ある人事関連の方からの質問---インターナルマーケティングは人事部門のイニシアチブは分かった(やりましょう!)「哲学」の重要性も理解した(取り入れましょう!)でもそれって広告代理店の仕事なの?---
日本市場でも「静かな退職(Quiet Quitting)」が増えています。
ご存知の通り元々静かな退職はキャリアアップなどを目指さずに、必要最低限の仕事をこなす働き方のことです。「冷めた働き方」「打算的な社員」ということでしょう。
#1を読まれた別の人事関連の方との対話です。
静かな退職についてのお話をしている中からスタートしたダイアログです。
コトバの定義の重要性
「静かな退職」についての理解の領域はもう少し広がっています。
リモートワーク時代の何も言わずにやめてしまう社員と思っている方もいます…これもコトバが影響している事例ですね。
議論が噛み合わないな、と思ったらまずはコトバの定義を確認しましょう。
コトバの定義をしっかりしたいですね。
インターナルマーケティングについての対話その2です
インターナルマーケティングと哲学を活用した「対話」の重要性について対話しました。ご了承を得てまとめます。
「広告代理店」はインターナルマーケティングに必要か?という疑問
それを踏まえて別の人事関連部署の方からの質問を頂戴しました。
なかなか厳しい質問ですが、対話を進めるにはとても大事な論点です。
まず「静かな退職(Quiet Quitting)」から考える
ご存知の通り静かな退職は経営者と人材をマネージメントする人事部門にとって大きな問題です。
社員の「やる気」に火をつけて、よりイキイキと働いてもらうこと、「帰属意識」を高めてもらうことが具体的な解決すべき課題・目的として取り上げられています。
そのためには経営者と社員の「一体感」をつくるべく会社(経営者)を理解してもらうこと、会社の存在意義や目指すべき方向を「パーパス」として規定し書き出し、それを社内外に(経営者自らが)周知徹底することで、問題をにという言葉が日本で取り沙汰されています。
乱暴なまとめ方をしてしまうと…
パーパス経営、パーパスブランディング、それを行えば問題は解決すると思っている経営者が多い…。なんだか「流行りの病」のようにも見えます。
正直なところ、僕は「パーパス」を明文化し、周知徹底しただけではこの問題は解決しないと思っています。
パーパスは究極の目標です。ずっと追い続ける北極星です(そう簡単に追いつきません、だから追いかけ続けるのです)
大事なことはどうやってその目標(最終目的地)に辿り着くかというプランです。
プラン・企てを共にする仲間を社内外に集めてその長い道のりを前進し続けます。天竺を目指す最遊記のように。
マーケティングを進めるということのほうが美しいパーパスで会社をまとめようとするよりも重要だというのが僕の考えです。
前進あるのみ
社員は前進するための駆動力(エンジン)です。
外部から共鳴してくれる顧客はいわばガソリンです。
最終目的地までのステアリングを握るのは経営者。
僕が考える会社経営はこんな感じです。
会社(そして社会)は人で構成されていますから、ココロのエンジニアリングが必要です。
社内外で価値(value)が共通認識として理解されることの大事な理由です。
意味を持つこと・持たせること
価値は認識されるだけではなく、最終目的地を目指して進化していく必要があります。
マーケティング活動(ブランド活動)を通じて商品サービスに意味・意義を持たせていきます。
5月まお世話になっていたマッキャンワールドグループはMeaningful Roleというキーワードで得意先のマーケティングエージェンシーとしてブランド活動をサポートすることを標榜しています。
山口周さんのコトバを借りれば「意味の形成」をしていきます。
ココロを入れる:魂を吹き込む
極論ですが、企業名、商品名、ロゴも魂の入っていない造形物(空虚なもの)にすぎません。
そこに魂を吹き込むことが「意味の形成」であると解釈してみましょう。
消費者を取り巻く環境も変わっています。
所有価値(持つ喜び)、利用価値(使う喜び)、そして、体験価値(そこでしか経験できない歓び=トキの消費)へと商品・サービスとの関係が変化しています。体験価値だけで現在の消費環境が出来上がっているわけではありませんが、人々の求めるものは体験へと動いています。
体験価値を求めて人々はその実現を一緒に実現してくれる仲間(商品、サービス)を求めます。それをテクノロジーが後押ししています。
職場と体験価値
体験価値の重要性は「職場」でも同じです。
会社で働くということをどう捉えたら良いでしょうか?
