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『ザ・マミー』はホラーの皮をかぶった社会派映画

今年劇場で鑑賞した映画8本目。2017年のメヒコ映画。
スティーヴン・キングも絶賛してるから期待に胸を膨らませ鑑賞。
ポスターではホラー映画感をとてつもなく出してるけどホラー要素のある映画ってだけ。
ホラー期待して観ると肩透かし必至。逆に言うとホラー苦手な人でもギリ楽しめるのではないかと思う。

あらすじ

少女エストレヤの母親はギャングに連れ去られ行方不明。母の帰りを願ったエストレヤに恐ろしい出来事が起こり始める。母と思しき存在に腕をつかまれたり、母の声を聞いたりする。母の声はどこかの場所へ導くような内容だが…。一人で家にいるのが怖くなったエストレヤは男子の孤児グループと行動をともにするようになった。ギャングの携帯を偶然拾った孤児グループのリーダー、シャイネとエストレヤは衝撃の事実を知る。

人の命が軽いメヒコ

人が行方不明になったり、近くで銃撃があったりするのは日常茶飯事。
エストレヤの通う学校も銃撃戦が近くであったため休みになるような環境。その帰り道で死体を目撃することも。ギャングによって人の命は軽々と扱われてしまう。エストレヤの母親もその被害者の一人だ。
警官も買収されており、子どもたちが助けを求めても知らないふり、あるいは無視されてしまう。ギャングによる誘拐や殺人も黙認されていそうな雰囲気だった。

それでも強く生きる子どもたち

孤児グループは人の携帯などを盗んでそれを売り、生計を立てている。
警察も頼れないし親もいない以上そうするのはやむを得ないという気もする。時にはギャングに追いかけられることもある。運悪く捕まってしまえばどこかに売られるか殺されてしまう。常に明日どうなっているのか分からない状況で生き続けるというのは本当にたくましい。

感想

めちゃくちゃホラーを期待して観たけどホラー要素はそこそこ。瞬間的に怖いシーンはあったけど、どちらかというと子どもたちの置かれている状況やストーリーで引き込まれた。子どもたちが不憫すぎてもうやばい。メヒコは怖いところというイメージしかなかったけど、この映画でそれがより強固になった気がする。
ホラーとファンタジー要素を抜いたら本当にありそうな話に思えてくるからそういう意味ではホラーかもしれない。母とエストレヤが再会するシーンでは何というか嬉しさと悲しさがせめぎ合うアンビバレンスな感情になった。ハッピーではないけどスカッとする終わり方だったから怖い部分もあったけど観てよかったと思える映画だった。

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