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誰だって死にたくない、誰も死んで欲しくない

 死が身近にある場所だ。誰がいつ殺されても不思議ではない。外から見たら、死に慣れていると思われるだろう。

死に慣れるなんてことはあるもんか

 今日も誰かが殺された。このキャンプでは毎日戦車がやってくる。空にはアパッチヘリコプターが旋回している。ドローンが私たちの顔を認識しボタン一つで私たちの生き死にを決めることができる。近所の墓地はあっという間に若い人の体で埋め尽くされた。また次の墓地を作る。
 
 今日も彼女は兄の写真をインスタグラムに投稿する。先月殺された兄を悼んで。兄を想って絵を描く。兄はいつも笑っている。笑っている姿を見られるのはSNSの中だけだ。もう兄に会うことはできない。

 今日も誰かが殺された。ボタン一つで。
今日も彼は親友との楽しかった日々の写真をインスタグラムに投稿する。半年前に殺された。ただ学校から家に帰ろうと歩いていただけだった彼の親友は頭を撃たれた。楽しかった日々はSNSでしかもう見られない。もうあの楽しかった日々は過ごせない。親友と一緒に踊ることはもうできない。

 今日も轟音と共に戦車がやってくる。誰も彼もが死を身近に感じている。今日は僕かもしれないと死を身近に感じている。だからって死に慣れることなんてあるもんか


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