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パンの味と職人の技

更新が途切れ途切れになっています。申し訳なさのThreebread店主です。こんにちは。
今回はパンの味と職人について。熱量高めです。盛岡に積もった雪も溶けそうな回、どうぞ。


イースト菌は神

師匠の話によると、イースト菌の発見ってとても大きなことだったらしいです。見つかってからまだ100年くらいなんだそうです。

それまで人々は自分で酵母を作っていました。今でいう天然酵母、自家製酵母です。
これらを操ってパン屋を営むのは苦労が多かったそうです。

イースト菌のおかげで、今私たちは気軽にパンが焼けます。使ったことある人は分かると思いますが、とてつもない安定発酵ですよね。私もその恩恵を受けています。

誰でも安定発酵ができるようになったパン。材料が同じなら、誰が作っても同じものができると思ってる人、いませんか?

2/12のパン教室の様子


いい材料使ってるの?

いい材料使ってるからおいしいの?といった趣旨の質問を受けることがあります。

当店の材料って、ほぼほぼインターネットで購入できます。多少高めの粉も使ったりしていますが、高価なものはないという認識です。

料理の素材は、高級なものを使ったら美味しい、みたいな漠然とした認識が皆さんにあると思います。恐らくその影響を受けての質問なのかな、と理解しています。

しかしですよ、料理にはないのが菌という生き物を使ったパンという食べ物です。
そこを見落としては、パンを語れないのです。


どんなに敷き詰めても小さくなるハム


作り手、職人

パンの安定した発酵が手に入った人類。そのおかげでパン生地は、なんとなく捏ねて、なんとなく温かいところに置いて、めちゃくちゃに成形してもパンとして焼き上がるようになりました。
焼きたての粉物は格別に美味しいです。お好み焼きもたこ焼きも熱いうちが命ですよね。

でも、もっとよくパン生地を観察すると、触ったところから傷み、ちょっと力をかけると縮こまり、発酵力が弱まります。発酵力が弱まると、パンは途端においしくなくなります。

菌とグルテンと味には密接な関係があります。
その発酵や生地を上手にコントロールする使命があるのが、作り手であり職人です。
その人の考え方、手の操り方でパンの味が決まるのです。

材料で決まるのは、味の上限だと感じています。本当に安価な材料は、どんなに上手に作っても美味しくなり切れないです。

まだ盛岡には個性的なパン屋さんは少ないです。職人に課された課題も沢山あると、私は考えています。


クープがうまくできました


熱くなって若干本題から逸れた感じがありますが、美味しさ、そのパンの味ってその職人が作り出したものなんだよってことです。

『今日あなたが作ったパンは、今のあなたのパンへの理解度です』
私はいつもそう肝に銘じて焼いています。

だから、材料が違うから他と違うといった言葉は、あまりに思考停止でとても残念な気持ちになります。

私は他と違う美味しいパンを焼いている、といった気持ちは微塵もありません。
いつも私の意識はパン生地にだけ向かっていて、どうすればそのレシピで最高のものが作れるかと日々格闘しています。粉の良さを最大限引き出したい気持ちでいっぱいです。

職人というのは孤独なものですが、もっとパン職人に陽の目が当たるようになればいいなぁと思う、小さなパン屋の店主です。

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