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オリジナルパンの生まれ方

試作が溜まってきて背後を振り返られずにいます。Threebread店主です。
今回は、私のパンの作り方、オリジナルパンの作り方を紹介したいと思います。


使いたいもの

新しいパンってわくわくしますよね。作る私もそうです。どんな食感、味、見た目にするか考えを巡らせる時間がとても楽しい!

とはいえ、白紙からレシピを考えるのは難しいです。私は何を使いたいかを軸に考えます。
粉なのか、ドライフルーツなのか、その他の材料なのか。
そして、それをどうやったら活かせるか。
そこからスタートです。

例えば当店の商品「大きなりんごチェダー」で説明してみますね。



りんごのドライフルーツ

業者さんから、りんごのドライフルーツを教えてもらいました。あまり一般では見かけない、そこが面白いと思い注文。
届いたパッケージを切り、試食してみると、りんごの優しい甘さ。
正直パンに向いているとは思えませんでした。

でも、なんとかパンにしたい。
りんごに合うもの、りんごに合うもの、と唱え考えること一週間。
ふと浮かんだ、チーズ!
甘い&しょっぱいの魅惑に人は勝てないものです。

りんごとチェダーチーズ、まずこれだけで合わせて食べると、おいしい。いけると確信。
ただ、味が弱い。
パンに入れるものはある程度強い味がないと小麦の味に負けてしまいます。

そこで考えた小麦の配合は、とてもシンプルな組み合わせ。なるべくりんごとチーズを殺さないように。



おもしろさ


早速試作したものを食べると、美味しいけど何か違う。
おもしろさが足りない。
パンにおもしろさって何って思うかもしれません。

分かりやすい言葉にすると、生地と材料の一体感、旨み、もう一口食べたいと思うワクワク感。
こんな感じかな。
私は試食した時、二口目食べたいと思うかどうかを基準にしています。
完全に自分の感覚で作っています。すみません。

生地の旨みが足りないか、と配合を変えてまた試作。
今度は生地の味が濃すぎて、りんごの味が消えてしまいました。



りんごの味わい


振り出しに戻って再考です。
りんごの味は、レーズンやクランベリーのような突き抜ける味はありません。

大事にしたいのは、この優しい甘さ。

生地も、優しい、小麦粉だけの味ではなくて少し曖昧な方がいいのではないか。
そう考えて全粒粉を混ぜてみようと思いました。
ただ、そうすると味が本当にぼやけてしまう。
そこで、黒胡椒も入れてみることにしました。
味の引き締めです。
これも私の味覚に100%頼った閃き。
自分の味覚のデータベースにアクセスして、頭の中で組み合わせる。そんな閃きです。



確信と喜び

試作してみると、思わず二口目を食べてしまいました。
これは商品として申し分ない、成功です。

形は丸一択でした。
丸いものと細長いものは、断然丸のほうがふわふわするんです。

ふわふわしたクラムと、優しい、そしてどこか強い味わい。生地との一体感。
よかったなーと思いながら自宅に持ち帰り、夫の最終審査で商品化が決定しました。



どこにこだわるか

こんな感じでいつも商品開発しています。
使いたいものが粉の時も同じです。
粉の銘柄それぞれの特徴、混ぜるものの特徴、それらを想像して、頭の中で組み合わせたものを形にしてみる。
ダメならやり直す。

ただ忘れてはいけないのは、最初の思いです。
どういうパンにしたいか、何を主役にするのか。そこを大切に試作をしています。

お分かりかと思いますが、店主の味覚で店主の好きなパンを作らせていただいています。
それをおいしいと感じて買っていただいているのは、本当にありがたい限りです。いつもありがとうございます。

これからも、美味しいと思うものをどんどん作っていきますね!


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