定量データからカスタマーサービスに求められていることを見る
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定量データからカスタマーサービスに求められていることを見る

こんにちは。「バンドルカード」というto C サービスを展開するカンム社にて、CS/業務プロセス周りをやっている平湯(ヒラユ)です。

海外のカスタマーサポート資料で学んだことを発信しています。第二回です。前回の内容や前書きはこちらをご参照ください。

記事紹介

今回の記事はこちら。第一回に続き、Five9(ファイブナイン)社の記事です。

タイトル:Five9 Customer Service Index 2019

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様々な年齢層・所得層・学歴を含んだ全米1,000名以上の顧客を対象に実施した調査の結果がまとめられています。前回私が紹介した記事の元データとなった内容も掲載されています。
原本はこちらからDLできます。(Five9社のサイトにとびます)

Five9社は、コンタクトセンター向けクラウドソフトウェアを提供するSaaSベンダーです。

本題

以下、記事の内容です。
今回は内容が大変ボリューミーなので、実際のデータ内容について触れてる部分のみにフォーカスしました。本紙 "Survey Results" を中心にしています。それでも多いため一部割愛しています。気になる方はぜひ本紙も御覧ください。

顧客体験 -良くなってるが、十分ではない-

顧客体験への投資を増やし、重点を置いてきた結果、アンケート回答者の37%が過去1年間のコンタクトセンターでの体験が改善されたと感じており、成果が出始めている。しかし、42%が「コンタクトセンターでの経験に変化が見られない」16%が「悪化している」と感じている。(図1)

【図1:コンタクトセンター体験は昨年よりも改善している】

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”Journey” の始まり -その企業と関係を始める決定打-

企業との関係を始めるかの決定は、一般的に顧客が店舗やウェブサイトを訪問したりする前に行われる。リサーチをしたり、友人や同僚に話を聞いたり、多くの要因に基づいて意思決定をしている。
今日の "デジタル顧客" は、価格、優れたカスタマーサービス、優れた製品品質に最も影響を受けると回答している。回答者の92%が「価格」を重要視しているのに対し、「優れたカスタマーサービス」は90%、次いで「製品の品質」「迅速なカスタマーサービス」が続く。(図2)

【図2:顧客が企業と関係を始めるのに影響を与える主な要因】

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悪いカスタマーサービスは将来のビジネスに影響を与える

調査対象となった回答者のほぼ全員[96%]が、「良いカスタマーサービスを経験した場合、その企業との取引を継続する可能性が非常に高い」か、「まぁ高い」と答えている。逆に、「悪いカスタマーサービスの経験をした企業と取引を続ける」と答えたのはわずか28%で、66%は「再びその企業と取引をする可能性はやや低い」か「非常に低い」と答えている。(図3)
男性は、ネガティブなカスタマーサービスの経験があったにもかかわらず、その企業と取引をする可能性が女性よりも高い。(男性の36%は、女性の20%に対して、その企業との取引を継続する可能性が少なくとも多少はあると答えている)(※1)

【図3:悪いカスタマーサービスで継続利用する可能性が】

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70歳以上の人では9%55~69歳の人では12%に過ぎず、18~24歳の人では43%25~34歳の人では49%35~54歳の人では29%と、高齢者ほどカスタマーサービスの悪さには寛容ではなくなる。(図4)

【図4:年齢別_悪いカスタマーサービスで継続利用する可能性】

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体験したカスタマーサービスが企業の印象にどのような影響を与えるかについて聞いたところ、38%が「良いカスタマーサービスがなければ利用しない」と答え、48%が「製品が期待通りに動作する限り、企業との関係を継続したい」と考えていることが明らかになった。
カスタマーサービスの良さが顧客の企業に対する印象に与える影響は年齢が上がるにつれて増加し、最も若い層の21%から、43%(55~69歳)、41%(70歳以上)へと上昇する。(※2)若年層では、価格設定の重要性が高年齢層よりも高くなっているが、どの年齢層でも「期待通りの製品があること」が企業の印象に最も影響を与えることに同意している。(図5)

