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ドイツの博士課程"学生"は月収50万である。

少しでも日本の研究者の懐事情が改善されるように、日本とドイツの研究者の給料事情について少し発信したい。

今回の記事における博士課程学生とは、修士課程を修了し、博士の学位の取得を目指す学生のことを言う。

日本の博士課程学生の給料について


月収20万。

これが、いわゆる優秀な博士課程の学生がもらっているお金である。自身の研究内容に関する申請書を提出し、審査が通れば博士課程在籍中にこの金額が給料として支払われる。[*1]

一般的には、大学を卒業後、修士課程に2年、博士課程に3年を費やすので、24歳から27歳の間の収入が年収240万ということになる。日本のアカデミック界隈ではこの額がもらえたら万々歳だと考えられている。

ただ、学費は所属している大学に別途払う必要がある。そして、大学卒業後にすぐに就職した友達は社会人経験が3年から5年目となり、もっともらっている。


ドイツの博士課程学生の給料について


ドイツの大学や公的な研究機関に所属する研究者の給料は一般的に公的機関により一律で決まっており、今回は西ドイツの博士課程学生を想定して話をすすめる。

1€ = 130円換算 [*2]
1年目: 月収4074€ = 53万
2-3年目: 月収4385€ = 57万
3-6年目: 月収4619€ = 60万

ドイツでは大体5年から6年かけて博士の学位を取得する。もちろんすべてのドイツの博士課程学生がこの金額をもらえるわけではないのだが、優秀な研究所に所属していればもらえる可能性が高い。(工学系研究所のほうが生物系よりも可能性が高いという話も聞く。)また、そもそも研究所に所属すること自体が難しいという話もあるが、日本で上述した月収20万もらえる審査に通ってる実力があるなら、ドイツの研究所に所属する実力はあると考えても良いと私は考える。(語学の問題はさておき。)

ただドイツの博士課程を始める年齢はだいたい30歳よりの20代後半であることも記しておく。ドイツでは修士課程の期間のうちに半年程度の企業でのインターンを行うことが一般的であるため、その分は最低でも博士課程のスタートが日本の学生と比べて遅くなる。


おわりに

本記事を投稿しようと思った理由は、以下のような日本の研究力の衰退に関する記事が目に止まったからである。(中身は読んでいないが。)

もちろん数々の要因があると思われるが、個人的には金銭面での待遇が日本ではあまりにも低いため、博士課程に進学しなかった優秀な人材が一定層いることを推したい。

これからも少しずつ、ドイツのアカデミック事情について、更新していければいいなと思う。疑問点などございましたらコメントいただければ幸いです。


参考文献
*1 日本学術振興会・特別研究員 https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_sin.html
*2  TV-L Tarifvertrag https://oeffentlicher-dienst.info/c/t/rechner/tv-l/allg?id=tv-l&g=E_13&s=1&zv=VBL&z=100&zulage=&stkl=1&r=&zkf=&kk=15.5%25

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