そこでしか出会えない人とつながること・Connectivity
毎日が新しい可能性を発見し続けること・Creativity
働く個人が同じ行動様式を持っていること・Culture
上記の3Cが重要であると僕は考えています。
特にCututureは強力なファンダメンタルです。
Cultureの定義をすると
Cultureについて最近TBWA WWのExecutive Coach | Instructor | Re-FounderのRob Schwartzさんが素晴らしいポストをLinkedInにしています。以下に共有をさせてください。
NFL executiveの Michael Lombardiの言葉によります。
Culture(行動様式・how to behave based on the shared values)になることがBrandになることです。
広告はマーケティング4PのPromotion領域においてCultureを創るための装置です。
広告は「装置」
社員と一緒に物語をつくる=Cultureをつくるための装置が広告です。
その装置の発明と運営をするためにはマーケティングの考え方(リソースのアロケーションを統合的に考えること)を整理することから始まります。
そして人類の知性の蓄積とそれを活用するための技術である「哲学」が必要です。
そして広告を装置として価値を連鎖(Promotion)させていきます。
対話を促進し、価値をアイコンにする、文化をつくることは広告がもっとも得意とすることです。
対話を好む人たちを仲間にしよう
静かな退職の対となる働き方はどんな概念で表現されるのでしょうか。
Quite Continuingでしょうか。静かに情熱を燃やす…日本的ですね笑
青い炎です。
TOYO TIRESさんは自分たちだけが持つ企業ロゴカラーである青(他の日系タイヤメーカーは赤がロゴに入っています)をテーマにチャレンジする企業としてのメッセージを出し続けています。
経営に携わる人の人間性
創業者だけではなく経営に携わる人の人間性が問われています。その人間性は企業の人格を代表します。
最近"Act like a human being"という表現をいろいろなBlogサービスの記事で目にする頻度が上がりました。
PersonalityよりもHumanityの時代のようです。
その人間性と好んで対話できる人たちがターゲットです
経営に携わる人たちの言葉こそ大事です。
その言葉をアウトサイダーに委ねる必要はありません。
経営者自らの言葉で例えばパーパス、ビジョン、ミッション、バリューを語ってみましょう。
アウトサイダーが美辞麗句を並べ立てるよりも社員のココロに響くはずです。
そのココロをつなげて行きましょう。Cultureにしましょう。
アウトサイダーに投げ出してしまうのではなく、専門家のノウハウを活用する方法に注目してください。
その言葉はCulture装置作りのためのエージェントである広告代理店のCretivityにも火をつけます。
専門家は広告代理店だけではありません。編集者の方をはじめとして経営の言葉を伝えるためのノウハウのを持っている方がたくさんいます。
「装置づくり」がインターナルマーケティングにおける大事なプロセスである立場です。
外部の専門家に期待することを見極めていくことはクライアントさんにとって大事なことです。
最近読んだ記事です
広告代理店の仕事の醍醐味が集約されています。
クライアントのエージェントとして本務がよく理解できます。
敵か味方か:「争点」作り
Quite Quittingの反対の概念の続きです。
Quiteに注目するとLoudでしょうか?
きっと文句(不平不満)をたくさんいう人ですね。
もしかすると対話を望んでいる人かもしれません。
企業人格・経営者の人間性という観点も含めてこの人たちが味方になるかどうか、「争点」をつくってみましょう。
争点作りは広告代理店が最も得意とするところです。
その争点のハンドリングは経営者と人事の方と連携しながら進めて行きます。
企業やサービスが国境を越えボーダレスになることで企業に対する新しい期待が市場から上がってきます。
その期待を社会的な争点として捉えるような仕掛けの運用を広告代理店が担うことがあります。
「社会的な」というところに仕組み上のフォーカスを置きすぎて、炎上案件になってしまうことがしばしばあります。
「争点」のあり方、「社会」との向き合い方で広告代理店は長らく悩んでいます。
社員とのRelationshipをマネージします
人事管理から人材運用へ。
これが「静かな退職」時代の人事部門の仕事です。
HRRMという新しい人事の概念の話を前回しました。
マーケティングは「味方をつくること=敵をつくること」から価値を並列させることへ
味方をつくることは敵をつくることでもあります。
マーケティング4Pにおけるプロモーションは特に体験価値における商品サービスの意味を構築します。
そして特定の文化とその文化の象徴であるアイコンを生成します。
アイコンは宗教性を帯びていきます。ブランドエバンジェリストです。
最後は戦国時代よろしく錦の御旗の元に戦いをすることになります。
フェアな競争はとても大事なことです。
顧客の側に立ってみましょう。
商品サービスの知名度、値段の違い、機能の差による優劣の戦いではなく、顧客にとっての特別な意味の戦いです。
味方をつくる=敵をつくるという言い回しでマーケティングのダイナミズムを説明しますが、同時に価値の愉しみ方は人それぞれでもあります。
マーケティングは戦争理論を下敷きにしているので、ともすると過激な用語を好みますが、ユーザー側により選択権がある体験価値の環境では、さまざまな文化が並列するということになります。
多様な体験文化と多様な企業の社会です。
何よりインターネットで行うビジネスはロングテールが本質。
エキサイティングな時代です。
社内で価値の共有を、そのための装置を
静かな退職の時代のインターナルマーケティングに重要性に気づいたら、広告という体験装置づくりと運用の手法を利用しましょう。
まずはターゲットインサイトの見極めは広告代理店の得意技です。
クラスター分析にとどまらない広告代理店のノウハウを活用してください。
次に言語化でミドルファネルに訴えることを考えて、仕組みや仕掛けにすることを相談してみてください。ターゲットのタッチポイント設計も広告代理店の仕事とです。
そして、出来上がるであろう装置の運用とモニタリングまで広告代理店と一緒に進めてみてください。次のインターナルマーケティングプランに反映させて行きましょう。
プラニングにサイクルも広告代理店に蓄積されています。
さあ、広告代理店とブランドを創ろう!
優秀な広告代理店が責任を持ってお手伝いします。
日本には優れた広告代理店やクライアントチームがたくさんあります。
その可能性を導き出してください。
以上が価値体験装置のプロフェッショナルである広告代理店がインターナルマーケティングに欠かせない理由です。
広告代理店と目線合わせをしっかりしてブランド(体験価値のプラットフォーム)を創りましょう。
今お使いの広告代理店も人事部門のみなさんからの相談をきっと待っているはずです。
みなさんからの質問や相談お待ちしております!
インターナルマーケティングの重要性を踏まえた人事部門のトレーニングから実務までThree Plus SIxがお手伝いさせていただきます。
哲学クラウドと連携するだけではなく、Open Platform Agency Networkによってベストなサービスチームを用意してみなさんをしっかりサポートします。
もちろん既存の広告代理店との協業やコンサルティングも行いますので、お声がけください。
こちらの質問を頂戴しました。
対話を続けます。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、また。
よろしければサポートをよろしくお願いいたします! みなさまのお役に立てるようにこれからも活動を続けます! 今後ともどうぞご贔屓に!