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なんでもない記念日2

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365日分の「なんでもない記念日」を祝して。130文字以内の小話を、1日に1つ。0214〜 #記念日BL
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2015年3月の記事一覧

3月31日 オーケストラの日

彼はダメ男だ。

生活能力は低く、仕事も続かない癖に、焦る様子もなくへらへらとしている。
30過ぎの大人の男が。

「行ってらっしゃい。愛してるぜ」

それでも、そんな言葉を耳に吹き込まれただけで、僕の腰は疼き砕けそうになってしまう。

僕をたらしこむことだけはプロなのだ。



オーケストラの日、は、「耳に一番」「耳にいい」が由来。
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3月30日 国立競技場落成記念日

誰よりも速く走る彼に憧れ、声援に行ったあの会場で、埋もれ、くすむ背中に出会った。

「応援、ありがとな」

けれど悔しさを滲ませ笑う姿を見て、彼は僕の特別になったのだ。

僕の髪が薄くなり、彼のお腹が出てきて、あの会場が取り壊されることになった今でも、変わらない特別さ。
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3月29日 マリモ記念日

君がかわいいねって言ったから、マリモ記念日?

「言ってねぇ」

「え?」

「言ってねぇつってんだよこのアフロ野郎」

「僕のアフロがマリモみたいで可愛い? ありがとう!」

「ざけんな! 俺のが可愛いだろうが!」

「当然じゃないか愛してる!」

僕たちはひっしと抱き合った。
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3月28日 みつばの日

あとちょっと、わずか一手が足りないせいで、埋没し、手折られもしないありふれた僕。

探されることも求められることも、ないまま溶け込む同じ顔の群れ。

…群れてみて、初めてわかる心地よさ。
初めてわかる、差異があること。

君が隣にいてくれたこと。
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3月27日 さくらの日

桜は散るものの象徴だし、桜の下には死体が埋まっているし、桜に魅入られた恋人は桜に攫われてしまうものだ。

そんなルールを思いながら、今年も僕は蕾むピンクをゆっくりと見上げる。

手をつなぎ、隣にいるのは君。

来年も再来年も、きっと毎年喪われ、違う誰かとこうして僕は。
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3月26日 カチューシャの日

「カチューシャなんて女のもんだろ! と思ってたけど、似合うなぁ〜」

何かにつけ女装させたがってるくせに白々しいこと言ってんじゃねぇクソ野郎!
そんな思いを込め、カチューシャの送り主を睨みつけて言う。

「そ、そうかな。ありがとう」

穏やかに笑う彼の表情に、僕も笑った。
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3月25日 散歩にゴーの日、他

「よし、散歩に出かけよう!」

突如思い立ち、家を出た僕は…
曲がり角でパンを咥え走る美丈夫にぶつかられて出会い、電撃的な恋に堕ちる。
そして始まる恋のロマンス。

…そんな日が、この先の人生にだって1日くらい、あってくれてもいいだろう?

そんなことを思う、拘留地の朝。

*今日は…
散歩にゴーの日&電気記念日&ドラマチック・デー&拘留中または行方不明のスタッフと連携する国際デー。
#記念日B

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3月24日 人力車発祥の日

「挑戦してみたいんだ。自分の足で、どこまで行けるのか」

俺のハニーは、そんなセリフを熱く語る痛いヤツだ。
しかもそんな意欲の結果、選んだ仕事は人力車のお兄さんだ。
意味がわからない。

(まぁ、そんなところも好きなんだよな…)

苦笑しつつ、鍛え抜かれた脚をなぞり上げた。
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3月23日 世界気象デー

凍えるだけの日々を越え、あたたかい日が混じりはじめる。
これからは半々くらい。
そのあとは、きっとずっと。

「あぁ、もうすぐ春だしな」
「そうだね」

季節の話じゃないんだけどね。
そう思いながら、やっと笑顔を見せてくれるようになった彼に笑顔を返した。
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3月22日 放送記念日

20年近く前、学校にテレビ局がやってきて、俺は「意中の女子」に告白した。

ノリだけで好きでもない、同じくノリのよい女子に告白した。
ノリで成功し、ノリですぐ振られた。

いつも視線の端においていた彼には、これだけ年月の経った今でさえ、気持ちを伝えられずにいると言うのに。
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3月21日 ランドセルの日

陽だまりのランドセルの群は、未来やら希望やらではち切れそう。別の生き物。声をかけることは愚か、視線を送ることさえ躊躇われる。
僕にはなかった時代。
それでも、彼の黒いランドセルを追いかけたあの頃の憧れと想いが繋がって今、彼といるという事実は、いつも僅かに僕を照らす。
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3月19日 ミュージックの日

あなたに捧げるラブソング。
溢れる愛を歌声に乗せて!
…そんなモードで来られたら、逃げたくなるに決まってる。

「カラオケ行こうぜ!」

まぁ、普通なら。

似た者同士の俺たちなら、気にもならず、デュエットだってお手の物!

ラブイズミュージック。
こういうリアルもあるんだぜ。
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3月18日 点字ブロックの日

俺の彼は、ドMのくせにクールだ。

「どうして欲しい?」

頬を真っ赤に染めた鉄面皮は、ギャグのままの口で、俺の足に口付けた。

やわりと踏んでやると、足の裏に硬度と突起が伝わって来る。

表情も素直ならもっと可愛い、とため息をつきつつ、俺は足にかける体重を増やしていった。
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