[ MATCH-note2017 #2:2017 J1第1節vsサガン鳥栖(1-3 :○)

2017年2月25日(土)14:05試合開始@ベストアメニティスタジアム
[2017明治安田生命J1リーグ第1節]
サガン鳥栖 1-3 柏レイソル
【GOAL】47分:クリスティアーノ(PK) 74分:ディエゴ・オリヴェイラ(PK) 78分:武富孝介

柏レイソルの2017J1リーグ第1節の対戦相手はサガン鳥栖。柏市から遠く離れた佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムで2017年の戦いが始まった。
前線のCDRJをはじめ大方戦前の予想通りのスタメンとなったが、開幕直前の右SB今井智基の負傷離脱を受け、その代役を担ったのは鎌田次郎。
昨年もプレーした右SBと右CBの二役をこなす「偽・右SB」でスタメン出場だった。
球際の争いや空中戦で存在感を放つ頼れるベテランの起用には鳥栖のアタックに対しての、「まず、良い守備から」というメッセージがあったことは明らかだった。

[柏レイソルスタメン]
GK:23中村航輔
DF:2鎌田次郎 4中谷進之介 5中山雄太 22輪湖直樹
MF:7大谷秀和(c) 6小林祐介 9クリスティアーノ 14伊東純也
FW:11ディエゴ・オリヴェイラ 20ハモン・ロペス

[サブスティチュート]
GK:1桐畑和繁
DF:13小池龍太
MF:8武富孝介 19中川寛斗 17手塚康平 28栗澤僚一
FW:10大津祐樹

[柏交代]
60分:out20ハモン・ロペス→in8武富孝介
90+4分:out2鎌田次郎→in13小池龍太

◼️前半雑記◼️
レイソルは343と442システムを併用。昨夏に多くの成果を挙げたシステムを開幕戦にぶつけてきた。守備のポイントは鎌田次郎のポジショニング。442の陣形を保つ守備時は右SB。攻撃時は右サイドMFの伊東純也を前方へ押し出すようにハーフウェイラインの右へポジションを取り、右CBとしてビルドアップに参加。立ち上がりにピンチを迎えたものの、以降はバランスを取り戻し安定。昨夏の連勝時にも、中谷進之介と中山雄太の背後を狙うクロスに対しての「斜めのカバーリング」で発揮していた鎌田の強さが思い出される。
守備のキーワードは「縦幅も横幅もコンパクト」。煙突屋根の家のような陣形の442が保たれて、前後左右へスライドしているのかが守備を見る際の1つの焦点となるのかもしれない。
右サイドの伊東も得意のスプリントやドリブルというよりも、食いつき気味の対応を見せた相手DFが空けたスペースを見逃さずにシンプルな状況判断を優先。タメを作りながらボールを動かして前線のCDRを使う判断の良さ・賢さが印象的だった。

◼️後半雑記◼️
前半からスピードというよりは左右で起点を作り、長い手足のリーチを駆使した懐の深さで効いていたハモン・ロペスがPKをゲット。ファールになったプレーの際、ハモンはダブルタッチ気味なアイデアでゴールへ進むプレーを選択していた。ハモンが得意と語るCBとSBの間を使うプレーと驚異的な高さに加え、中央でのアイデアをチームへもたらせるのかは今後の注目か。
2つ目のPKはディエゴ・オリヴェイラのキープ力とドリブルから。右サイドで大きな渦を作るようなプレーからDFを剥がしながらフリーの伊東へパス、ファーサイドではクリスティアーノと途中出場の武富孝介がスタンバイ。伊東のクロスからPKをゲット。
試合を決めた3点目を奪ったのは武富。FWとしての仕事を求められた途中出場に結果で応えた。ポイントは「間」。相手選手と相手選手の間へ忍び込み、ボールを受けディエゴとクリスティアーノを使うトップ下のような質の高いポジショニングからゴール前へのパワーを作った。ちなみに誕生したばかりの愛息へ捧げたヘディングゴールのシーンも2人のCBとGKの間のスペースでの一仕事だった。
まるで相手の攻撃のパワーを巧みに吸収して、弓矢を放つかのように、ゴール前を陥れたレイソルの完全勝利だった。

[選手コメント]
−8MF武富孝介 (MVP:Most Valuable Papa)
「今日は『パパトミ祭り』だった?いやいや、そんなことはありません(笑)。前線のパワーは次第に上がっていくと信じていたし、自分は他の選手と異なるパワーがあると思っているので、間へスルスル入っていくことができた。攻撃では2トップの一角、守備ではシャドーとサイドのような役割。クリスとディエゴのランニングの質やコースは把握していたので、そのコースを間違えないように意識した。2人にパワーを使ってもらい、中央へ入っていくことがゴールへ繋がった。自分は『間』を使って、ボールを触って、ゴール前へと考えていた。スタメンか途中出場か、次の試合はまだわからないけれど、途中出場の選手が結果を出すのは強いチームの鉄則の1つなのでどんな形でも結果を出したい。狙っていたゴールパフォーマンスを第1節でできるなんて思っていなかったし、自分でゴールもパフォーマンスもできて幸せでした(笑)。きっと、赤ちゃんがパワーをくれたのだと思います!」