【図5:カスタマーサービスからみた企業の印象】

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顧客は、良いカスタマーサービスを提供していない企業と取引をすることはほとんどない。実際、回答者の87%は「企業と取引をする上でカスタマーサービスは非常に重要」または「ある程度重要」と答えている。反対に「カスタマーサービスが重要ではない」と答えた人は3%未満だった。(図6)

【図6:企業との取引意欲とカスタマーサービスの重要性】

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カスタマーサービスチャネルの選択

メール、オンラインチャット、ソーシャルメディアなど、顧客は選択したチャネルで企業と対話できる。
今日の「オムニチャネル」の世界では、これらすべての選択肢があるにもかかわらず、電話は、すべての年齢層に渡って選択の第一の優先チャネルであることに変わりがない。多くの人がカスタマーサービスの電話や音声チャネルの終焉を予測しているが、調査結果によると年齢に関係なく回答者のほぼ半数がカスタマーサービスが必要な場合には電話での対応を希望していることがわかった。(図7)メールが 2 番目に好まれるチャネル、次いでオンラインチャットが続く。

【図7:カスタマーサービスに対する顧客のコミュニケーション嗜好】

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驚くべきことに、メールやチャットが減少したことで、カスタマーサービスチャネルとして電話の選好率が過去1年間で増加した。ソーシャルメディアもわずかに増加した。
回答者の65%が指摘したように、カスタマーサービスの必要性が緊急性を増した場合には、企業とのやりとりに好まれる方法が変わるようだ。顧客は、メールやソーシャルメディアでの回答を待つのではなく、より迅速に生身の人間と話したいと考えているため、問題がより緊急性の高い場合には電話に手を伸ばす可能性が高くなっている。

年齢別の嗜好

ミレニアル世代、ジェネレーションX世代、ベビーブーマーは、カスタマーサービスに関しては異なる嗜好を持っている。が、ミレニアル世代であっても電話が依然として好まれるチャネルNo.1である。(図8)

【図8:年齢層別_サポートコミュニケーションの好み】

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ミレニアル世代は一般的に電話をかけることを嫌い、テキスト、メール、チャットを好むと識者は断言しているが、カスタマーサービスのために企業とやりとりする方法としては電話が好まれており、18~24歳の59%25~34歳の48%が電話を選択している。電話を好む人は比較的大きく増加しており、2018年の18~24歳の人の36%が2019年には59%に増加し、25~34歳のグループでは40%から48%に増加した。
また、驚くべきことに、若い世代はオンラインで自己解決解決できない際に好むチャネルに、第二の選択肢としてチャットよりもメールを選んだ。18〜24歳のほとんどの人がモバイルデバイスを使用していると仮定すると、電話とメールがモバイルデバイスで最も便利な対話方法であり、この増加の原因となる可能性がある。
ソーシャルメディアを利用する嗜好は2019年に増加し、特に18~24歳のグループでは2018年の3%から2019年には11%に増加25~34歳のグループでは2018年の5%から2019年には12%に増加している。

チャットボットの自動化と支援

チャットボットは、チャット対応の自動化を支援し、基本的な質問や対応負荷を軽減することでエージェントを支援するために使用されている。これは、一般的な問い合わせへの迅速な回答を提供し、エージェントがより複雑な、または要求の厳しい対応に集中できるようにしながら、コストを削減するのに役立つ。
生身のオペレーターではなく自動ボットとやり取りする意思について尋ねられた場合、回答者の19%は「(チャットを)開く」と回答し、43%は、「必要に応じて生身のオペレーターと話すことができる限り開く」と回答した。(図9)この結果は2018年と変わっていない。

