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広告代理店火事場泥棒説を踏まえて「萬揉め事」の広告代理店で働く人の動機はなんですか?

どうして広告代理店の人が人事の専門家と好んで話をしているの?とまた別の方から質問を頂戴しました。 

「よろずもめごと広告代理店」です。
広告代理店は好んで「もめごとを探している」と感じられている方が多いかもしれません。
僕も「火事場泥棒!」と怒られたことがあります。
誤解されやすい業界です。
こちらも多々反省しなかればならないことがあります。

今回の頂戴した質問はマーケティング領域の広告業務に関わるエージェンシー(エージェント)の仕事への向き合い方を理解してもらうためにも大事なポイントです。

そこで、#4として「静かな退職」を題材にして、自分の考えをみなさんにお伝えさせてください。
 Xで簡単に書いたのですが、note用に加筆をしてまとめ直します。


広告代理業は何の専門家か?


今回のケースでは、僕は人事は専門ではありません。 
「知らない」ことがほとんどです。 
それを前提に人事の方と対話をスタートします。
 したり顔で語っても怪我をするだけですし、お役に立てません。 
広告代理店はマーケティングにおける「価値体験装置」=「ブランド製造装置」の専門家です。

「静かな退職」の相談を頂戴して


僕が最初に考えたことは「なぜ目的が関係者に共有されないか」です。 
そして(社内・インターナル)マーケティングの目的が明快になりプロモーション(広告)であれば、今までの知見や経験を活かして知恵と解決策を出すことができるので、お話(対話)をすることにしました。
テーマが大きいので今回は上流のプロセスから入ってみたいなぁと。

エージェントとしての心がけ


心がけていることは、知らないことや分からないことがあれば尋ねるようにすることです。
そして、自分に足りない知識や能力は専門性の高い仲間に相談して解決に向かって動くようにしています。 
チームプレイが広告の仕事に欠かすことができません。

営業はチームをまとめるコンサートマスターとして機能します。
クライアントさんにとってよい営業をどう見極めるか?については別途お話ししたいなと思っています。
まずコンサートマスターということを覚えておいてください。

自分の身の丈を知ることで、創意工夫ができると考えているので、疑問を投げかけてくれた方には不愉快にならないように気をつけながら質問をさせていただいています。 

どうしたらうまく行くか?


得意先の方と議論になることはしばしばですが、時々「どちらが正しいか?」というような意見の対立が起きます。

対立する論点はここでは「人事論」ですが、例えば、「商品論」「カテゴリー論」「マーケティング論」「ブランド論」などなど…
何やら主義主張の戦いのようなことがよく起こります。
それはそれで大事な議論です。お互いの理解が進みます。

ただし、勝ち負けをつけることが目的にならないようにしましましょう。
正直、時々得意先を論破したいという意欲に掻き立てられてしまったりすることも…。

エージェンシーしては自分の「論説」が正しいか(間違っていたか)どうかよりも、大事なことに向き合いましょう。
それが実行責任です。
実行の観点からチームの一員でもある得意先にチャレンジすることはしっかりさせていただきます。



前進あるのみ:時にプランの撤回もします


エージェント・エージェンシーとしての最大のプライオリティは「解決目指して前に進めること」。
お互いの主張を戦わせる局面があったとしても、マーケティングと広告の目的をはっきりさせる、リソースの確認を行うことで、妥協ではなく解決に向かって前進します。

極力多くのリソース情報を広告代理店が必要とすることは実効性の検証のためです。
これは現代の統合マーケティングの観点では矛盾していません。

強い広告キャンペーンがカリスマ経営者やスーパーCMOの元で成功するのは、ビジネスの全体像、課題の全体像、そして水平方向の情報を「体験装置」の実行責任者である広告代理店の末端までが理解します。
それはインテリジェンス化された情報に基づいて行動する(役割を果たす、Playする)ことになります。



得意先はビジネスについてより多くのことを知って、理解して欲しいと期待しています。
ありがたいことにビジネスパートナーとして認識してくださるときもあります。

得意先との議論において、よりよい結果を求めるためならば、ほぼ完成近くまで積み上がったプラン・IDEAを捨てることもあります。
エージェントですので、達成すべき目的にために手段の変更は当然行います。

あるべき論よりも「なぜ?」の重要性


疑問質問提言横道話など会話のキャッチボールを続けていると、思いもよらない点(経験や知見)がつながることがあります。

お互いに「なぜ?」という質問がしやすい関係性が重要です。
キャッチボールと言いましたが、得意先にとっては「壁打ちの壁」のような役割を代理店のクライアントチームがすることがあります。

一定の制約を理解して、「なぜうまくいかない?」「そうだ、こうしよう!「そうだ、こうしたらうまく行く」という議論を続けることが革新的なソリューションになります。対話を絶やさずに。

実行責任が広告代理店のダイナミズム 


最後(実行)までお手伝いできた時はお役に立てた!という達成感がエージェンシーの原動力です。

以前もお話ししたことがありますが、世界で最も優れたエージェントは007/James Bondです。
「殺しのライセンス」は実行責任のことです。

僕はコンサルタントという仕事を尊敬しています、
同時に、007に憧れています。
実行まで行いたい、実行の先にある新しいチャレンジに向き合いたいのでエージェントを名乗ります。


 
現在「静かな退職」案件については人事コンサルティング領域(アドバイザーレベル)なので、個人的にはクライアントさんと信頼関係を深めて実行までお手伝いしたいなぁと思っています(よろしくお願いします!)

