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店舗のあり方についてあれこれ:お客さんを必要としているものがそこにあることが重要=必要がないものはいらないという決断をしている西松屋の「ガラガラ」経営が面白い。店舗におけるクラスターとの価値共創のケーススタディ
Three Plus Six LLCです。
銀行店舗のあり方や4°Cの匿名宝飾店のケースを通じて店舗のあり方を考えています。
価値共創の最前線である店舗について西松屋からたくさんのことが学べます。
店舗のあり方についてまとめてます。
店舗についての記事です
店舗とは
店舗はまさに「心地よい体験を共創し顧客のココロに焼き印する」場所そのものです。
マーケティングのプロモーション活動の最前線ですし、ブランドを共創するスペースです。
SNSの時代です
企業からの情報発信だけではなく、そこで味わったことは顧客側からの情報発信が行われます。
The Rolling Stonesのアパレルを中心とした体験型ショップ。近々原宿にも期間限定でオープンします。
ロングテールの時代
少量多品種がビジネスになる時代ですので、多品種を手に取ることができる場所でもあります。
ブランド(共創価値)のマネージメントをする上で店舗の重要性が問われています。
Placeに注目!
Placeはマーケティングにおいて「売り場」以上の役割を持っています。
「棚を取る」ための狭義のプロモーションではなく、統合マーケティングの大事なリソースとして改めて認識しましょう。
無音の店内:無音という体験
店舗についてあれこれ調べていたら、以下の記事に出会いました。
赤ちゃんや子ども向けの服や雑貨を扱う西松屋店内はBGMがないということです。
ターゲット顧客である子育てに従事する両親に「ゆっくり選んでもらうこと」を目的としたときに、不必要なものとして、BGMを排除しました。
記事にもありますが、顧客本位で店内をあえて「ガラガラ」しておくというユニークな経営戦略とそのための出展計画に基づく店舗での体験設計です。
あえて「ガラガラ」にするための積極出店
以下に西松屋の「ガラガラ」経営・店舗についての試みをまとめます。
西松屋の「積極出店」と「ガラガラ経営・店舗」戦略に関する項目を記事から以下のようにまとめます:
「積極出店」:
定義:顧客本位の十分な売り場・買い場スペースを確保するための新しい店舗を積極的に開設する戦略
目的:個店繁盛して店内が飽和状態であると判断すると同じ商圏の近隣エリアに進出を通じてエリアでの市場シェアを拡大する。
成果:1985年に25店舗だったものが、2023年8月時点で1090店舗に拡大している。
「ガラガラ経営・店舗」:
定義:顧客本位で店内をあえて混雑させずに、ゆとりを持った状態での運営を目指す経営・店舗設計。
目的:
お客さん:落ち着いて買い物ができる環境の提供。
従業員:余裕を持って働きやすい環境を作る。
効果:
子ども連れがベビーカーを押しながらじっくり店内を回ることが可能。
少ない従業員での店舗運営が実現。
以前はBGMを流していたことも
2006年頃まではBGMを流していた模様です。
店舗運営の見直しの中で、BGMもその対象となり経営戦略や店舗オペレーション、ターゲット顧客の研究、各種事例を踏まえた上注視したそうです。
アメリカの視察とBGMに関する考え:
アメリカの店舗でBGMが流れていないことを発見。
音楽の好みは人それぞれで、BGMは買い物の邪魔になる可能性。
商品選びは音よりも視覚や触覚が重要。
テストの結果、店内BGMを流さないことに。
経営戦略との関連性:
「無音」の店内は、西松屋の「積極出店」と「ガラガラ店舗」戦略と合致。
店内のガラガラの状態を保ち、無駄を省くことが重要。
BGMをなくすことでの経費節減効果。
お客さんからの反応:
お客さんは、静かな環境で落ち着いて買い物ができることを評価。
子ども連れのお客さんからのポジティブな反応が多い。
西松屋は、お客様のニーズに応えていきたいとの意向。
ターゲットクラスターの発想
赤ちゃんを育てている夫婦がベビーカーを押しながら買い物するという状況を想像すると、西松屋はターゲットをデモグラフィックやブランドペルソナではなく、きちんとクラスターで捉えていることが分かります。
クラスター、デモグラフィックターゲット、ブランドペルソナ
マーケティングの文脈における「クラスター」「デモグラフィックターゲット(demographic targeting)」「ブランドペルソナ(brand persona)」の3つは、顧客を理解し、適切にターゲットするための方法や手法ですが、異なる目的と特性を持っています。以下にそれぞれの概念の違いをまとめます。
