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摩訶不思議な出会い

ビーチにはお気に入りのレストランがあった。
茹ですぎたミートスパゲティとコッペパンのコンビが大好きだった。セルベッサ(ビール)は、コロナではなく、決まって太陽の絵柄のSolを注文した。

夜になるとこの場所は更に活気に満ち溢れた。
あの熱気溢れる空気感、温度、匂いは今でも鮮明に記憶に残っている。

ジュエリー商が市を開き様々なミュージシャン、アーティストそして大道芸人がパフォーマンスをした。
まるで、ドラクエの街に来たようだった。

アルゼンチンから来た姉妹はファイヤーダンスのパフォーマンスをした。

ゲーム「黒髭危機一髪」の男にそっくりな男が、樽に皮を貼った打楽器(コンガ)を演奏した。横縞模様のTシャツ、身体が浅黒くゴツくて黒髪がモジャモジャ「カリブの海賊じゃん‼︎」と爆笑してしまった。
彼女たちに合わせて僕もジャンベでドラミングした。

圧巻だったのは、スペインのイビサから来たジプシーの女性のフラメンコだった。妖艶なオーラ全身から迸(ほとばし)っていた。

レストランでジプシーの女性と

よく晴れた昼すぎ、ビールを飲みにビーチのレストランにいくと、中年の白人男性に声をかけられた。
僕の顔を見るなり日本語で「今の君の心の状態を分かるよ。僕も日本で同じ経験をしたからね。」と話しかけてきた。

ん!?

その男性の言っている意味が全く分からなかった。

全てを見透かしているかの様なその太刀振る舞い。

その男性は言った「昔、日本である有名な音楽グループの事務所に所属しマネージメントの仕事をしていた。日本に行ったとき、今のきみの状態と同じで、その土地にとても強い繋がりを感じたんだ。」と。
そしてこう続けた「今、僕はニューヨークに住んでいて、弁護士になるために勉強をしている。何故ならば、日本の素晴らしい音楽を世界に広めるためで、それには法律の問題をクリアにしなければならないからね。まもなく弁護士の資格が取れる。そして婚約者もいる。
独身最後の旅を今、ここで満喫しているんだよ。」と。

このニューヨーカーとの摩訶不思議な出会いは、今後の人生に強い影響を与えることとなった

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