なんだか大事なところをマーキングしているみたいで、次に読むときに「あ、ここが大事なんだな」と勝手に脳が認識してしまうのではないか。それでは読書が現代文の試験問題みたいになってしまう気がした。記憶力の悪い私は、再読でも毎回まっさらな気持ちで読書できるというのがウリ(?)の一つでもあるのだから、せっかくの「まっさら」を損ないたくなかったのだ。
よって、長いこと〈付箋を貼る〉→〈デジタルで引用管理〉という手法をとってきた(以下の記事のように)。デジタルに移した部分の付箋は外してしまい、次回はほぼ新品状態で読めるようにしてきた。
・・・
しかし先日。バートランド・ラッセル『論理的原子論の哲学』という本を読んでいたら、もうなんか難しくて全然理解できなくて(笑)、解説を読んでやっと多少は理解できそうだと思ったけれど目で追うだけの読書ではどうにもきびしくて、
「これは、線を引かねばならぬ!」
と急に思い立って線を引いた。筆箱に入っていたシャープペンシルを取り出して、線を引きながら読んだ。
それで理解できたかというと……結局あんまり理解できてないんだけれど(笑)、自分の中で何年も保たれてきた
「本に線を引いてはならない。書き込んではならない。汚してはならない」
というルールが一瞬で覆された瞬間だった。
私は一度OKサインを出すと長年のマイルールもやすやすと覆してしまう性格なので、はたして目出たくこの日が「書き込み記念日」となった。
(ちなみにこの本は、古本屋で目に止まって「なんかおもしろそう」と買ったもの。ラッセルの『幸福論』は易しかったから、読めるかな〜と思ったのだけど、ちょっと読みにくい。解説でも「ラッセル自身言ってることが定まってない」という評価だったので、あまり読みやすくはないと思う。そもそも論理学の骨格に関して問題意識を抱ける程度の知識が必要と思われます)
・・・
そうと決まれば形から入るタイプ、さっそく「読書専用の鉛筆」を入手した。
最近ハマっている「トラベラーズノート」の関連グッズとして発売されている鉛筆を、Amazonで注文(何度か店頭で手にしたことはあった)。
シャーペンではなく、鉛筆。そこにこだわったつもりはないのだけど、この鉛筆が、なかなか優れている。
長所その一。軸(青緑色のところ)に鉛筆がしまわれていて、キャップをとって反対側に差し直すと使える、という機構(説明がへたくそですみません)。
私は電車の中で読書をすることが多いので、単独でカバンに入れて持ち歩けるものがよかった。普通の鉛筆の場合はキャップが必要だし(そしてキャップはすぐなくなる)、シャーペンだと先端の尖りが気になる。
加えて、この機構のおかげでサイズがとてもコンパクト(収納時全長10センチで、文庫本の短辺程度)という点も優秀!
右側の黒いシャーペンはいつも筆箱に入れて持ち歩いているもの(Pentel Graph1000 for Pro)で、軽いわりに重心が下にあって書きやすく、気に入っているのだけれど、先端が収納されないから裸で持ち歩くのには適さない。
長所その二。消しゴムが大きい&替えの消しゴム(鉛筆も)が手に入りやすい!
↑鉛筆3本と消しゴム2個がセットで買える。しかもAmazonで買える!
シャーペンの後ろの消しゴムの小ささにはいつも辟易していたので、これは個人的にとっても嬉しいポイントだった。やっぱり消しゴムはこれくらいのボリュームがほしい〜。
長所その三。色が可愛い。ちょっと可愛すぎるかなぁと思ったけど、やっぱり可愛い。本にもなんとなく合う。もちろんトラベラーズノート(特にキャメル)には抜群に合う。短辺にすぽっとハマる姿はめちゃくちゃ可愛い。
けれども今回は、手帳用ではないから……いずれ手帳用として「ローラーボールペン」タイプ(インクカートリッジ式のボールペン)が欲しいなぁと思っています。万年筆もある。
↑こちらは無塗装の真鍮バージョン。
・・・
短所は、
・高い
・重い(重心が後ろにくるので書きやすくはない)
・HBしかない(個人的にはBか2Bが好き)
という感じ。Bを作ってくれないかなぁ〜。
・・・
ただ、実用書や学術書の類なら線を引いてもいいやと思えたけれど(なぜなら線を引くことが自分の理解を助けてくれるとわかったから)、小説に線を引く気にはまだなれない。小説に線を引いてしまうと──また最初の話に戻るけれど、それこそ現代文の試験問題っぽくて、個人的にはちょっと悲しい。
それにしても、趣味というのはこうやってアップデートされていくんだな。と感じる。
たぶん私は、大人になっているのだと思う。精神的にはまだ幼いけれど、少しずつ大人になっている気がする。大人とはつまり「何かを続ける」ということが可能になり、続けた先に見えてくるものを自分の心身で感じ、生活に還元し、日々をアップデートしていくということなのかな。そんな風に最近思う。
だから、変わらない毎日をことさらに嘆く必要はないのかもしれない。変わらない毎日こそが、少しずつ自分を変えてくれるのかもしれない。そうだといいな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?