5月に読みたい、わたしの本棚。
もう5月だなんて。びっくりしちゃいますね。
4月は誕生日があることもあって、けっこう自分を見直したりこれからのことを考えたりと内に入ることがここ数年多かったのですが、そんな隙も許されないくらい個人的にとても「え、しんどくない?」って思うことが盛り沢山でした。
あまりにもあまりにも多かったし、大きかったので、落ち込みすぎて一周回っていい感じに開き直ってしまいました。今はとっても元気です。
来月これを書いているときはどうなっているのかまだちょっとわからないけど、とりあえず今月も少しゆったり時間があるのかな。
今日、久しぶりにお散歩に出かけたら緑の青がこのあいだ見たときよりも、ずっとずっと濃くなってて綺麗でした。
おうちにこもること、得意だから!とはりきってこもっていたけど、極々たまにはお散歩に出ないと季節に置いてかれちゃうなって思いました。
そんな今月は緑が印象的な2冊を。
◆『からくりからくさ』梨木香歩
祖母が遺してくれた古い家に、女性ばかり4人で住むお話。こういうの結構すきです。シェアハウスなんて、カタカナっぽい感じじゃなくて「共同生活」って感じのシチュエーション。かつ、4人というのがいい。
『若草物語』もすきだし(これは姉妹だけど)、『あの家に住む4人の女たち』(三浦しをん)もすきだし、まだ読めていないけど『細雪』もきっとすき。
ひとりは糸を染め、ひとりは機を織り…とそれぞれが自然と縁があって、調和しながら生きている姿勢の良さがとても気持ちが良く、かといって共同生活だからとけして慣れあったりしないところもとてもすき。
例えば蓉子という子は小さい頃から「りかさん」という人形と一緒に生活をしていて話しかけたり、着せ替えやご飯も共にしているのだけど(決して変な子ではなく、詳しくは『りかさん』という前作を読んでもらうとよくわかります。)
それについて、ほぼ初対面の状態でもそれぞれがそれぞれのスタンスで受け止めるのです。別にいいんじゃないっていう子もいれば、人形に話しかけたりすること、どうしても理解できるとは言えない子も。けど、そういうことを思ってても許してくれるなら。というスタンスで仲良くいられる人たちなのです。
そのやりとりが冒頭にあって、わたしきっとこの子たちのことすきになれるなって思いました。
染色や織物など自然とは切り離せないものだからこそ、細かな描写が繊細で、かつ蔦のようにそれぞれの葛藤や存在意義や成長についてからまりあって、途中は少し難しいけど、でも最後はするりとほどけていく物語です。
◆『トムは真夜中の庭で』フィリパ・ピアス
古時計が真夜中に13回、時を打つときだけ入れる庭園。そこで主人公のトムは一人の少女と仲良くなります。
この少女は誰なの?ほんとうにいるの?庭園ってどこなの?とか、いろいろ気になることはあるのだけど、そんなことまあいいかって思っちゃうくらい庭園の描写がめちゃくちゃに素敵です。
ひろい芝生があって、そのあちらこちらには花壇。真ん中にはおおきなモミの木。奥にも茂みや小道があるし、家くらいの大きさの温室まで。しかもここではトムの姿は少女以外の誰にも見えないのです。しかも、朝になれば消えてしまう庭園です。
あんまりにも不思議な空間なので、この庭はトムのなかで夢の存在だと思うようになります。だから、そこで仲良くなった少女とは行くたびに楽しく遊びまわれるはずなのに、徐々になんだかちょっと不穏な空気が出てきます。
そこでわたしも読みながらすっかり庭園に夢中になっていたと気づくのです。んんーーーと思い始めると、最初に感じた疑問がまたむくむくと出てきます。
この庭園ってなんなの?この少女ってだれ?
それをくるんっと綺麗に教えてくれる最後は、何回読んでもぐっときてしまうくらい感動的な物語です。だいすき。
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お散歩はたまに。
だけど、物語のなかではめいっぱい緑にふれていたいな。
また、書きます。
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