教育システムの設計
教育デザインシリーズその3です。(初めての方はその1からご覧ください!)
今回は教育システムの設計のお話です。
教育システムとは?
「教育システム」≒「(学習者本人を除く)学習環境全般」
と考えることで理解しやすくなると思います。
(webシステム等に限った話ではなく、学習するための仕組み全般のことです。)
より正確(?)に表すには、
「学習を効果的に進めるための教材や講師とその改善のパターン」
となるのですが、逆に分かりづらいですよね...
あなたがビジネスマンであれば研修ソリューションと考えれば分かりやすいかもしれませんし、学生であれば講義のシラバスや年間学習計画が近いものだと思います。
これらの企画、設計を「インストラクショナルシステムデザイン」と呼びます。
別の表し方では「教育システム設計」や「ISD」となります。
(この記事では、教育システム設計と表現することにします。)
ADDIEモデル
教育システム設計の基本プロセスの1つとして、ADDIEモデルと呼ばれるものがあります。これは分析、設計、開発、実施、評価のそれぞれの英単語のアルファベットをつなげたものです。
PDCAサイクルやOODAサイクルをイメージして貰えると良いのですが、それらと同じようにADDIEモデルも教育システムの継続的な改善を目的とした考え方となります。つまり、それぞれのプロセスを1度ずつ実施したから終わりではなく、各プロセスを繰り返し実施することで教育システムを改善させる考え方です。
他の種類のモデル
ADDIEモデルは教育システムの一般的なモデルではあるのですが、具体的なモデルとして常に役立つわけではありません。
そのため、教育デザイン世界では100以上のモデルが開発されてきました。
それらはADDIEモデルの各工程を多かれ少なかれ含んだものであり、ADDIEモデルを細分化したモデルや特定の教育システムに有効に働くモデルがほとんどです。
開発された教育システムのモデルは、一般化されたモデルと実施環境依存型のモデルの2つに分類することができます。
一般化されたモデル
教育システム設計において広く利用できるアプローチとして、それぞれの開発者のコンセプトを明確に表現したモデルが、一般化されたモデルとして分類されます。
具体的には以下のようなモデルの種類があります。
・グスタフソンとブランチのモデル
・バーグマンとムーアのモデル
・ディックとケリーのモデル
上記で最もよく知られているのはディックとケリーのモデルですが、これは一見ADDIRモデルとまったく異なっているように見えるのですが、ADDIEモデルのすべての側面が含まれたものです。
(なので図を描きません。コメントで要望があれば描きます。)
実施環境依存型のモデル
個々の組織における教育システム設計を具体的に制御するために開発されたモデルを実施環境依存モデルと分類します。この個々の組織とは、「特定の企業の特定の部門」などになります。
螺旋モデルとして教育システム設計
先ほど、ADDIEモデルを紹介しましたが、黙示的に分析プロセスから開始するような図で表現しましたが、本質的には分析、設計、開発、実施、評価のどこからでも始められるものです。
教材の開発から始めても良いですし、それすらもなく自ら教鞭を執るところから始めても良いです。もちろん、参考になる他の教育システムの評価からスタートするのも良いでしょう。
まとめ
とりあえず、何か教えることを企画する時にはADDIEモデルを参考にしてみると良いと思います。(熟練の教育職の方は経験的に知っていたかもしれませんが...)
私も、現在携わっているAI研修サービスの開発や大学の講義(まだ話を頂いた段階ですが)に活かそうと思っています。
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