ジオラマサムネ

台湾 高雄の歴史建築を訪ねる

台湾ではリノベーションブームがアツい

古い建物を改装して、カフェやアートスペースになっている所がたくさんある。文化財として保存しようという意識が高いみたいだ

その中には、かつて日本人が作った建物もたくさんある。どうしてかというと、台湾は1895年から1945年まで、50年に渡って日本が統治していたから

そういう話しを学校で習った記憶があるという人もいると思う。台湾は親日だとか、日本と台湾は昔から交流があるというイメージは多くの人が持ってる

ただ、それはどういう事なのか、実体験として知っている人は少ないかもしれない
実際にその場所に行って、その土地にあるものに触れてみると、そういう事がもっと身近に感じられたりする。建物には歴史があるし、それがいつ出来て、今はどう扱われているかを知れば、遠く昔の事に思っていた事がぐっとリアルに迫ってくる。なにせその建物は今でも目の前にあって、何十年も前からその場所で人々の暮らしを見つめてきたんだから

今回は台湾の南にある街、高雄を訪れた。

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旧高雄駅。今は駅としての役目を終えて資料館になっている。台湾に鉄道が引かれる歴史を展示していた。

まずは街の中心部にあるかつての高雄駅を訪れた。1941年、日本統治時代に完成した駅だ。
資料館のおばさんがとにかく明るくてホスピタリティに溢れた優しい人だった。僕の顔を見るなり「日本人?」と聞かれ、頷くとたいそう嬉しそうに「来てきて!」と中に案内してくれた。
日本人がいかにして鉄道建設を通じて台湾の発展に貢献したかという事をメインに、南北をつなぐ縦貫鉄道の歴史を教えてくれた。時はさかのぼって明治時代、鉄道が北にある台北から南の高雄までつながった時、移動するにはほぼ丸一日かかった。それがどんどん短縮されて、ついに日本の新幹線技術の導入で、今では1時間半で結ぶようになる。
おばさんは「日本ありがとう!」と何度も言ってくれた。僕は何もしてないのに、日本人というだけで感謝される。誇らしいと共に、こちらこそありがとうと言いたくなった

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工事現場の展示。曳家によって保存される高雄駅

今、高雄駅は再開発をしている。昔の鉄道は地上を走っていたのだけど、今は地下化された。工事を進めるには古い駅を取り壊すか、移動させるしかない。ずっとお金はかかるはずだけど、台湾はこの駅を保存する事に決めてくれた。そのために使われたのが曳家という技術。曳家(ひきや)というのは、建物をそのままの姿で傷つけずに移動する技術のこと。少し前に、日本でも青森の弘前城を移した事例が注目された

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展示されていた手ぬぐいがカッコよかった

よく見ると昔は煙突があったんだ。今の駅舎は左右がカットされて短くなっている。ちなみにこの手ぬぐいは非売品とのこと、残念…

ところで右上のひし形が2つ繋がったようなマーク、一体なんだろう。よく見ると上からカタカナで「タカ」と読める。実はこれ、かつての高雄市の市章なんだ。こういうものを懐かしんで使ってくれているのもまた嬉しい

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モデルは奈良駅
高雄駅は日本の奈良駅をモデルにデザインされたという。写真を見ると、なるほど確かに似ている。こちらの方が瓦とか装飾がしっかりしてるなぁ。写真は何年か前に僕が行った時に撮ったもの
高雄駅の建築様式は帝冠様式と言われるものだ。西洋の古典的な石造りの建築に、日本風の屋根を組み合わせたスタイル。和洋折衷ということ

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再開発プロジェクト

現在、オランダ人建築家の設計で再開発が行われている。左右の高いビルはそれぞれホテルと商業施設になるようだ。2024年の開業を目指している

それにしても日本人の建築物をここまで大切に扱ってくれていることに本当に感謝しかない!日本ではこういう再開発のスタイルは見かけないし、とても斬新で近未来のような景色が広がると思うとわくわくする。そして旧高雄駅はまた表舞台に帰ってきて、新・高雄駅として使われる事になる…! なんとも胸の熱くなる展開だ

おばさんは、こんな建物は私たちには作れないと言っていた。台湾には日本の統治を通じて鉄道や建築技術がもたらされ、近代化したことで暮らしが豊かになったというイメージがある。
そう言った歴史が日本と台湾をポジティブなイメージで繋いでいると言えそうだ

旅は続く

#台湾 #高雄 #旅 #建築 #歴史

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