【図9:チャットボットとやり取りする意思について】

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何が良い顧客体験と悪い顧客体験のためになるか

良いカスタマーサービス体験を作るために最も影響を与える要因は何かと尋ねたところ、「たとえ時間がかかっても、担当者から正しい答えを得ること」が第1位となった。回答者は、カスタマーサービス担当者と連絡を取るのに長時間待たされることを好まない一方で、正しい答えや情報を得ることができるのであれば、実際のやりとりに時間がかかっても構わないと考えている。(図10)

【図10:良いカスタマーサービス体験】
【図11:悪いカスタマーサービス体験】

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また、優れたカスタマーサービス体験を構成する要因のリストに順位をつけるように求めたところ、回答者は「組織やコンタクトセンターの担当者が問題を初回で解決できること」を第1位の要因として選んだ。

1. 問題や課題を初回で解決してくれる[48%]
2. 機械ではなく人と話せる[42%]
3. 迅速な応答があること[39%]
4. たらい回しされない[37%]
5. 問合せした顧客を把握している[29%]
6. 問合せ内容を予測し、サポート準備ができている[22%]

迅速な解決時間 - 期待と受容の比較

顧客はスピードよりも結果を重視する。一般に、回答者は能力を超えた早い回答のせいでさらに時間がかかったり、エージェントにつながるまで長く待つ必要がなかったりするよりも、正しい回答を得ることに価値を置いている。そうは言っても、回答者はカスタマーサービスの問題が迅速に解決されることを期待している。
72%は「15分以内に解決すべき」と考えており、85%は「解決に30分もかからない」と考えている。(図12)

【図12:顧客がサポートの質問を解決するまで待つ時間】

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必要な労力

企業との問題解決に多大な労力が必要な場合、顧客の大多数[59%]はその企業との取引を継続する可能性が低い。(図13)55歳以上の人は、「問題解決に手がかかる場合は、その企業との取引を継続したくない」と考えている人が多い[76%]。一方で、25~34歳の人で「取引を継続したくない」と考えているのは36%のみである。(※3)

【図13:問題解決に多大な労力が必要な場合に継続利用する可能性】

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顧客情報で労力を削減する

回答者には、企業に連絡する際に自分が誰であるかを知ることの重要性と、カスタマーサービスを提供する際に過去の購入履歴を使用することの快適さについて質問した。
回答者の74%によると、「企業が企業に連絡する際に顧客が誰であるか、過去の購入履歴を知ることは、企業にとって非常に重要である」かまたは「ある程度重要」であると回答している。(図14)

【図14:企業が顧客の履歴を把握しておくことは重要】

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例えば、コンタクトセンターの担当者は、顧客の名前・所在地・頻繁に利用している顧客やロイヤリティの高い顧客の場合など、顧客に関する情報が表示された「スクリーンポップ」を見ることができる。この情報があれば、担当者はよりパーソナライズされたサービスレベルを提供できる。
さらに次のステップとして、企業は顧客の過去の購入履歴をカスタマーサービスに活用することができる。顧客の電話番号に顧客データを添付することで、担当者は電話に応答する際にその情報を閲覧し、購入履歴の概要を素早く把握することができ、時間と労力の節約につながる。

この調査が示すように、回答者の82%が、「企業がカスタマーサービスを提供する際に過去の購入履歴を利用することを快く思っている」ことがわかった。また、実際に高いレベルのカスタマーサービスが提供されている場合には、さらに多くの回答者がこの方法を快く思っている[84%]。「企業が過去の購入履歴を利用することに不快感を持つ人」は13%にとどまり、より高いレベルのカスタマーサービスを提供することになる場合は11%にとどまっている。(図15)

【図15:顧客の過去の購入履歴を利用する企業への快適さ】

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2018年と比較すると、顧客は企業がカスタマーサービスを提供する際に過去の購入履歴を使用することに対してやや警戒心が薄れている。企業が過去の購入履歴を利用することに非常に快く思っていると回答した割合は2018年から大幅に増加しており、カスタマーサービス担当者が顧客とその企業との履歴に関するより多くの情報を持っている場合には、より良い、より早く、よりパーソナライズされたサービスを受けられることに顧客が気付いていることを示している。
2018年には31%が過去の履歴を共有することに非常に快適と感じていたが2019年には43%に増加した。さらに、それが高いレベルのカスタマーサービスにつながる場合、情報を共有することに非常に快適であると回答した人は、2018年の38%から2019年には50%に上昇した。

