【ネタバレあり】30代男性がなぜSSSS.GRIDMANにはまったのか?【アニメレビュー】
※本文はシリーズ放映中にHatena.blogに記載された内容に、加筆を加え再構成したものになります。(元稿は現在非公開)
※2021.6.13追記 この投稿の要約を含む新規投稿『ダイナゼノンはグリッドマンの正統な血を受け継ぐのか』もアップしました。
今回は、2018年10月~12月にかけて放映されたテレビアニメ『SSSS.GRIDMAN』について、この作品からグリッドマンに初めて触れた方や旧作が好きなのに途中で見るのを止めてしまった人、もしくは全く特撮に興味がない人に、この作品が30代男性の心をどのように揺さぶったのかについて語りたいと思います。ネタバレが段階的にありますので気をつけてご確認ください。旧作ファン故に1話で切ってしまった人は3章までは読んでほしいです。
1章.電光超人グリッドマンとは
まずグリッドマンについて説明させてください。
「電光超人グリッドマン」とは1993年に放映された特撮ヒーローものの実写作品になります。
ウルトラマンや仮面ライダーと比べれば、圧倒的に知名度にかけるかもしれなませんが、1980年代半ば生まれの男性には印象深い作品の一つであり、この世代にとってのウルトラマンと言っても遜色のないヒーローです。
(アニメ化の際にtwitterが盛り上がったようですが、多分30~34才くらいも多くいたのだと思います)
ヒーローものの代表格である、仮面ライダーは「RX」放映終了の89年から「クウガ」復活の2000年までテレビシリーズは10年以上なく、ウルトラマンは「80」終了の81年から「ティガ」復活の96年までテレビシリーズは15年ほどありませんでした。(「グレート」はテレビでは国内地上波放映されていないはずです)
そのため1984年生まれの私にとっては、幼稚園の年中から中3まで仮面ライダーは不在であり、生まれてから小6まではウルトラマンも不在の状況にありました(戦隊ものは健在でしたが)
仮面ライダーのような、強化された人が戦うヒーローとしては「ウインスペクター」などのいわゆるメタルシリーズというが受け皿がありましたが、ウルトラマンのような、巨大化系ヒーローは当時存在せず、唯一の受け皿になったのがグリッドマンだったのです。
そのため意味では84~88年生まれあたりにとってはウルトラマンよりもウルトラマンな存在であったといえる作品です。
旧作が放映当時、私は小学3年で最初から見ていた訳ではないですが、かなりはまっていたのは今でも覚えています。
旧作のグリッドマンはどんな話だったかと言うと、
1.敵が、コンピューターにウイルス(怪獣)を送り込む。
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2.怪獣がコンピュータの中で暴れる。電化製品などに異常が現れることで現実世界に問題を引きおこされる
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3.解決するため主人公がグリッドマンと合体して電脳世界に飛び込みウイルスを倒す
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4.現実世界の問題が解消され日常が戻る
というパターンの話になります。
例えば、敵が電化製品を狂わすウイルスを、電脳世界を介して掃除機に送り込むと、現実では掃除機が狂って人々を襲い、そのグリッドマンが掃除機の電子世界に飛び込み中の怪獣を倒すことで町が平和になるという感じの話です。(倒し方は基本的にグリッドマンが殴る蹴るビームで対処。都会のビルのように基盤が並ぶ舞台で巨大化して戦うので、見た目としてはウルトラマンのような巨大化ヒーローのような感じに見えます)
さて、やや説明が長くなってしまいましたが、それを踏まえてアニメ版のグリッドマンについてレビューをしたいと思います。
2章.第1話の違和感。グリッドマンじゃない?
旧作はさきほど記載したい通り、現実世界での困りごとを解決するために、仮想世界に介入して、みんなの見えないところで解決するという構造になります。しかし、始まった新シリーズは、仮想世界ではなく主人公の住む町に突如怪獣が現れ、グリッドマンがそれを倒すという展開で始まります。(1話)「主人公の住む現実世界に怪獣が現れる」というのは、古参のファンにとっては旧作とは逸脱してグリッドマンらしくない。と感じてしまうのです。
違和感をのポイントをまとめると以下のようになります。
新作には仮想世界が存在していません。
SSSSのグリッドマンは、現実と仮想世界を行き来するヒーローではなく、グリッドマンらしさがまったく見えてきません。ここでこの作品を切ってしまう旧作ファンも一定数いるのではないかと思いますが、話を進めることでグリッドマンらしさが見えてきます。
3章. 二つの世界をまたぐヒーロー
1話の戦闘にて、グリッドマンが怪獣を倒して一晩たつと、町の人は怪獣の記憶を失っており、一見、正常な日常に戻っています。ただし、怪獣に殺された人だけは翌日になるとその存在がそのものが抹消されており、それを防ぐために主人公は戦うことを決意する、というのが2話の大まかな流れです。
現実と仮想世界という構図で見ているとグリッドマンらしくないように見えますが、町の人はグリッドマンに気づかないという点から広げてみますと、実は全く違うと思っていた新作が、旧作に非常に似ていることに気付きます。
表のように考えると、二つの世界を行き来しながら人々を守るというヒーローというグリッドマンらしさをSSSSも受け継いでいることが分かります。
このことが分かると、この作品を安心してグリッドマンを楽しむことができるようになります。
4章.終盤の展開について
そしてここから終盤について記載したいと思います。1話で見るのを止めてしまったけど見たいなぁと思った旧作ファンや、全く知らなかったけど、実際に見てみたいと思った人はできればここで引き返してください。
全部見終わった人やネタバレが許容できる方は次に進んでください。
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↓ 以下ネタバレあり
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それでは、終盤についても解説したいと思います。
現実と並行世界をまたぐヒーローとして、この作品を安心してみていると後半に大きく物語が変わります。
実は、主人公が現実だと思っていた世界は一人の神様により作られた世界であり、怪獣はその世界を修正する存在であること、グリッドマンはその修正を無効にするための存在であることがわかってきます。
作品中では直接的な明言はないものの、ほぼグリッドマンに選ばれた主人公たちはシムシティのような育成型ゲームのキャラクターの一人であったことがわかります。(しかもモブやNPCに近い存在)
今まで現実世界と並行世界の二つの世界を舞台にすると思っていた話ですが結局のところ下の表のような関係性であったのです。
「仮想世界と現実を行き来するヒーロー」ではなく、「二つの世界を行き来するヒーロー」と認識したと思ったら、やはり「仮想世界と現実を行き来するヒーロー」だった。グリッドマンはやはり仮想世界で戦っており、最初から最後までグリッドマンだった、というしかけが分かるのです。
エヴァンゲリオンでお馴染みの鷺巣詩郎氏が音楽を担当したり、最終回では旧作のテーマ曲が流れたり、かわいい女の子がいたこともヒットの要因ではあると思いますが、30代男性にぐっとささったのは、グリッドマンという看板をただ借りるだけでなく、このようにファンがグリッドマンに求める世界観を兼ね備え、正当な後継作品であったからだと思います。
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