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SWEET MEMORIESのスイートメモリーズ。音楽(音)の持つ記憶を想起させるチカラ:ターゲットと一緒に育つ「心地良い体験」のスイッチとして音楽は重要な要素です。

昨日松田聖子さんのSweet MemoriesのMVをアップしました。
音楽を聴きながら思い出したことがあるので、ケースとしてまとめます。


この名曲は過去3回TVCMの楽曲として使われています


最初に使われたのは1983年 サントリーの缶ビールです


ペンギンのキャラクターとの共創効果でとても話題になりました。

ビールの「ほろ苦さ」をインサイトとして表現したものではないかと推察します。
ペンギンの可愛いイラストと松田聖子さんが歌う英語ソングという意外性も注目されました。



当時のサントリーはビールでは苦戦していましたが市場にインパクトを与えたようです。
80年代初頭はビールの味も含めた多様化が始まります。

その集大成が1987年のASAHI スーパードライ発売ということでしょう。

ビールの歴史についてはKIRINの以下のサイトが詳しいのでお時間のある時にぜひ。

実はペンギンCMは消費者からのクレームで打ち切りになっています。
ペンギンプレミアムグッズを求めて酒店の店頭に高校生が殺到したことについて消費者からのクレームがあったことが主な背景でした。

このプロモーションは今でいう「バズる」キャンペーンかつコンテンツのマルチメディア・タッチポイント展開です。

ペンギン缶から店頭、そして映画にもなりました

CMが華やかな時代だったのかも知れませんが、マーケティングということから離れて、自由に発想しているようにも映ります。

広告的には、キャラクター、タレントパワーを積極的に、時に意外性を持たせて、活用する方法論などの教科書とも言えます。

これは引き続き日本の市場の特徴の一つです。

もちろん楽曲も大ヒットしました。
急遽A面に(もはやA面、B面という表現も「懐かしい」ですが…)

まさに人々記憶に残ることになります



特に「(あの)人を想う」「ほろ苦い」「懐かしい」「切ない」などの感情と結びついています。
多くのアーティストにもカバーされて「普遍性」を帯びています。

また、時代を代表すると書きましたが、ペンギンを表紙にした広告についての本も宣伝会議から発売されています。

2009年 サントリーのBOSS SILKYBLACKで復活

松田聖子さん本人も登場しています。
2010年にはペンギンとコラボレーションします。

BOSSといえばトミージョーンズさんですが、この頃は商品ラインアップによってマーケティング的な狙いによってプロモーションのアプローチを変えていたのかも知れません。

例えばレギュラー缶はトミージョーンズシリーズで、それ以外は商品特製に応じてそのValueを個別に伝えていくなど…。

上記のTVCMを見ていただくとわかりますが、
非常に「リッチ」なキャスティングです。
懐かしさだけではなく商品名にもなっていますが「上質」が伝わってきますね。

缶コーヒーのインサイト


ちなみに缶コーヒーのインサイトは「(男の)甘え」というのが一般的な解釈です。
商品や流通から見ていくとそれがよく分かります。
男性ユーザーが多く、自動販売機など使ってちょっとした休憩(一息)を取るために愛飲していて、かつちょっとした「甘み」があることがなどがインサイトにヒットする商品です。

ターゲットは40歳代に


1983年当時高校生だった人たちが40歳代にさしかかり当時の喧騒から落ち着きを求めるという点でも音楽の持つチカラが大きく機能しました。

ほっとしたい気持ちや何かを懐かしく想う気持ち、そこに缶コーヒーがあるなどインサイトフルです。

フルスケールキャンペーンではないようですが、マーケティングが上手なサントリーらしいプロモーションですね。


2020年 マクドナルドのディナー広告で期間限定で復活


松田聖子さんの活動40周年記念楽曲として「SWEET MEMORIES~甘い記憶~」が、マクドナルド『ごはんチキンタツタ』の新CMソングとして5月13日から期間限定でオンエアされました。

時間帯別のマーケティングアプローチ


マクドナルドはじめとした外食産業は時間帯のマーケティングアプローチを充実させていています。

例えば:ブレイクファースト(朝食)、ランチ(昼食)、おやつ(適宜・深夜含む)、ディナー(夜)です
それぞれのオケージョン・モーメンツに各企業の商品・サービスのValueを提案しています。

マクドナルドのようなファーストフードと言われる比較的カジュアルなサービスはディナーに向かないとも言われています。
それを打ち破る必要があります。
つまりマーケティング上のチャレンジ=設定された課題です。

社会的背景、商品、マクドナルドの店舗


家族構成はじめ社会的な構造の変化などの影響もあり小食・孤食が目立ってくる中でマクドナルドはディナー・夜の時間帯の充実を試みています。

プロダクトではご飯バーガーという「お米」を食材にしていることや
プレイスではマクドナルドのお店が人々の交差点であるように表現しています。
商品、時間帯とオケージョン準備はできました

そしてターゲット


1983年当時の高校生は50歳代、人生にもいろいろありました…。しっかり食べて明日からも頑張らないと…。

そんなインサイトから「誰かを想う」という感情を引き出すことで「一人で食べる寂しさ」を「ちょっとほろ苦いけど、あの頃みたいに頑張ろう」という気持ちの転換に音楽のチカラが貢献しています

まさに1983年からぐるっと一周して時間帯の「(甘美でもある)ほろ苦さ」を引き出すことに成功したと思います。

もしかしたら当時ビールを飲んでいた(主に)お父さんの気持ちを理解すること=父親との共鳴が深層心理で働いているかも知れません。
素晴らしいキャンペーンですね。

曲が成長している


松田聖子さんの音楽がターゲット顧客ともに成長する、ずっとインタラクションし続けていることが上記の3つのTVCMを見ただけでも分かります。
松田聖子というブランドが「Sweet Memories」を旗印に成立しているということです。
松本隆さんの素晴らしい歌詞が大きく貢献しています。

もしかしたらターゲットが60歳にさしかかる頃に、この曲のチカラを借りるプロモーションが生まれているかも知れませんね。

心地良い記憶を創るためのプロモーションは五感で


マーケティング・プロモーションにおいて広告が機能した時に、その創意工夫・クリエイティビティは時代と世代を象徴するといういうこと、五感の最大活用は「記憶」に大きな貢献をしていることのケースだと思います。

さあ、ブランドを創ろう!


ぜひみなさんの広告代理店の方と新しい「Sweet Memories」を創っていきましょう!
上記ケースでもマーケティング4Pの観点がしっかり噛み合っています。プロモーションが「表現」だけで出来上がっているわけではないことの証です。
今開発中のマーケティングプロモーションだけではなく、将来の機会に向けてぜひチームで話し合ってみてください!

広告代理店のパフォーマンス向上のためのコンサルティングサービスも行っています。
お役に立てると思いますのでどうぞお声がけください。

上記ポストへのご意見、ご質問と合わせてお気軽に以下までお問い合わせください。

h-mori@threeplussix.com

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは、また。





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