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【読書メモ】ティール組織

元マッキンゼーのフレデリック・ラルー氏の著書。
原題は「Reinventing Organizations」で、2014年発刊。

「マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」という煽り文句が示す通り、企業活動において重要なテーマである『組織のあり方』について、豊富な実例を示しながら、次世代型の組織とはどういうものかについて述べています。

ちなみに『ティール(Teal)』とはもともとは沖縄の海の色のような、青と緑の間のような、そんな絶妙な色の名前のようです。

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「ティール組織」とはどういう組織か

書籍中では、組織のあり方のタイプを色をモチーフに表現するのですが(軍隊的な組織系統をレッド型組織、文化重視の組織をグリーン組織というように)、今現れ始めている新しい形態の組織を「ティール組織」と呼んでいます。

そこでは、ティール組織の大きな特徴の一つは「セルフマネジメント型組織」であると説明されていました。

ティール組織が過去の組織形態と違う大きな点は、人事権・予算権も含む全てが現場レベルでの意志決定に委ねられていることなのだそうです。
*他の色の組織の特徴は「ティール組織 説明」とかでググると良い感じの説明記事がたくさん見つかりますので、ご興味あればぜひ見てみてください!

もちろん、そういった組織のあり方に行き着いた背景、そのティール型組織がもたらしたメリット等についても細かく網羅されているのですが、読んだ感想としては、『これが組織のベストなあり方だぜ!』ということを書いたハウツー本というよりも、「ティール組織」という一つの事象を冷静に観測した本だと感じました。

「ティール組織」という概念をどう活かしていくかが大事

つまり、日本人にありがちな、舶来信仰的な『ティール組織万歳!これが一番!』という読み方をしてしまうと勿体無いのかなということです。

そもそも、日本社会と非日本社会において個人や社会に対する価値観・前提が違う中で、この本に書かれている組織のあり方を組織論のベストプラクティスとして、日本社会に単純に適応していくのは無理があるのかもしれません。

ただ、ティール組織が一番良い方法とは限らないまでも、ティール組織が生まれた時代背景や解決しようと目指したことを汲み取ることで、幸せになれる人は増えるのでは?ということは強く感じました。

ありていに言えば、「既存の会社組織の中ではつまはじきにされていた人」もしくは「生きづらさを感じていた人」でも、組織や集団という形をとって社会とつながりを構築できる可能性を秘めているのではと考えさせられました。もしくは、今まで評価されてこなかった人こそ、才能や能力を発揮して輝ける組織のあり方とも言えるかもしれません。

これからの時代に『組織論』を語るためには、「人間そのものに対する深い理解」と「社会背景の洞察」が前提として必要になってきていることを、本書は示しているように感じます。

「集団組織とは何か?」
「その中で個人はどうあるべきか?」
「社会における集団及び組織の役割とは?」

などの問いを発端にして、組織のメンバー同士が対話を通じてより良い価値観や考えを作りだしていくための一つのサンプルとして、この本は最適なのではないでしょうか。

「ティール組織」と「仕事のやりがい」とを結びつけて考えてみる

「ティール組織」を読んで、書籍の中で紹介される新しい形の組織形態で働く人々の様子を想像した時、このティール組織は人としての『感性』を大事にしている(される仕組みになっている)のだろうなということを感じました。

本文中では、"組織の気分"という言葉を使っていましたが、それはある意味組織内に漂うムード(Mood)に重きを置いていると表現した方が日本人はしっくりくる気がします。

つまり、「こうありたい!」「こういう人間でありたい!」ということを臆面もなく主張できて(たとえ言葉には出さずとも態度で示せて)、仕事を通してその気持ちを実現できる環境なのだと感じました。

もっと有体に言えば、「仕事のやりがい」というものをどう捉えるか?という枠組みが変わってきたからこそ出てきた組織の形態が『ティール組織』なのではとも思います。言い換えれば、『組織および組織に属する人の成功とは何か?』というが時代とともに変わってきたともいえるかもしれません。

オレンジ組織という、実力主義社会で個人が活きるような組織でのやりがいは何でしょうか?それは「成功」「成果」になるのでしょう。

グリーン組織という、家族的な共同体意識を大事にする組織でのやりがいは何でしょうか?それは「帰属」「一体感」ということではないでしょうか。

では、ティール組織という、ある種、生命体に例えらる組織でのやりがいは何でしょう?ここで友人と対話していてなるほどと思った発想として「トキメキ」というキーワードが出てきました。

それはまさに今まで『組織論』というテーマにいては、ないがしろにされてきたであろうポイントだからです。

「ティール組織」と「トキメキ」をどう繋げるか

心が「トキメキ」を感じる時とはどのような時でしょうか?

私の場合であれば、自分の想いや気持ちを確信して、かつその気持ちに従って動いていくぞ!というような未来への希望を抱いている状態の時に、体が熱を帯びてくるような「トキメキ」を実感するような気がします。

例えば、私はこんなときにトキメキを感じます。
・同じチームのメンバーにキラリと光る才能を見つけて、その活かし方の道筋が見えたとき。
・数ヶ月前には暗い表情をしていたメンバーが、新人を教える(人を導く)という立場を得て変化しているのを見たとき。
・新卒採用やインターン採用の中で、彼らに自分にはない価値観や情熱、才能をたくさん見れること。

資本主義的な世界では評価が低くなりがちな、数字では表すことのできない情感や感性が、ティール組織では大事になってくるのではないでしょうか。

なので、ティール組織の内容は、意訳してしまえば『心がときめく魔法の組織論』じゃないかなと密かに思っています。笑

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ほなまたね

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