見出し画像

あの頃、夢中になっていた

少し前に物語の舞台になる場所に行くのがすきだ、ということを書いた。

いわゆる聖地巡りというやつだ。

ほんとうに読んだ物語にすぐ影響されてしまうのだけど、その最たるもの、最初のものなんだっけ…と思い返してみたら、わたしの最たる憧れスポットは「京都」であったと思い出した。

思い出したというより、京都がすきだという気持ちが当たり前にありすぎてそこが「聖地巡り好きのルーツ」だということが抜けてしまっていた。


小学生の頃、わたしが夢中で読んでいた本の中に「コバルト文庫」というジャンルがある。

集英社が発行しているティーン向けの文庫本で可愛い表紙や挿絵が入っていて、その上、文庫なので値段も小学生のわたしでも手に取りやすく、お小遣いで毎月1~2冊買っていた。

ティーン向けといっても恋愛だけではなく、がっつりファンタジーものやSF、ミステリーなどジャンルは様々で、当時のわたしは雑誌『Cobalt』を定期購読して、毎月届くCobaltを隅々まで読んで好きな作家さんを見定めていたように思う。

『マリア様がみてる』や『なんて素敵にジャパネスク』『丘の上のミッキー』『レヴィローズの指輪』『東京S黄尾探偵団』……あげればキリがないくらいずっとずっとひたすらにコバルト文庫のものを読んでいた記憶がある。

そういえば、そこの雑誌で行われていたノベル大賞の読者審査員に選ばれ、そのままその授賞式にも小学生の分際で参加したことも今となっては良い思い出だ。

あの頃、だいすきだったシリーズはあげればキリがないのだけど、そのなかでも特にすきだったのが倉本由布先生が書かれていた、「きっと」シリーズだった。

始まりはたまたま安土桃山時代にタイムスリップしてしまった女の子が「濃姫」として織田信長に嫁がなくてはいけなくなる…というお話なのだが、現代の感覚と当時とのズレに苦しみながらも、それでも信長をすきになってしまうというその切なさがなんとも言えず、あっという間に引き込まれたことを覚えている。

そして、このシリーズは、主人公と信長の子の話へと続く。いわば現代と過去のサラブレッドとして生まれタイムスリップ体質を受け継いだその子もまた過去へと行き、恋をし、更にそのまた子へと続く親子三代ものなのだ。

主人公たちは現代と過去を行ったり来たりしながら、過去の歴史上の事件や人物に関わりながら恋をしていく。

そんなわけで自然と歴史を覚えていく。歴史上の人物や場所に憧れていく。わたしは日本史がだいすきになっていった。


「きっと」シリーズ最新作『きっと知らない』(2002年)
とても気になる最後で終わってしまったっきり、17年くらい経つ。
(続きが出たら泣いちゃうかもしれない)

このシリーズがきっかけで他にも多く歴史ものを書かれている倉本先生の作品を貪るように読んでいった。

歴史小説、というと堅苦しい印象があるけれど、倉本先生の作品はあくまで歴史は添え物であくまでも主人公の女の子たちの恋愛や友情がメインであったところが良かったのかもしれない。

そんなわけでひたすらに倉本由布にハマっていたわたしは、いつしかその小説の多くの舞台である「京都」の憧れを持つようになっていった。

思い返せる限り、それが聖地巡りへの最初の憧れだったと思う…と書きながら、当時同じようにだいすきだった「青い鳥文庫」の『パスワードシリーズ』がすきすぎて、横浜に母と妹を引き連れて遊びに行ったことも思い出したからもう根っから影響されやすい人間なのかもしれない。



この記事が参加している募集

もっともっと新しい世界を知るために本を買いたいなあと思ってます。