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パンは膨らむのか、膨らませるのか

工房のエアコンから水漏れが止まりません。こんにちはThreebread店主です。
今回は自然発酵と機械での発酵のお話です。

パンが膨らむって?

パンが膨らむのはよく風船に例えられます。風船が膨らむように、グルテンの膜の中にイーストが出すガスが溜められてぷっくりと膨らむ。そんなイメージです。

グルテン膜って何?という人もいるかな。
食パンの断面を想像してください。まあるい気泡みたいなのがありますよね。あの丸の縁の膜がグルテン膜です。そして、丸の中の空洞がガスが入っていたところです。

パン職人は、いかにその気泡を潰さないかを模索しながらパンを作っています。

クリームチーズとおかか♯
クリームチーズ、おかか、醤油をフィリングに。
日本酒と合うパンです


自然に発酵する

パン生地は、イーストを与えて温かいところに置けば発酵します。ただし生地の温度、気温によって発酵のスピードは違います。
パンは季節によって違う、とよく聞くと思いますが、こういう性質から言われることなのかな、と思います。

自然発酵で作っているパン屋さんもあります。ある程度コントロールできるとは思いますが、発酵には大変な苦労があると思っています。
この発酵の仕方は、生地やイーストの力に任せる、『パンが膨らむ』作り方なのかなと思います。

サラダフォカッチャ
〜新ジャガとディル〜


機械的に発酵する

私はこちらの方法でパン作りをしています。
発酵機に入れて、温度管理しながら発酵させます。
季節によっての発酵スピードの誤差は±5分程度です。皆さんのイメージより随分と機械的に作れます。

こちらもこね上げた時の生地の温度には気を遣うものの、環境を人が整備してやって『パンを膨らませる』作り方だと思います。

オニオンブレッド
表面ザクザク、中ふわふわです


美味しさの違い


膨らむ、膨らませるは、発酵の様子が違うなーと感じています。

機械で作っている私も、製造の段取りが狂って自然発酵させる時があります。その時感じるのは、自然発酵の方が柔らかく発酵するということです。

…柔らかく発酵、分かり辛いでしょうか。
パン生地の表面もグルテン膜なんですが、その膜が柔らかい感じに私の目には見えます。
機械発酵は、もう少し膜(生地)がピンと張っていて、緊張感が高い感じ。
なんで見た目に違いが出るのかは私には分かりません。勉強不足ですね。

でも、どちらが美味しいのかは食べ比べていないので分からないのですが、恐らく好みに集約されるような気がしています。
タイトルの答えにならなくてすみません。
パン作りとしてはどちらも間違っていないですしね。

ウチのミキサーは粉2キロまで
5種類捏ねるのも時間がかかります



私は機械で発酵させるほうが好きです。
パンは不確定要素が多すぎます。少しでも安定しているものがあれば、自分の間違いや季節の変化など敏感に感じとれ、修正も利きやすくなります。

私は、パン生地は友達というよりは、生地に対していい司令塔でいたいと思っています。
生地が気持ち良く発酵できるように分割、成形をし、こちらが用意した環境で発酵を遺憾なく発揮してもらう。
おいしいパンは私の力でもあり、パン生地自体の力でもある。そんな関係でこれからもパン生地を『膨らませて』いきたいです。


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