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リフティングシューズ、どう選ぶ?

みなさんこんにちは。今日は久しぶりにモチベーションが出たので、一つ書かせていただこうかと思います。

皆さんはリフティングシューズを使ったことがありますか?
このnoteを読んでくださっているということは、存在自体は知っていることでしょう。そしておそらく、使用を検討しているか、使用しているがどこかで自分自身に合っているのかを疑っているのでしょう。
このnoteでは、私個人の考えと、いくつかの論文や記事を交えて、リフティングシューズの選び方、もしくは選ばない理由を述べていけたらと思います。


リフティングシューズの目的

あなたがリフティングシューズを使う目的はなんでしょうか?
①ウエイトトレーニングやパワーリフティングにおいてしゃがみやすくするため
②ウエイトリフティングにおいてより低い位置でキャッチできるようにするため

大別して上の二つかと思われますが、両者には違いがあります。
①では大腿部が床と平行になる(パワーリフティングにおいては股関節軸が膝関節軸よりも低くなるところまで)までしゃがむ、いわゆるフルスクワットまでで十分ですが、②ではより低くしゃがむことで更に競技上有利に働くことになります。

ではどうしてリフティングシューズを履くのでしょうか?リフティングシューズの効果とは何でしょうか。皆さんご存じのことかと思われますが、それはヒールを高くしたことによる見た目の足関節背屈角度の向上です。

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上の図の右は左と足、脛、大腿、体幹部の長さをそのままに、足関節、股関節の角度を変えず、ヒールを高くした図です。
ヒールを高くすることで、足裏(支持基底面)から外れていたバーベル(丸の図)が、足裏上に収まることがわかると思います。

一方、膝関節の屈曲角度が増えることもお分かりかと思います。

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次の図は、初めの図からヒールを高くしていない人に股関節を曲げてもらい、足裏に重心を持ってきてもらいました。ヒールを高くしていない人と比べると、股関節が重心線から離れていることと、膝関節が股関節と比べると重心線に近いことがわかると思います。
スクワットにおいて、立ち上がる際、股関節、膝関節には伸展方向に働く力(伸展トルク)が必要となります。この際、

各関節が伸展するために必要なトルク=各関節の伸展筋の筋力/重心線からの距離

となります。
すなわち、ヒールを高くした場合、重心線からの距離が増えます。そして膝関節伸展に必要なトルクを満たすために必要な大腿四頭筋の筋力は、ヒールが低い場合より多く求められます。
大腿四頭筋を狙う、鍛える、優位に使う場合、リフティングシューズを使うことは妥当な戦略と考えられます。
一方、大殿筋を狙う、鍛える、優位に使う場合、リフティングシューズは使わず、ヒールのない靴のほうが適当と考えられます。

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では今度はヒールを高くしてみるとどうでしょうか?足部が地面に対して30°にしたのが左の図、45°にしたのが左の図です。また足関節は30°・膝関節は120°で同一にし、上体はウエイトリフティングを想定し垂直としてみました。この場合、あまりバーベルの高さに変わりはないように見えます。しかし今度は重心が前方ギリギリに位置してしまっていることや、ヒールを高くすることでどんどん膝は前に行ってしまうため、比較的軽重量のウエイトリフティングであれば筋力的に問題ないと思いますが、ウエイトリフティングの大会の際や、高重量のスクワットの際は、大腿四頭筋に要求される筋力があまりにも高くなるため、それに関連するエラーが起きやすくなってしまいます。よくあるエラーとしては、スクワットにおいて大腿四頭筋に要求される筋力が持っているものよりも過剰な場合、代償的にバーベルの高さを変えないまま膝が後ろに行き、膝関節の伸展トルクを減らし股関節伸展トルクで代償することで上げようとすることがあります。これは所謂グッドモーニングスクワットと言われています。これをウエイトリフティングの際に当てはめると、キャッチの際に前方に落としてしまったり、上体が倒れることでラックポジションをキープできず、手首に過剰な負担がかかるようになるでしょう。

以上より、
①ウエイトトレーニングやパワーリフティングにおいてしゃがみやすくするため
この目的においては、大腿四頭筋を鍛えたい、もしくは大腿四頭筋の強い選手であれば、リフティングシューズの使用が勧められると思います。
一方大殿筋を鍛えたい、もしくは大殿筋の強い選手であれば、リフティングシューズを使う必要はないかもしれません

②ウエイトリフティングにおいてより低い位置でキャッチできるようにするため
この目的においては、支持基底面内に重心を収めつつ、尚且つキャッチの際体幹が前傾しているとキャッチが物理的に困難になるため、リフティングシューズの使用が特に勧められると思います。


どのような場合にリフティングシューズが必要となるか

足関節の背屈角度が増えることでしゃがみやすくなることは、理解いただけたかと思います。しかし足関節背屈角度は個人差があります。例えば、和式トイレでしゃがめる人、しゃがめない人がいるというとわかりやすいかもしれません。

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