−11FWディエゴ・オリヴェイラ-
「2つ目のPKの場面はクリスの方から、『蹴るか?』と言ってくれて自分が蹴った。日頃から練習をしていたので自信はあったよ。クリスも信頼して譲ってくれたはず。チーム全体から信頼を得るのはすごく難しいことだけど、それを少しでも得ているのならさらに高めていきたいし、自分たちもDF陣へ大きな信頼を抱いている。『彼らなら絶対守ってくれる』ってね。そういったリスペクトが良いプレーにつながり、良い結果へ結び付いているね」

−5DF中山雄太−
「試合を終えた印象で言えば、『崩される場面は無かった』と言えるかもしれませんが、それでも相手のチャンスやシュートの場面はあった。致命的なピンチは無かったというだけ。相手が先にゴールを奪ったこともあって、前後のバランスが変わっていった感触がありました。そこから次第に自分たちのラインコントロールで相手の攻撃を制御することが可能になった。常に同じ方法の駆け引きを繰り返すだけではなく、状況に応じた駆け引きを使い分けして守る手応えを得られたのは収穫です。勝った以上は今日がベースになって評価されていく部分もあるので、今日の内容をベースにできるように勝ち続けていきたい」

−9FWクリスティアーノ−
「チームの2017年最初のゴールが決められて幸せな気分だよ。今日の試合前にディエゴとハモンと昨年の鳥栖のイメージやゲームプランについて話していたんだ。『準備は万全だ。自分たちが攻撃を牽引しよう』って。だから、今日の結果をとても喜んでいるし、素晴らしいスタートを切れたと感じているよ。今日の勝因はチームが試合を通してコレクティヴに戦えていたことだと思う。準備してきたことを発揮した上でとても良い試合ができたからね。また続けていきたいね。オツカレッシタ!」

-4DF中谷進之介-
「開幕戦1つ勝てたことで気持ちが楽になった。前半に何度かやられてしまったシーンについては修正が必要だと思うが、相手のストロングを消した上で勝つことができたのは良かった。後ろの4枚を崩さずに守ることができた。コンパクトな陣形を保つことを心掛けていたが、シモさんからは『もっとできる』と指摘された。逆サイドへ展開された場面でもコンパクトなまま、全体をスライドさせていく必要がある。クロスへの対応はしっかりできていたと思うので、自分たちの感覚と周囲の視線が一致していくようにプレーの質をもっと上げていきたい。先制はされてしまったが、前線が必ず取り返してくれると信じていた」

-6MF小林祐介-
「早い段階で失点してしまうなど相手のペースだったが、良い時間に追いついて、追加点を重ねることができた。前半から我慢強く戦っていたから、相手のペースが落ちてからしっかりと自分たちのペースを作ることができた。とにかく勝てて良かった。サイドからボールを繋がれて何度かチャンスを作られてしまったので、もっとコミュニケーションを取って守る必要があると感じました。全体がコンパクトに保てていたので、ボランチとしてはボールに対してプレーしやすくなるし、パスもつけやすい。役割は明確だったがまだタニくんに頼りっぱなしなので自発的にプレーしなくてはいけない」

−2DF鎌田次郎−
「チームとしての感触はとても良かった。個人的には序盤に相手に振り回されたシーンがあったのが反省点。あのようなシーンではなるべく時間をかけさせないといけない。このシステムでは今年初めてプレーしたので対応に苦労してしまった。指宿キャンプから縦も横もコンパクトな陣形を保つことをじっくりやってきた。そのための声掛けもそうだし、我慢をして守ることも意識している。前から単独でボールを追い掛けてしまったり、後ろと連動せずにサイドでボールを奪いに行ったりしないよう、裏やサイドのスペースへの意識付けを改めて見つめ直している。攻撃的なブラジル人トリオもそのバランスや意識を共有してくれている。タニくんと祐介は気の利いたポジショニングでプレーしてくれていたし、シンも雄太も相手のプレッシャーを苦にしない選手。自分も落ち着いてプレーすることができた」

−22DF輪湖直樹−
「先制を許して難しい試合にしてしまったが、ブレずに自分たちのサッカーを続けるうち、チャンスの数も増えていったし、そのチャンスをゴールへ繋げられたことも大きかった。守備の場面でも鳥栖のロングボールにもしっかり対応することができていたし、崩された場面でも中をしっかり埋めて対応していたので、完全に崩されたという場面は少なかった。それは今年の守備の取り組みが少しずつ良い方向へ向かっている証だと思うし、実際に形にもなってきているんだと思う。良い守備を続けたい。鳥栖の(藤田)優人くんとは直接マッチアップする場面は少なかったけれど、相変わらずファイターでした。チームは変わりましたがお互い刺激し合って高め合っていきたいですね」

−23GK中村航輔−
「今日は開幕戦でもありましたし、この世界は『結果』がすべてだと思うので、勝てたことは良かった。鳥栖のストロングであるロングボールや高さを消していくことを強く意識して臨んだ。実際にストロングを消していくことができていた。チームとして準備してきたことをしっかり出せていた。そこが今日の勝因だと思う」

written by 神宮克典
©Libretas de Tiki-taka_magazine

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