まとめ

顧客の要求はこれまで以上に厳しくなっており、今日のデジタルに精通した顧客は、企業が期待に応えられなければ他の多くの企業が期待に応えてくれることを知っている。顧客体験を重視する企業が増えている中、カスタマーサービスは重要な役割を果たしている。
しかし、まだまだやるべきことはたくさんある。残念ながら、多くの回答者は、優れたカスタマーサービスを期待していないようだ。
カスタマーサービスはビジネスにとって戦略的な利点である。組織は、優れたカスタマーサービスで忠実な顧客を獲得することができるが、たった一度のひどいカスタマーサービスのやりとりで顧客を失うこともある。ソーシャルメディアが発達した今日の世界では、カスタマーサービスの悪さについてのつぶやきが流行り、企業のビジネスに長期的な影響を与えることがある。
企業は、顧客のために正しいことをしなければならない。最新のツールやテクノロジーを使用して、回答のスピード、応答のスピード、初回解決、パーソナライズされたサービスを向上させることで、企業はカスタマージャーニー全体を通して顧客体験を向上させ、結果としてロイヤリティが高くて満足した顧客を獲得することができる。

※1
性別別の言及があったが、資料内でそのデータは掲載されていなかった…。が、参考になればと思い記載しておきます。
※2
上記同様に、年齢別の言及があったがデータ掲載はなし。
※3
上記同様に、性別の言及があったがデータ掲載はなし。

所感

割と削ったのですが結構なボリュームになりました。気になったことを数点だけ。

”何が良い顧客体験と悪い顧客体験のためになるか” の節で、「正しい > 早い」という結果は意外でした。自身の経験上、間違った対応って数える程しかされたことがなくて、むしろ当然のことと思っているので、もし自分が聞かれたら「何をおいてもレスが早いこと」を挙げるなと思ったからです。そんなに正しい答えが返ってこない現状があるのかな…と。あと、2番目の「早く担当者にたどり着ける」と3番目の「素早い回答くれる」は同義で、合わせて49%と考えると、「正しい < 早い」のほうが見方として適切なのでは?とも思いました。
一方で、そうは言いつつも「30分以内に解決してほしい」が8割を超えていました。顧客の立場であればまぁそうだなという感じですが、CSの立場としては「おおぅ、、」という感じです率直に。この要望にはチャネルも人員体制も当社の現状では到底応えられません…。これを当社のユーザーがそっくりそのまま要望しているとは思いませんが、このクオリティが求められているという調査結果があることは認識しておこうと思いました。

また、この調査結果だけ見るとチャットボットはあまり求められてなさそうな印象を受けました。電話が最も要望されていることやチャットも最終的に人間にエスカレーションできることを希望していることからして、セルフサービス化を進めていくなかで、生身の人間へシームレスに接続できることを意識しておく必要があるなと感じました。

前回も触れましたが、環境を整えるのにも当然リソースは必要なわけで、必要なリソースを獲得するため、自社サービスのユーザーにおいて初回返信時間とLTVの相関性を見ているのですが、相関性が見えなさそうで落ち込んでいるところです。。「うちは相関性があったよ」とか、相関性を証明しているような資料とかあればぜひ教えてください…!

おわり

次回は、「Five9 Customer Service Index」の2020年版を見てみようと思います。2020年版は顧客ではなく企業向けの調査のようです。
Five9社の資料以外もたくさん見たいのがあって溜まってます…。遅くとも隔週で更新していくつもりです。引き続きガンバリ。

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バンドルカードのカンム社。CS/オペチーム。