アドレナリンジャンキー

物騒な言い方ですが、実行責任を成し遂げた時の責任感と達成感が次の仕事への原動力になります。 
あくまで自分の経験ですが、広告代理店勤務の方はこういう人がたくさんいます。

得意先からのインプット(問題提起)


先日Xで田端さんのこんな投稿がありました。
それでちょっとだけ引用ポストをさせていただきました。

Xでの投稿は誰からのインプットに対してコンパクトに自分の考えをまとめてアウトプットするための訓練になっています。 

田端さんのポストで「無知の知」というものもありました。
これは僕にとっても出発点です。

上述のクライアントさんとのやりとりも「無知の知」だと思っています。

 質問に答えることはまさにインプットとアウトプットの関係です。 
限られた知識を最大限活用する、知らないことがあれば努力する、それが仕事の成果への道のりです。

得意先と広告代理店の関係は「パートナー」と言われることがあります。その側面もあります。パートナーであれば「磨きあう関係」が重要です。お互いにチャレンジし合いましょう。


アドレナリンジャンキーのキャリア論


得意先とけんけんがくがく、ドキドキハラハラ、ワクワクして手にした仕事の成果を通じて自分のキャリアを豊かにします。
偉そうですが、その積み重ねが、楽しい人生につながる、そんな感じです。
広告代理店の人たちは現場が好きです。
現場が好きすぎて「経営」がないと陰口を叩かれることも…

上述しましたが、広告代理店で働く仲間にはそんな人たちがたくさんいます。課題をもらうと解決策を探して、その実行までに、ついつい夢中になってしまう人たちです。 意外といろんなものを犠牲にしていたりもします。

例えていうなら毎日が文化祭の前日と当日です。
After 文化祭の反省が苦手なところは業界としてまさに反省する必要があります。説明責任は最も大事なポイントです。

ワクワクで積み上げていくキャリアが広告代理店で働く面白みです。

ワクワクするだけではなく、プラニングサイクルを回すようにして得意先との信頼をさらに得る努力をすることは長らくサービス上の課題とされています。
特に実施後のレビュー、これがないと本来のサイクルになりません。

JWT London Planning Guide 1974版より THE PLANNING CYCLE

いずれにしても広告の仕事は楽しいです

静かな退職:なぜSilenceではなくQuietか?


話を「静かな退職(Quiet Quitting)」に戻します。
英語でquietが使われていることが非常に気になります。
コミュニケーションをあえて行わずに、目立たぬように仕事をする…。

クライアントさんから頂戴したインプットではありますが、これは社会的にも大きな課題だなぁ、コミュニケーションの変化が起きているのではと思いました。

つまり、自分ごとです。
ミドルファネルにおける強いエンゲージメントが起こりました。
エージェント魂が燃えます。

よくキーワードと背景を吟味する

---洞察力・Insightの重要性---

静かな退職(Quiet Quitting)
「静か」が沈黙であればsilenceです。
quiet=あえて静かにしている=意図して声高に主張しない、ということは、日本人としてよくある話ですが…。

とはいえ、リモートワークなどの導入で、意図する沈黙のあり方も変わっているのではないかという直感的な危惧を感じます。
そこで、あえて主張をしない社員を洞察してみる必要を感じています。

前職でキャリア面談を行なっていました。
思い出してみると、そこそこ働いていればよい、責任をとりたくないので偉くなり(昇格し)たくない、と正直に話してくれた方がいらっしゃいました。
なるほど、これが「静かな退職」かぁ、と振り返っています。
概念として成立しつつある(すでに成立している)ことを実感しました。

クライアントさんへ:小ネタです


これは自身への戒めです。
広告代理店の人はカタカナを使いたがります。
それを日本語に言い換えられない担当者だったら要注意です。

エージェントとしての捉え方


静かな退職(Quiet Quitting)について考えれば考えるほど、会社(つまり今までは社会として認識されていたもの)という価値が揺らいでいるように見えます。

大きな変化を背景にして現状についてどうしたらよいだろう?と悩んでいる人事の方からの相談は、まず「なんとかできないか?」という職業的な動機を大きくします。
社会的な課題は市場(マーケティング)を考えた際に常に広告代理店が向き合うテーマです。
これが広告代理店が自主的に社会現象に対する調査を行う理由です。

そして担当の方との対話によって自分にとってはコミュニケーション(マーケティングの課題)と個人的には会社とそこで働く価値観の問題であることに気付かされます。
 
この2点がこの問題をどうにかしたいという動機になっています。 

人事の知識はありませんが、価値共有についての知見と経験でお役に立てると自負した(キックオフした)理由です。

同じ目的(解決すべき課題)に全く異なるキャリアを持った人間たちがエージェントとしてチームで向き合い、解決策を探して実行することは、広告代理店サービスの基本的なフレームワークそのものです。


さあ、エージェンシーを使ってブランドを創ろう!


上記の説明で僕(広告代理店)が未知の領域への取り組むことへの疑問が解決できたなら幸いです。

もちろん総論的なビジネスモデルや報酬体系などまだ伝えきっていないところがあります(こちらの方が重要かもしれませんが…)

まずはクライアントさんが抱えている課題にチャレンジして一緒に解決したい人たちの集団なのだと理解していただけると嬉しいです。

広告代理店はサービス業ですから、クライアントあっての我々です

エージェンシーはみなさんからの「インプット」を待っています。
どんなレベルでも構わないので、まずは相談を。
なぜ」のキャッチボールから始めましょう

【参考です】
広告代理店の仕事を総括してみました。
興味のある方、ぜひご一読ください。
読んでいただくのに30分程度かかってしまいます。
広告代理店への理解を深めていただければ幸いです。

みなさんからのお問い合わせお待ちしております!

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは、また。

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