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ちんちん短歌カードゲームを思いついた。(その1)

 ちんちん短歌の在庫を抱えながら冬の街を生きる生活をしている。
 印刷会社で作成したため、100部作ったのだが、文学フリマですべてを売り切ることはできず、巨大な段ボールを毎日背負っては、冬の街を歩き「ちんちんはいりませんか」と女の子に出会い、無料であげて、セックスをしてもらう、みたいな、すさんだ日々を過ごしている。通販では三冊売れたが、その後全く売れていない。

 そういう生活をしていても、なんだか「またこういう同人制作物を作りたいなあ」と、同人活動が楽しくなってきて、次を作る気がまんまんになってしまった。
 ただ、「ちんちん短歌2」を作るにしても、また千首詠まねばだし、千首詠むのは4年間かかった。だから、その4年間のあいだ、なんかこう、作れないか。

 しかし、我々はちんちん短歌出版世界なのだから、ちんちん短歌以外のものは、作ってはいけない。絶対作ってはだめだ。絶対にだ。
 あと連動して1作目の、在庫が余っている奴も売れるような仕組みのものがいいと思う。

 そこで、勅撰集じゃないけれど、千首作った中から、ベスト100を選んで、百人一首がつくれないかなあと思ったのだった。

 世界で一番売れている短歌を使った創作物は何か。
 それは、歌集ではなく、「百人一首」と呼称されるカードゲームだ。中味は「100首の短歌の事前暗記を前提とした、反射神経ゲーム」。

 システム面からすると原始的で、100首の暗記を前提にしている微妙なゲームにもかかわらず、社団法人全日本かるた協会では100万人のプレーヤーがいると発表している。これは、尋常でない数字だ。100万人が遊ぶゲームなんて、任天堂が2019年に発売した『ルイージマンション3』が100万本出荷したというから、それと、ほぼ同じではないか!

 百人一首は、100万人の固定読者がおり、さらにその中のガチ勢には暗記までされている。これほど短歌が受容されているコンテンツはない。

 だから、ちんちん短歌で百人一首を作り、カードゲーム化したら、ルイージマンションと同じくらいあれされて、しかも暗記までしてくれるんじゃないかなあと思ったのだ。
 そんなわけで、作りたい。「ちんちん短歌カードゲーム」を。

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 問題はある。
 まず、そもそも「百人一首競技カルタ」は、カードゲームとしてはかなり面白くないということだ。いや、スポーツとしての、競技としては面白い側面もあるのかもしれない。
 だけど、カードゲームとして面白いかっていうと、「事前に暗記していた短歌を、読み上げられた瞬間素早く書かれていたものに触れる」というのは、なんかなあ。システム的に面白くないと思うのだ。アスリート勝負になってしまって、障害を持った方とか、老人も一緒に楽しめるものではなくなってしまっている。
 そもそも、読まれる短歌そのものが、その短歌でなくてはならない理由がかなり薄い。別の短歌であっても別にいいだろって思ってしまう。
 また、事前準備暗記ガチ勢に、初心者が完全に太刀打ちできないのも、広く遊んでもらおうとする新規で作られるカードゲームとしてかなり問題だ。

 そもそもの目的は、ちんちん短歌のテキストを味わってほしいということ、そして、在庫になっている『ちんちん短歌・増補改訂版』を買ってほしい、という目的なのだから、そのカードゲームにおいて、その短歌が短歌じゃなければいけない、という事にならなきゃいけない。

 だから、カルタ的なゲーム要素は排したカードゲーム作りにしなくてはならない。
 短歌そのものを味わってもらうゲーム。テキストを見ている時間が、歌集より長くなるためのゲームのルール。それはいったい、どういうものなのだろうか……?(次回へ続く)

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本日の有料記事は、「ちんちん短歌」上梓後の、未収録新作短歌10首。
4年後の「ちんちん短歌2」のために、またあらたに、こつこつと、作っていこうと思います。

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