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佐原チハル@趣味小説置き場
2015年2月1日 19:44
ソファで横になった彼からは、規則正しい寝息が聞こえる。「ただいま」遅くなってごめんねと、続けようとしてやめた。気持ち良さそうな寝顔。起こしては悪い。毛布をかけてやってから、自分のネクタイを外す。それから彼の襟ぐりに鼻先を寄せて、深呼吸。ああ、帰ってきた。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月2日 20:28
「大学まで一緒とかウケんな!」カラッとした笑顔の君に「あーまぁね」なんて言って見せるけれど。君が大学に進むと決めたことも、それがどこの大学でどの学部なのかも、調べるのにどれだけ苦労をしたことか。「まぁこれからも、よろしくな」伝えられる言葉は、それが精一杯で。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月3日 17:56
「やっぱり豆つまむのって難しいよね」無理に箸など使わなければいいのに、毎年この日だけは、挑戦せずにはいられないらしい。肩をいからせ四苦八苦する姿からは想像もつかないけれど、彼は僕らの恩人なのだ。年ごとに増えていく豆の数を眺めながら、彼の過ごしてきた日々を思う。*英雄の日は、日本ではなくモザンビークの記念日です。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月4日 22:41
「先輩もう寝ないと」週末の入試に向け、関西へ旅立った先輩。今日は疲れをとることに専念し、明日から最終調整に入るらしい。「試験頑張って下さいね」受かれば遠距離になってしまうのだから、もどかしいけれど。「おう、ありがとな!」僕ほどには悩まない先輩の成功を祈る。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月5日 18:40
「いっつも笑ってんのなんで?」胸元を捕まれ、乱暴に押し付けられながら投げられた言葉に、やっぱり僕は笑顔を返す。「お前マジきもいな」そうだね。でも、その「きもい」僕以外じゃもう、満足できないでしょう。罵倒しながらでなきゃ達することも。ざまをみろ、いい気味だ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月6日 18:52
「駅ナカの抹茶カフェ、今週フェアやってるってよ」「マジか! 行く! 行こう?!」駅舎改装で、こいつの好きな抹茶モノばっか扱う喫茶店のテナントが入った。多分、一番感謝しているのは俺だろう。「おう、行こう」デートもどきに誘うのが、こんなに楽になるなんて。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月7日 18:37
「川魚料理店なんてあるんですね。フナの食い方も初めて知りました」趣味は釣り、という無口な彼。「つまらない人間だ」と言うあなたのおかげで、俺は随分と新しいことも知った。「春になったら釣り行きましょう」無言で頷く顔は僅かに微笑んでいて、いいもの見たなと心から思う。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月8日 17:44
規則的に割り振られた7桁の数字。使う機会などほとんどないにも関わらず、覚えてしまっている自分のイタさに飽き飽きとする。年賀状と、暑中見舞いの時くらいか。遠い海の向こうへ送る、メッセージを込めた紙の頭にそえる7桁を記す時、僅かに高揚し震える指先にもまた。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月9日 18:00
焼肉屋で見られる彼の姿は壮観だ。網の上の肉が滴りを見せる。喉が鳴り、彼の唾液もまた湧き出ていることがわかる。肉を返す箸の扱いは意外と繊細。くわっ、と開けられた口に、一口でおさめられるタン、カルビ、ロース。噛み砕かれ咀嚼され、ビールで流し込まれる肉を羨ましく思う。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月10日 18:33
昔から家が貧乏だという彼は、食える野草等を見つけてくるのがうまい。「おぉぉ天婦羅!」料理に関しては壊滅的に不器用な彼に料理してみせるわけだが、俺の手元を眺め目を輝かせている間は年相応の幼さで、可愛らしい。食ってる姿も色気があって好きだ、と思っていることは秘密。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月11日 18:28
使い古した感のある、多量の馬柄のパンツを丁寧に畳む彼。今年は羊柄のそれがまた多量、タンスの中にあることを僕は知っている。何をしているんだろう。僕の視線に気づき、彼が言う。「一年お世話になった供養」やはり全然わからない。下着の下以外の彼への興味が募っていく。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月12日 17:43
「まさか女装趣味だなんて驚きです」「女装ではない。ブラジャーは機能性下着だよ。俺は胸がでかいからな…」「でもそれレディスじゃないんすか」「メンズブラはレースの繊細さにかけるものが多いんだ。…幻滅したか?」「してない自分に驚いてる最中ですよ。キスさせて下さい」 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年2月13日 18:03
「俺らも渋谷に引っ越すか」「パートナー法みたいなのの話?」「ん。いいよな。同じ苗字とかなってみたかったし」「そこどうでもいいだろ。同棲とか相続とかもっとこう」「まぁ国の法律は変わらんし、苗字一緒にってのも今まで通り縁組しかないけどな」「渋谷関係ねぇのかよ」 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説