クラスター:
定義:似た価値観や特性や行動を持つ消費者のグループ。
目的:大きな市場をより取り扱いやすい小さなセグメントに分ける。
特性:顧客の行動、購買履歴、興味・趣味などに基づくセグメンテーション。時には、デモグラフィックやジオグラフィックな要因も含むことがある。
デモグラフィックターゲット (Demographic Targeting):
定義:年齢、性別、所得、教育、家族の状況などの人口統計的特性に基づいて消費者をセグメント化する方法。
目的:広告やプロモーションを、最も関連性が高いと考えられる顧客層に届ける。
特性:最も一般的で基本的な顧客セグメンテーションの方法。しかし、個人の興味や行動に関する深い洞察は提供しない。
ブランドペルソナ (Brand Persona):
定義:特定の顧客セグメントの特性を具体的かつ人間的なキャラクターとして表現したもの。
目的:マーケティングチームが顧客をより深く理解し、彼らに対して共感を持ち、効果的にコミュニケートするため。
特性:フィクションのキャラクターとしての性格、興味、趣味、生活スタイルなどの詳細を持つ。デモグラフィック、サイコグラフィック、行動的特性などを組み合わせて作成される。
まとめ:
「クラスター」は消費者の実際の行動や興味に基づいて市場をセグメント化するもの。
「デモグラフィックターゲット」は基本的な人口統計学的特性で市場をセグメント化するもの。
「ブランドペルソナ」は、ターゲットとする顧客層を具体的かつ人間的に表現するためのツール。
これらの手法や概念は、組み合わせて使用されることが多く、マーケティング戦略の中で異なる役割を果たします。
西松屋のValue =「ゆっくり」「(こころに)余裕を持って買い物したい」
赤ちゃんを育てる夫婦にとって欲しいものは「余裕」です。
余裕はお財布にも優しいということが含まれます。
西松屋が売っているもの(提供している価値・Value)は「余裕」であり、これは働く人にとっても大事な価値になっています。
ガラガラ店舗は設定された課題
余裕というValueを競争する場所である店舗において「ガラガラ」を実現することは企業の課題であり、その課題解決を進める上で「無音」(テーゲット顧客にとって必要のないもの)を選択して、実行しています。
(西松屋は十分研究した上での判断ですが)ターゲット顧客にとって必要なものを探すことが難しい時は不要なものから削っていくという戦略的なアプローチとも言えます。
理論と実践
西松屋について調べていて気づいたのですが、ペガサスクラブのメンバーでもあります。そして、その理論をしっかり実践しています。
体系化された理論とその実践はマーケティング(プロモーション)において重要なことが西松屋のケースから学べます。
ペガサスクラブ:日本のチェーンストアを研究する団体です。
ペガサスクラブの代表選手といえばサイゼリアです。
最後に西松屋大村社長のインタビューを
今までのケーススタディを踏まえてぜひこのビデオをご覧ください。
西松屋のすごいところが見えてきます。
私たちのマーケティング・プロモーションを進化させるためのヒントがたくさんあります。
ClickからBrick、BitからAtomを踏まえてブランドをつくろう!
マーケティングにおいて、体験が重要なキーワードです。
特にリアルの店舗での体験が価値の共創において求められています。
ここでいう体験はもしかしたらMITの石井裕さんがおっしゃるタンジブルビット
なのかもしれません…
人とビット(デジタル情報)、アトム(物理世界)をシームレスに接続する「タンジブル・ビット」。本連載では、横軸に「タンジブル・ユーザー・インターフェース(TUI)」研究の軌跡、縦軸に人とテクノロジーの関わり方をとり、日々考えていることをエッセイとして綴りたい。
体験価値の共創実現のために広告という装置がどう機能すべきか、ぜひマーケティングチームで話し合って課題を設定してみてください。
広告代理店が素晴らしい課題設定とその解決策を一緒に考えてくれるはずです。
マーケティングチームのプロモーション領域の強化、そのためのトレーニング、チーム力アップのためのコンサルティングサービスを提供しています。
ぜひお気軽に相談をしてください。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、また。
よろしければサポートをよろしくお願いいたします! みなさまのお役に立てるようにこれからも活動を続けます! 今後ともどうぞご贔屓に!