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家に住めない人との旅 10 〜 旅の終わり

ロードトリップに話を戻しましょう。

悲惨な初日を過ごして翌日、帰り道を3-4時間走ったところで横道へ逸れ、マウントシャスタに向かいました。ここはこじんまりしてリラックスでき、以前住んでいたこともあり動きやすいためでした。

それでもウィルスの影響で、第一に考えていたサイトでキャンプはできませんでした。なのでその日は湖沿いの大きなキャンプリゾートで、ホテル並みの料金を払ってキャンプをすることに。
ちょっと賑やか過ぎでしたが、文句を言っている場合でもありません。サイトにはピクニックテーブルや水の蛇口があり、共同のシャワーやバスルームがあります。テントを張り、とりあえず落ち着きました。


ところが夜が来ればまた同じです。彼は呼吸が苦しくなり、横になるとこれが始まります。なので車に戻って座っていると、少しましになったりならなかったり。前日と同様寒さと闘い(でもミリタリーグレードの寝袋を勝ち取ったので少しはましでしたが)、彼は夜中にトラックのエンジンを入れ爆音を響かせたのでキャンプ場の客を全員起こしたことでしょう。一人だけ暖房の入った車で夜を過ごしていました。

そして翌日、もう一泊ここにいてただ何もしたくないというので、もう一泊サイトを取ってあげました。本当に何もせず、彼はテントの中にさえ殆どいませんでした。私は見慣れた近所を散歩したり、ネコたちと一緒にテントの中にいました。元々リラックスするための旅なので何もしなくても全然いいのですが。

キャンプ場には屋外のムービーシアターがあり、あれほど寒くなければぜひ楽しみたいところでしたが、シャスタ山には既に冬が到来していました。ソーラーでヒーターを稼働するにはバッテリーがもう一つ必要とかで、彼の話はウソではなかったものの、稼働するには至りませんでした。そして他に誰もテントなどで寝ている人はいない中、高い料金を払って、凍えながらテントで夜を越す旅を続ける意味はもう見えませんでした。朝が来るとどちらからともなく、この旅を断念することが暗黙の了解となりました。

そうして、近所の人に2-3か月留守にすると豪語して去ったその4日後に早くも帰宅、駐車場を使ってもいいと言っていった人もびっくりです。ちょうど家へ着いた頃には体の筋肉があちこちつって本当に苦しそうで、彼は機嫌の悪いまま去って行きました。その後どこへ行ったかは知りません。恐らく翌日、初日にした買い物の半分以上を返却したことでしょう。

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彼にはもう一人、助けを当てにしている人がいます。年配の女性で、彼を息子のように可愛がり、何でも買い与えてあげる人です。彼女は彼が去年の夏ハイキングトレイルの途中で心臓発作を起こした時に救急車を呼んでくれた、キャンプ場の責任者です。その数日前に知り合ったようで、この女性は自分の幼い男の子を二人同時に交通事故で亡くすというトラウマがあり、母親に育てられなかった彼とは運命的な出会いで、この二人は傷を舐め合いながら絆を深めていきました。こういう間に入れる人間はいません。それでも彼の第一の目的は彼女の資産です。

この人はご主人も失くした経験があり、それも5度くらい再婚していてそのうち3人くらいと死別しているというちょっと信じ難い話なのですが、そのために3か所から保険などが入ってくるらしく、裕福な暮らしをしているそうです。そして彼女は彼にいろいろ買い与え(たとえば車など)、彼はもちろん彼女を大切にし、二人はスピリチュアルに繋がりながらも確実に金銭的にも繋がっています。

彼は困ると彼女の所へ行くので、今もそこにいるかもしれませんが、私はもうそろそろこの関係(彼と私)を終わりにしようと思っています。彼がそう遠くない日に本当にスピリットになった時、私達はもっと平穏な関係が築ける気がします。


終わり


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ここまで読んでくださった方でロードトリップに関する話がもっと出てくると期待されていた方、ごめんなさい。私ももっと期待していたのです。。

そうでなくてもここまで読んで下さった方々、いつも私が何を書いても読んで下さる方々、心より、ありがとうございます。私のリアルライフの一つのチャプターをシェアしてみました。

本筋から少し逸れますが、もう一本番外編を書きましたので次回にアップします。


もしもサポートを戴いた際は、4匹のネコのゴハンやネコ砂などに使わせて頂きます。 心から、ありがとうございます