2019年4月の記事一覧
脳味噌破裂するような(8)
屍の転がる間だった。……異臭が放たれていた。誰も、どこにもいないといった間……、それは空間、暗いところ、日の当らない部屋。
メイドさんと一緒に歩いてゆく。
――一歩進むごとに空気が足に纏わりつくみたいだった
粘性的なそれが抵抗を増加させてゆき、僕の進行を遅らせようとする。
――吐く息さえ、ゆっくりと重たげに拡散してゆくかのようだ
異臭のせい……? いいや、どうにもこれは、過去の記憶のせいで
脳味噌破裂するような(7)
朝、起きると、メイドさんが食事を運んできてくれていた。
「……おはようございます」
こちらを振り向かないまま彼女は言う。せめてもの反抗、なのだろうか?
スカートから伸びる彼女の足が朝日を反射していた。
「おはよう」
と僕も答えておいた。
ロールパン、野菜、牛乳、そういったものを口にすると、彼女が背中をさすってくれた。
……部屋の中でストーブが焚かれており、それによって部屋の温度が調節されて
脳味噌破裂するような(6)
あいつが暴れ出した。発作を起こしたとか……。偶に、彼はそうなるのだった。
頭痛がするとか、言っていただろうか。
――彼のいる間で、女性達が何かを言っているのが聞こえてきた……、銃声のようなものも響いていた
僕は林へと出向くことにした。
自動運転四輪車に乗って、町の方へと赴いた。
――荒廃したお陰で自動運転車を走らせることは容易なことになっていた……
低い音を立て、また静かにモーター音
脳味噌破裂するような(5)
嘗て、ツイッターが未だ現役で稼働していた時代のこと……。”大災禍”から暫くして後、ツイッター社は日本から引きあげてゆくだのけれども。
日本人には暴力によるテロなんてする必要は無いんだとあいつは言っていた。
また、あの間でのことだった。
頬杖をつき、眠るようにして彼は語り続けた。
時折、疲れたとでも言うように首を回しながら。
「傘連判状なんてあるけどさ、誰が首謀者か分かったらそいつを殺し
脳味噌破裂するような(4)
”腐敗”が進められてゆく。――殺戮マシーンとなりゆくコスプレイヤー達、人ならぬ者としての装いをした子供達に、テロの”同志”達が大麻を配っていた。
……彼ら、”新しい者”達に麻薬を渡し、腐敗者を増やすことになる者達。
恐れ懼(おのの)く者達に快楽の種を渡す者達……。
――いずれ芽吹く恐怖のシード
自身らの親を殺し、兄弟を拐かし、知り合い達を持っていった筈のテロリスト達に子供達は近付いていっ
脳味噌破裂するような(3)
しかし、大きな物事は小さなことからしか始まらないとあいつは言う。
コインを投げながら、嘯くような調子でそんなことを言ったのだった。
彼の足元には沢山のそれが散らばっていたのだった。
アジトの中にある間で、椅子に腰かけながら彼は言葉を紡いでいたのだった。
――彼が標的に選んだところ、もの……
電気の関わるもの。
この、比較的大き目のテロ、そう聞いてみんなが頭に思い浮かべるような派手
脳味噌破裂するような(2)
アジト支部周辺部には基本的に何も無いし、誰も寄りつかない。きっと初めの内は誰か達が襲っていた筈なのだけれども、……用心棒に懲らしめられたからだろうか?
そこに辿り着くと、その敷地の狭さに反して案外広く見える解放的な”店”内が見えた。
まるで僕が登場するのを事前に分かっていたみたいにして、ほとんど黒目ばかりの、表情の無い、どこか動物的な目をした、不健康に肌の白い男が、荷物の入ったザックを手渡し
脳味噌破裂するような
"The Period!!"
火を前にして彼は語る。
彼自身が一つの影となっているかのように踊りくねりながら。
何かと何かとつなげ合わせようとするように、偉大な何かになろうとしているかのように。
交信……。
"It was the best of times,
it was the worst of times,
it was the age of wisdom,
it was