[ MATCH-note2017 #4:2017 J1第3節vs川崎フロンターレ(2-1:●)]

2017年3月10日(金) 19:03試合開始@等々力競技場
[2017明治安田生命J1リーグ第3節]
川崎フロンターレ 2-1 柏レイソル

【GOAL(柏)】60分:武富孝介

[柏レイソルスタメン]
GK:23中村航輔
DF:26古賀太陽 4中谷進之介 5中山雄太 22輪湖直樹
MF:7大谷秀和(c) 6小林祐介 9クリスティアーノ 14伊東純也
FW:8武富孝介 11ディエゴ・オリヴェイラ

[サブスティチュート]
GK:1桐畑和繁
DF:2鎌田次郎 13小池龍太
MF:19中川寛斗 28栗澤僚一
FW:10大津祐樹 18ドゥドゥ

[柏交代]
71分:out6小林祐介→in28栗澤僚一

◼︎戦況雑感◼︎
ボールを支配した川崎がファーストシュートを放ち、気概を見せた序盤、守勢に回ったレイソル。昨夏の対戦が頭を過るも、昨夏との違いは戦術的なボール奪取だったか。押し込まれながらもカウンターから反撃を試みたが単発な印象は拭えず、川崎に脅威を与えたのは20分に生まれた小林祐介のボール奪取からのカウンターのみだった。
武富孝介は前半の戦いをこう回想したー。
「『全体をコンパクトに』ということを強く意識し過ぎてしまっているかもしれないと感じた。状況に応じて使い分ける必要がある。コンパクトを意識し過ぎたあまり、他のプレーがチグハグになってしまっていた。やるべきことはサボらずできているが、ボール奪取も攻撃も自分たちのタイミングでできていないという危機感はあります」
コンパクトは保たれていても、コンパクトなまま、全体は押し込まれていた。故にボールを奪った後、カウンターの距離は長く、迫力はありながらも精度を欠いてしまった点が昨夏との違いか。
さらに武富は、「後ろから繋ぐレイソルらしさも大切だけど、ロングボールが増えて、縦パスは少なかった。多少難しい状況だとしてもパスを引き出して収めることがFWの仕事でもある。トライするパスを増やしたいですし、勝ちにこだわる時にどのようなボールの動かし方が必要なのかチームで考えていきたい」とも話した。FWとMFを兼務するからこそ見える歯痒さ交じりの現在の課題について建設的に言及した。
失点はCKとミス絡みから喫したが、試合を通して見た場合、中央から致命的な崩しを喫した印象はなく、中村航輔のセーブも安定していた。攻撃のパワーを幾分犠牲にはしたが、「コンパクト」と共に追い求めている「我慢」の部分は徐々に芽吹き始めているし、立て直しも見られた。武富をはじめ、「次にすべきこと」についてのイメージ共有も始まっている。
後半はその部分に目がいかないほどの圧力で川崎を押し込む時間が増えた。「中央からサイド」という経路から伊東純也やディエゴ・オリヴェイラがチャンスの鍵をこじ開け、武富のゴール(60分)へ繋げた。反撃は続いた。

途中交代の栗澤僚一は伊東へボールを繋いだ後、ポジションを取り直しながら、伊東へ、「やり切れ!」と檄を飛ばし、その後伊東は相手DFと1対1の仕掛けからクロスへ繋げたシーンは特に印象的に映った。閉塞感を打破するには1つ1つのプレーを常にやり切る、それを積み重ねる必要性がある。チームのボスが示した一言はあまりにも的を射たものだった。次にすべきことはその言葉にある。ただ、「やる」以上の「やり切る」姿勢だ。

「得点機会阻止」による退場処分を受けた中山雄太は「相手の動きを断ち切る能力(デュエル:1対1の意)が足りていない証拠。精神的にも慢心があったのかもしれません。試合を壊してしまったことを深く反省している」と口にした。前半のボールロスト、そして、後半のデュエルのシチュエーション。どちらも中山らしい判断から派生した展開であり、その「らしさ」こそが中山の魅力であり、それを手放す必要はない。結果は時に残酷なものだが、ここまで残してきた結果が無くなるわけではない。
中山は「試合後にはチームのみんなから温かい声をかけてもらい、安心しました」と話した。試合後にクリスティアーノが、「『今まで雄太が積み上げてきた結果を思えば、今日の結果で雄太に対する評価や信頼が揺らぐなんてことはあり得ないよ。自分たちが持つ信頼のクレジットが減ることはない。また一緒にチームを立て直していこう』。そう雄太には話したんだ。雄太はまたやってくれるはずさ」と話したその言葉がチームやサポーターが寄せる中山への大きな信頼を代弁している。
この状況をただの「失敗」とするのか、寧ろ、「さらなる成長のチャンス」とするのか。中山は現在置かれているよくない状況を「断ち切る能力」を問われている。ただ、そういった心配をよそにしっかりと気持ちの切り替えを済ませて、次へ進んでいたりするのもまた中山らしさである。きっと、我々は再び中山雄太の強さの理由を知ることになるんじゃないかと思っている。

written by 神宮克典
©Libretas de Tiki-taka_magazine

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