イオンモール、今年は新規開業がゼロ!出店ゼロは26年ぶり!人手不足と資材高騰が日本経済のボトルネックに!

イオンモールは、積極的な出店で成長を続けてきた。だが、人手不足や資材高騰で、開業できない状況に陥ってしまった。

日本経済は長年、需要不足が経済成長の足を引っ張ってきたが、今は供給能力(労働力人口や輸入資材)がボトルネックになっている。

この状態は、非常にマズイと考えている。不況期には、政府は財政出動をすることで景気低迷を緩和したり、景気回復することができるのは、ケインズ政策の常識である。ところが、人手不足の状態では、財政出動しても建造物をつくれないのだ。特に、高度経済成長期のインフラ老朽化を修復するほうが優先度としては高いので、公共事業による景気浮揚は非常に難しい事態になっている。

ところが、他の場で述べたが、アメリカは金利を引き上げするのに、日本は金利を引き上げできるほど経済が強くはない。この状況が続くと、ひたすら金利差を要因とする円安が続いてしまう。私が考える唯一の金利を引き上げる方法は、財政出動や減税で景気を良くして、金利を引き上げるというものだ。だが、それも人手不足が原因で不可能かもしれない。

類似のことは、トアニさんという方がブログ記事で書かれている。

これは、「ニセコ」という地域で介護施設が人手不足から閉鎖したというニュースである。その地域の観光業が栄えたことで待遇的に魅力が増し、介護施設から人が離れ、人手不足が起こったというのがその原因と紹介されている。これは、私がかねてより主張している「福祉産業は反景気循環的産業であり、積極財政などで景気が良くなれば、必ず福祉産業から人が吐き出される。つまり積極財政は結果的に姥捨てと同じような形を取る」という主張を大きく裏付ける事例と言えるだろう。
「福祉産業は反景気循環的産業である」
これが特定の国でのみ適用できるものなどではなく、我らが日本においても適用できる経済理論であると実例をもって示すことが出来ることは、かねてよりそれを主張していた私にとって本当に嬉しいことだ。しかし、これを言うと例えば「福祉産業の賃金を上げれば良い」と指摘が飛ぶかもしれない。しかし、それは解決策にはならない。なぜなら、福祉産業の賃金は政府が決めているため、民間の賃金の上昇速度には勝てないからだ。
順を追って説明しよう。まず、景気が良くなり、民間の賃金が上がる。それにより福祉産業の魅力が相対的に下がり、福祉産業から人が吐き出される。「福祉産業の賃金を上げれば良い」と指摘する人はここで福祉産業の賃金を上げればまた福祉産業に人を戻ってこさせることが出来ると考えていると思うのだが、それは無理なのだ。なぜなら、そこで福祉産業の賃金が上がったなら必ず民間がそれ以上に賃金を上げるからである。景気が良くなっており、ここで投資すれば更なる利益を獲得できると十分に考えられる状況で、福祉産業に人が取られることによる人手不足などというものを民間企業が容認するわけがない。必ずそれ以上に民間が賃金を上げると考える方が妥当だ。福祉産業に人を戻すことはできない。

トアニさんブログ

もし、財政出動をしたら、福祉施設などで働く人は転職する可能性が高い。今の人手不足で財政出動により需要が増加すると、人手不足はより一層深刻化するので、働く人にとっては選択肢が増えるのだ。

これは、働く人の側面からは良いことだが、介護サービスを受ける人にとっては悪影響であるとみなくてはならない。

経済というのは非常に難しい。「全て」の人が幸せになるのは不可能なのだ。私は、福祉業界から人材流出が起きると想定しても、それでも財政出動をするべきだと考えている。そうでないと、日本の老朽化したインフラは修復できず、大規模な事故が起きかねないのだ。

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