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感謝装置

ポエム。ざっくりいうと、制度設計でチームメンバーが相互に感謝し合うように仕向けるのはどうなんだって話。

先日タクシー広告で、組織の相互賞賛を促し、結果としてエンゲージメントを高めるサービスの宣伝が流れてた。IT企業勤務のWebディレクターの女性が同僚からのメッセージを見て、「ちゃんと見てくれている人もいるんですね...」って言って泣いてて、いいシーンっぽい演出だったんだけど、個人的に全然良いシーンとは思えなかった

その理由は2つの違和感によるもので、
・サービス導入したから巻き起こる感謝のメッセージの嵐に対して、過剰演出のきらいを感じ取ってしまう
・テキストメッセージで泣いてしまうくらい、日頃から感謝を伝えあってない環境への不信感

だと思う。

制度として相互に感謝し合うサービスを導入しないと、感謝の念が可視化されない状況ってよっぽどやべえだろと思っていて、もっとストレートに、直接でもテキストでもいいから感謝を伝えた方が良い。ただ、これがワークするには個々人が2つの性格上の障壁を乗り越える必要がある

1つ目は他人の長所へのアンテナを常に張ること。「人の長所に目を向けると良い!」みたいな話は人間関係の改善策としてよく言われることだけど、まずそれをやらないと「この人は自分と比べてすごいことをしているなあ」という思いが湧かないので、感謝しようが無い。

2つ目は伝える頻度やメッセージを細かくすることで、感謝することへの敷居を意図的に下げること。理想状態としては、専用サービス作るとかはいらないのがベストなはずで、控え続けると下手したらMVP表彰とかの社員総会以外褒めたりしないとか、そういう殺伐とした環境が生まれてしまったりする。そんなことしなくていいから、いいコード書いたら「肩にちっちゃいLinter載せてんのかい!」みたいなこと言えばいいはず。

それをより多くの人の前で積極的にいうことで、「この人はすごいなあ」という想いを相互に、目に見える形で組織に共有するべきなんでそれができないのかというと、くす玉とかMVPトロフィーとか賞状とかを用意した感謝制度に慣れすぎたせいで、「でかい場所で祝えばいいか〜」と、細かく感謝することをサボってしまうから。今すぐ褒めた方が良い。シャイになるにも限度がある。

どんな理由があれど、個々人が自分の性格を改善することで感謝なんぞできるはずだし、それをWebサービスなどの装置をカンフル剤として使うことで担保することには非常に反対の立場を取っている。サービスが存在することは否定しないけど、「導入すればOK!」みたいな立場を取るのは基本的に敗北宣言だと思う。

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