最後の機会には絶対に行なわなければならない

ハーバート・スタインの法則

よく人々はファンドというと「株式型ファンド」を多く考える。しかし今月初め、株式型ではなく「債券型ファンド」の規模が初めて100 兆ウォンを突破した。債券型ファンドが株式型ファンドの規模を超えて既に久しい。債券型ファンドは資産の大部分を国公債や社債などに投資し、利子収益と売買差益を同時に追求するファンドである。このような債券型ファンドに資金が集まるのは、証券市場に対する投資家の不安のせいである。つまり、ますます高齢化する社会でお金が必要な期間は増えるのに対し、少子化、低成長に加え、低金利基調の深化によって、お金を稼げる手段が次第に減っている状況が、投資家をして投資基準を収益性よりは安全性に移しめているのである。

しかし一方では、債券型ファンドへの資金流入の拡大により、債券市場のバブルを懸念する声も高まっている。2000年代初頭のITバブル当時にも株式型ファンドに過度の資金が集まった事例があり、余計な心配とばかりは言えない。これは、お金を守ろうとする人々の安全投資が、逆説的にお金を一気に蒸発させる可能性を内包していると言える。

これに関連して、ニクソン政権時代の経済学者を務めたハーバート・スタイン(Herbert Stein、1916〜1999年)教授は、「永遠に持続することができないなら、それはいずれ終わる(If something can not go on forever、it will stop) "」と言った。この言葉は、いわゆる「ハーバート・スタインの法則(Herbert Stein's law)」とも呼ばれているが、持続的に規模が成長している債券型ファンドの場合にもこの法則が適用されるとすれば、バブル崩壊がいつ起こるか分からないのである。

債券型ファンドだけでなく、経済分野において、このようなハーバート・スタインの法則が適用できる事例を見つけることは決して難しくない。いつまでも高成長を持続するかのように思われた中国の経済成長率が低くなり始め、世界1 位の威容を誇っていた韓国の造船企業が構造調整の角に追い込まれている。ヨーロッパ統合という旗じるしの下に緊密な同盟が続くかのように思われたEUがBrexit(British+exit)によって崩れた。一時、バレル当り100 ドルを越えて原油価格恐怖を抱かせた原油価格の上昇も、きりのない墜落を繰り返し、むしろ低価格を懸念する立場に追い込まれたりもした。

機会と行なうこと

ハルバート・スタインの法則は経済学者の言葉から始まったものだが、これは必ずしも経済にのみ適用される法則ではないだろう。

「機会」というものは我々が生きていく肉の世界で永遠に続くものではない。だとすれば、スタインの法則が警告するように、機会というものも、いつかは終わる可能性があるのである。人によって、それが1回目の機会で終わる場合もあるし、2回目で終わる場合もあるし、また、もしかしたら、それ以上の機会で終わる場合もある。しかし明らかなのは、この地上でその機会が永遠に続くことはないという事実である。

しかし、自分に近づいてきた機会が終わる前に、その機会をつかんで行なうならば、その行ないによって残った結果は、永遠に持続できる。特に、「永遠(eternity)」という霊の最も基本的な属性を知っていれば、機会をつかんで行なうことがどれほど賢明な選択かはあえて言う必要もない。少なくとも霊の世界でだけはスタインの法則が適用されることはない。霊の世界は永遠に(forever)持続する世界だからである。

考えの相対性、どんな考えをするのか

そういえば、ハーバート・シュタイン(Herbert Stein)という名前は、相対性理論で有名なアルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)の名前と似ている。アインシュタインの相対性理論は、質量が異なる世界では時間と空間も異なる可能性があるというものである。我々の考えも、見方によれば、重い考えや軽い考えなど、考えの質量が異なる場合がある。しかし明らかなのは、考えの質量によって行ないの質量も変わるということである。

では、1回目の機会でもなく、2回目の機会が訪れたことが分かったら、一体どんな考えとどんな行動をすべきだろうか?少しでも重さの感覚があり、質量の感覚がある考えをする人であれば、最後かもしれないチャンスを逃さないために必ず行なうのではないだろうか?

ハーバート・スタインの法則は、「続けられない、続かない傾向(Trends that can not continue、will not)」という言葉でも置き換えることができる。たとえ我々の肉の生は続かない傾向だとしても、霊の生は「続くことができ、続く」傾向(Trends that can continue、will)」である。しかし、必ず行ないが前提でなければならない。

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