決済サービスのカスタマーサポートチームが果たすべき役割とは
こんにちは。「バンドルカード」というto C サービスを展開するカンム社で、CS/業務プロセス周りをやっている平湯(ヒラユ)です。
カスタマーサポートといえば「問い合わせ対応をしているチーム」という印象が一般的かと思います。ただ、各社のカスタマーサポートが果たすべき役割は、会社の目的や成長フェーズ、サービス内容や商品性によって様々です。
今回は、決済サービスを提供している当社のカスタマーサポートチームが何を目指していて、どんな役割を果たそうとしているのか知っていただく機会になれば嬉しいです。
カンムは「心理的unbanked」をソフトウェアで解決する
金融業界では、金融サービスを利用できない層は「unbanked層」と呼ばれることがあります。カンムはこれに倣って、金融サービスを利用する際の「めんどくさそう」や「難しそう」といった心理的なハードルを「心理的unbanked層」と名付け、ソフトウェアとデザインの力でそれらを解決することを目指しています。
現在、バンドルカードというプロダクトを提供し、若年層を中心に決済をアプリで身近に感じてもらっています。おかげさまで300万ダウンロードを突破しました。
カスタマーサポートチームは何をするのか?
カンムに限らず、「カスタマサポートチーム」に最も求められていることは、提供したプロダクトの体験上で発生したユーザーの課題を解決することだと思っています。
2016年にバンドルカードをリリースしてから約5年が経過し、昨年あたりからやっと安定稼働できるようになったなと思っています。顧客対応の部分だけでなく、オペレーションの構築・整備や第一線(※)としてのリスク管理など、この1~2年は体制づくりに奔走しました。(※リスク管理の世界では、営業やCSなどの顧客接点部門は第一線、コンプラなどの管理部門は第二線、監査部門は第三線と呼ばれます)
サポートの土台である体制の構築を経て、ようやくユーザーから届く声に応え続けられる体制が整いました。ただ、あくまで当社に届いた声です。届いていない声の検知や届いた声における根本課題の解決など、まだまだやれることがあります。
こういった背景があるので、カンムのカスタマサポートチームが果たすべき役割、なりたい未来について議論を始めたばかりなのですが、チーム内では当面の方向性を決めています。
現状の方向性は、ユーザーの「わからない」をなくすこと
金融サービスの体験上で、ユーザーが「わからない」と感じる頻度や時間をいかに無くせるか、が私たちが果たすべき目下の役割と考えています。
カンムが現在提供しているバンドルカードはあくまで「決済手段」です。ユーザーが手に入れたい「モノ」はその先にあります。たくさんある決済手段からバンドルカードを選んでくれて使ってくれているわけですからその期待を裏切るわけにはいきません。
また、バンドルカードを選んでくれたユーザーには、自身では未だクレジットカードや銀行口座を利用できない若年層の方が多く、決済できる手段をなんとか見つけて頼ってくれたというケースも少なくありません。そんなときに「このカードのおかげで欲しいモノが買えた」という良い体験をしてもらいたいのです。
そのためには、使い方に関するアプリやサポートページ上の表現はもちろん、各種登録・変更申請などの事務手続きもできるだけ分かりやすくし、そしてどうしても分からなくて質問したときに即座に問題を解決出来るサポートチームでありたいと思っています。
金融サービスの心理的ハードルを下げる目的においては、これらは会社全体の役割といえますが、ユーザーに一番近い場所にいる私たちカスタマサポートチームが率先して具体的な課題を提起していくべきだと考えています。日々、チームとしてVOC(※)から課題を分析し提案する力をつけられるよう学習しています。(※voice of customer = ユーザーの声をプロダクトにフィードバックする動きのことをいいます)
カスタマーサポートから利益を生みたい
ユーザーの課題を積極的になくしていく動きはしつつも、希望をいえば私たちカスタマーサポートの対応がLTVにつながっていてほしい。カスタマサポートが満足いく対応をしたことでロイヤルティが上がって利用が伸びる、直接的なアップセル・クロスセルに貢献できている、そんなイメージです。
自分が参考にしている「おもてなし幻想」という書籍では、カスタマーサポートはロイヤルティを上げる場所ではなく、ディスロイヤルティを生みやすい場所だ、だから満足度を下げかねない行為を極力排除していくべきだ、と言っていました。それは共感できたので、当面はセルフサービス化や現場教育で「顧客が努力しなければいけないこと」を減らしていく = 「わからない」を無くすことを当面の役割と設定しています。
設定はしていますが、、、どうしてもカスタマーサポートが利益を生む場所でありたい、という想いがあります。なので、今のこのサービスにおいて「ロイヤルティに貢献できるのか」という問いにはきちんと答えたいです。現在は、利用傾向との相関性があるか分析を進めているのと、満足度を図る指標や定期的に分析する仕組みを仕込んでいます。
カスタマーサポートチームにはリスク管理の知識も求められる
メインミッションはユーザーの課題を解決することですが、金融サービスのカスタマーサポートの人間はリスク(※)管理の知識をできるだけ深めておくべきと考えています。(※ここでいう「リスク」は、苦情・事務ミスから、アンチマネーロンダリング、コンプライアンス対応や法令ガイドライン対応など幅広い内容を指します)
たとえば法令改正等でシステムの改修を余儀なくされることは少なくありません。社会の健全性を保つためには必要なことですが、「使いやすさ」を阻害したり「わかりにくい」を増長させることもあります。また、リスク低減に注力するあまりに、マニュアル作業が増えて業務効率が悪化し、結果的にユーザへの反応が遅れる場合もあります。
利便性を損なわないように、普段からユーザーの声に触れている私たちがちゃんと口出ししていくべきです。その際に、第二線であるコンプラ担当の人々と対等に話せるくらいの知識があると議論がスムーズにできます。
ちなみに当社の第二線はめちゃくちゃ顧客対応の現場を気にしてくれるし、会社全体の利益を考えてくれる人間であることはちゃんと書いておきますね。
新しい分野に挑戦していきます
カンムは近く、新規プロダクトをリリースします。
個人向け金融サービスなのでもちろんカスタマーサポートチームも設置します。新規プロダクトは、比較的シンプルな構造であるプリペイドカードよりも複雑であり、挑戦する分野に精通した人が社内にほぼいないので、難易度は高いと思っています。
リリース初期はサービスの安定稼働をサポートすることがメインミッションになりますが、その先にある「利益に貢献しているカスタマーサポートチーム」を一緒につくり、目指していく仲間を探しています。
新規プロダクトのカスタマサポートチーム第一人者として、カスタマーサポートが成すべきことについてぜひ一緒に考え、実現しましょう。
興味をお持ちいただいた方はお話だけでもぜひ。