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RCEPに批准してはならない

"中国主導のグローバリゼーション"の時代が到来しようとしています。

 11月15日、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に日本を含む15カ国が署名しました。更に11月20日、APEC首脳会議で中国の習近平は環太平洋経済連携協定(TPP)参加にも積極的な姿勢を示し、太平洋地域の経済覇権を握ろうとする中国 の姿が浮き彫りになってきています。


ひっそりとはじまった交渉

 RCEP交渉が始まったのは2013年です。しかし交渉は秘密主義が貫かれ、7年もの歳月がたったにも関わらず、国内産業への影響などに関する議論は十分になされたとは言えません。当初から交渉に加わっていたインドは貿易赤字拡大の懸念などを理由に署名を見送ったものの、インドの準同盟国と言える我が国はインドが参加しない枠組みに反対してきたのですが、菅政権によって署名されてしまいました。

RCEPの締結により83%の品目が関税撤廃

 RCEPが発行されれば、多くの関税が撤廃されます。例えば農業。中国からの加工野菜などの関税は段階的に撤廃され、生産者は輸入品の攻勢にさらされます。無条件に自由貿易だと賛同する論者はいつも、関税撤廃を支持する理由として「内需は限られるのだから輸出を増やすことで経済成長する」と述べるのがいつものパターンですが、このコロナ世界不況時にどこに輸出して経済成長するというのでしょうか。疑問が残ります。

日本人の個人情報が中国に売られる

 関税の問題以上に大きな問題だと思うのが、サーバーなどの自国への設置を外国企業に強要することを禁止する項目です。

 これは中国やベトナム等が独自に取り入れていた「データ・ローカライゼーション」の規定を禁止するもので、要は日本に進出してきた中国のIT企業に対して、日本政府が日本国内にサーバーを置くことを求めることはできなくなります。サーバーと言うのは、インターネットを通じて得た情報、例えばあなたの住所、年齢、決済方法などの個人情報等…を保管する場所になります。

こういった国民の大切な情報が中国に渡ることは、重大なリスクです。

国を越えて中国に集まるデータの量は、米国の2倍

 もはや中国はIT大国となりました。かつて中国はデータを提供する側になる恐れから「データ・ローカライゼーション」の規定により外国企業にも中国内にサーバーを置かせ、個人情報の流出を守っていました。しかし現在の中国は外国からものすごい量の情報を集める国家へと変貌しています。そんな中で、ついに中国は守りから攻めの姿勢に転換した、ということを象徴するのがこのRCEP署名になるでしょう。このままいけば、中国企業の日本進出に伴って日本企業や日本国民の大切な情報が中国政府に握られてしまうということを我々は危惧しなければなりません。

2019年、越境データが最大だったのは中国だった。中国本土と、本土への情報通信の出入り口となる香港を合わせると、世界全体のデータ(約4億8566万Mbps)の23%を占める。米国のほぼ2倍の規模だ。 -日経新聞記事より

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国境を越えて各国に出入りするデータ量 日本経済新聞

ファーウェイ排除やTPPと比べ、RCEPへの反対の声が少ない

 秘密主義的に交渉が進められてきたのもありますが、コロナ不況最中ということもあり、あまり反対や危惧する声がないことをとても懸念しています。このままショック・ドクトリン的に市場を開放してしまえば、ますます不況が深刻になるばかりか、日本人の大切な個人情報さえ外国に握られてしまいます。

まだ、間に合います。条約には議会の承認を経なければ発行しません。

「自由貿易主義=正義」という安直な思考や、混乱のさなかの改革には断固反対です。

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